Chapter 3

「やっぱりね。なんとなくそうなんじゃないかって・・・」


「もう終わった事をいつまでも引き摺っちゃって、恥ずかしいですよ・・・」


「それは仕方ないよ。だって4年も付き合ってたんだもんね・・・

 しかも不倫なんて聞いたら、ちょっとショックが大き過ぎるよね」


「もう頭の中が真っ白でしたよ。

 簡単には言い表せないくらい動揺して、思い出すと今でもモヤモヤして・・」


「それをされた悔しさもあるけど、

 その時に大した反撃も出来ずに終わってしまったから、

 多分今でも楽しく不倫を続けてるんだろうなと思うと、

 なんかもう思い出す度に許せなくなって・・・」


「こっちは無茶苦茶辛い思いをして、今だに立ち直れないでいるのに・・・」


「不倫なんて、最終的には本人達が苦しむ事になるだけだからさ、

 そんなの、もう気にする事無いと思うな・・・」


「まだM子さんの事が好きで好きでたまらないって言うんなら、

 ちょっとあれだけど・・・」


「女性として好きか嫌いかって言うよりも、人間的にもう好きになれないので、

 それは無いですね」


「ただもう、あれだけ彼女の期待に応えようと尽くして来たのに・・とか、

 あの4年間を返せ!・・とか、そんな悔しさばかり後を引いちゃって」


そもそもM子の方から告白されて付き合い始め、それでも真剣に付き合って来たつもりだったのに、あんな仕打ちをされて許せる筈が無い。


「キレイに終わる恋愛ならいい思い出になるのにね。

 裏切られたとか、捨てられたって、ホントにもう時間の無駄でしか無いもんね」


「まぁ、恋愛が終わる時って、そんなキレイに終われる事なんて

 そうそう無いと思うけど(苦笑)」


「大抵どちらかが苦しむ事になりますよね」


「お互いに納得して仲良く別れるなんて、普通は無いもんね~」



「でも、KTさんに話したら、なんか、ちょっと楽になったかも・・・」


それを話して共感してもらう事で、こんなにも気持ちが軽くなるのかと、

ちょっと新鮮な驚きだったけれど、それを話したのが彼女だったから

よかったのかも知れない。


「ね?話して良かったでしょ? 

 女の子達がみんなおしゃべり好きなのは、

 みんなそれで発散してるからなのよ(笑)」


「でも、男同士だと、こんな話をしてみたところで、

 誰も真剣に聞いてくれないし・・」


「そうだよね。男の人はみんな自分に関係ない事には無関心だもんね~」


「そんな男でスイマセン」


「ん?気にした?(笑)」


「いえ、全然(笑)」


「フフフっ(笑)」


彼女の話し方とか受け答えがあまりにも上手すぎて、驚くほど会話が弾む。

なんだろう・・・この心地よい雰囲気は。


色々な女性と話して来たけど、話をするだけでこんなに心地いいと感じたのは

彼女が初めてかも知れない。


そもそも、こんな風に自分の悩みを誰かに聞いてもらった事も初めてで、

それをちゃんと受け止めてくれた事がちょっと嬉しかったりもした。

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