Chapter 25
「S君・・・起きてる?・・・」
「あ、ハイ・・・」
「なんか、考え事?」
「少し・・・・・
KTさんも眠れないんですか?」
「うん・・・なんとなく・・・
S君の相手が私なんかで良かったのかなって・・・」
「自分も・・・KTさんの相手が、自分なんかでいいのかって・・・
こういう関係になってからずっと思ってます・・・」
「同じ事思ってたんだ(笑)」
「なんだか・・・KTさんて、自分には勿体無いくらいの人なので・・・」
「フフフっ(笑)、ありがと」
「・・・でもね・・・・・私がS君を選んだの・・・・」
「そう言ってくれると嬉しいですけど・・・自分なんて、そんなに・・・」
「そんな事無いよ・・・S君みたいな男の人、他にいないもん」
「思いっ切りどこにでもいそうですけど(苦笑)」
「恋愛なんてもうコリゴリなんて思ってた私が、
そんなどこにでもいる人を好きになんてならないよ」
「そこまで自分が特別だとは思えなくて・・・
年下で頼り甲斐も無いし、スタジオでも下っ端でこき使われてるだけで
全然カッコ良くもなんともないし・・・」
「そんなの関係ないって。あのスタジオで逃げ出さずに頑張れてるってだけで
十分凄い事じゃん・・」
「それに・・・S君と一緒にいると、なんだろう・・・
凄く気持ちが落ち着くっていうか、心が満たされた気分になるんだよね」
「この人は絶対私の事を裏切ったりしない・・・
私の事を本当に大事にしてくれてるんだな・・って、
なんか幸せな気分になって来る」
「S君がいつか誰かに見つけられて、
その娘の旦那さんになっちゃうのかと思うと、
ちょっと妬けて来ちゃうくらいだもん・・・」
「なんだか恥ずかしくなって来ましたけど(汗)、
そんなにイイ男でもなんでもありませんから・・・」
「ううん・・・なんとなく、M子さんが浮気したのバレても
別れようとしなかった気持ちが解るもん」
「あれは、親も公認だったせいで、
仕方なく別れられなかっただけだと思ってますけど・・・」
「それは違うと思うな・・・S君の事を手放したくなかったからだと思うよ」
「でも・・・だったら浮気なんてしなきゃよかったのに・・・」
「きっと、欲張っちゃったんじゃないかな・・・」
「ほら、S君てあんまり自分からグイグイ行かないタイプじゃんね・・・
なんとなく物足りなさはあったんじゃないかな?」
「それは・・・多分そうだったんだろうなと思ってます・・・」
「M子さんは、その物足りなかった部分を
他の人に求めてしまったってだけの事・・・」
「でも・・・私には、そんなS君が丁度いいんだよね・・・」
「なんか、こんなに相性がいいって感じた男の人って、初めて」
「自分も・・・KTさんみたいに気が合う人なんて初めてって感じで・・・」
「フフっ(笑)、合うのは気だけ?」
「あ・・・全部・・・いいです・・・体も、何もかも・・・(照)」
「私が一番?(笑)」
「誰とも比べられないくらいいいです」
「嬉しい・・・私も・・S君が一番だよ・・・」
彼女が年上であるが故に、いつも下手に出てしまってたのが良かったのか、
自分が年下だから彼女もあまり我儘や押し付けがましい事を言わないのが
良かったのか、とにかく二人の相性は最高に良いと感じていた。
そして、自分に対してこんなにもストレートに愛情をぶつけて来てくれたのは、
後にも先にも彼女しかいない。
「それは・・・前に一番って言ってた昔の彼よりも・・・って事ですか?」
「うん・・・そうだよ」
「それはちょっと嬉しい・・・けど、
なんか、好きになりすぎて離れられなくなりそうで怖いんですけど・・・」
「私も、こんなにS君の事が好きになるなんて・・・
もう溺れちゃいそうで困ってるよ(笑)」
「・・・もっと困らせていいですか?(笑)」
「フフフっ、今だけはS君の物だから、もっと困らせて(笑)」
「S君も今だけは私の物だからね・・・誰にも渡さないから・・・」
今だけは・・・
相性も良くて、こんなに愛し愛されてる関係なのに、
二人でいられる時間は今しかない・・・
本気で好きだったと言っていた昔の彼よりも好きって事は、
この時すでに彼女が本気になっていたって事だろう。
もちろんそれは自分も同じだったと今更ながらに思う。
でも、その時の自分は、今のこの関係を保つのに精一杯で、そんな事にも気付かず、
この先どうなるのかを考えてる余裕も全然無くて、
まだしばらくは一緒にいられる・・・二人にはまだまだ時間がある・・・
ひょっとしたら、この関係がこの先もずっと続くかも知れないし、
別れるにしても、もう少し先の事だろう・・・
それは、その時になってから考えればいい・・・くらいにしか考えていなかった。
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