第3回 メガゾーン23 PARTⅠ

「さて、OVAについて勝手に語ろうとゆーこのシリーズもついに3回目なのにゃ」

「3話って言ったら、ここで続きえお読むかどうか、決める人が多数居るって言う大事な回だね」


「うむ、にゃので今回は有名作品にいきたい。


『メガゾーン23』


なのにゃーっ!」

「んーとなになに。『メガゾーン23』シリーズPART1とPART2は劇場公開。PART3は前後編OVA。じゃあ映画なんじゃない。3だけがOVA」


「そこは微妙なトコでにゃー。

 この頃のOVAはOVAとして作られたのに劇場で流した物も結構多いのにゃ。

 逆に映画のつもりで制作始めたのにOVAとして売られたにゃんて場合も在るのにゃ」

「はぁ、OVAと映画の境がハッキリしていないんだね。もっとも現在も一緒か。アマゾンプライムやネットフリックスだけで流す作品を映画と呼んだり、限定配信動画って呼んだりするものね」


「舞台は80年代の東京にゃ。

 矢作省吾くんはバイクを手に入れるのにゃ。

 そのバハムートを巡って怪しい男たちに襲われる」

「そいで、バイクが人型になっちゃったりして、バトル。良くあるパターンな気もするけど、さすがに絵はカッコいいね。ヒロインは唯維ちゃん。美少女、可愛い可愛い。ダンサー目指してバイトしているって設定も良いじゃない」


「キャラクターデザインは平野俊弘さん。この頃人気のアニメーターさんなのにゃ」

「へー、平野俊弘。現在の名称は平野俊貴。『忍者戦士飛影』のキャラクターデザインで人気を博し、『戦え!!イクサー1』『破邪大星ダンガイオー』『冥王計画ゼオライマー』では企画、監督をして多数のファンを掴む。近年では監督業に専念していて、『範馬刃牙』などの監督を務める。『範馬刃牙』なら僕も見ているよ。濃いぃ濃すぎる原作マンガを上手いコトアニメ化してるんじゃないかな」


「うむ、現在は監督として名をあげているのにゃが、この作品には絵描きとしての参加にゃ」


「そして省吾くんはマスコミに情報を流そうとして、人気アイドル時祭イブの番組を利用するのにゃ。

 ところが『バハムート』の名を出した途端、放送が中断される。

 そこで友人の村下智美とともに自主映画を作ろうとするのにゃが、警察に追われる。逃げ込んだ先は……見知らぬ廃墟の街だったのにゃ」

「ええっ?! これ舞台が東京じゃなかったの。東京のそばにこんなデカイ廃墟がある訳無いじゃない」


「そうなのにゃ。そこがこの作品のキモ。

 主人公たちは自分が80年代の東京にいると思い込まされていたのにゃ。

 実はここは巨大都市宇宙船の中。巨大コンピューター、バハムートによってコントロールされ、ガーランドはそのバハムートの端末だったのにゃ。

 さらに時祭イブは実在の人物では無かった。

 バハムートの作り出した映像だったのにゃ」

「おおっ、仮想現実、SFだね」


「うむ、バーチャルリアリティーなのにゃ。

 今だったら、全部コンピューターの作り出した映像って設定ににゃると思うけど。

 ただこの頃はVRなんて言葉は無かったのにゃ。

 だから宇宙船の中に作られた架空の街になったのだにゃ」

「マトリックスだね。仮想世界の物語」


「そうなのにゃ。1999年に『マトリックス』が公開された時には、この年代の人々は「メガゾーンだ、メガゾーン」と騒いだものなのにゃ」

「あー、いるよね。ハリウッド製のSF映画の元ネタは日本のアニメだって言いたい人たち」


「うん、間違っているとは言い切れにゃいが…………

 そんにゃコト言ったら80年年代の日本のアニメだって海外のSF小説や映画に相当インスパイアされているのにゃ」

「相互に影響しあって、エンターテインメントは進化してるって事で良いんじゃないの、もう」


「そいで、敵役のB.D.が姿を現す。

 カックイイ軍人なのにゃ、塩沢兼人様なのにゃ」

「塩沢兼人さん。……名前は聞いたことあるけど、良く知らないや。有名な声優さんだったの?」

「ばかばか、ばかばかばかばかなのにゃーっ!」


「ひどいな。調べてみたら2000年にはお亡くなりになっているんじゃない。産まれる前の話だもの。それはみんな知らないよ」

「ううううう、もうそんな昔になってしまうのか。

 『ゴーショーグン』のブンドルをはじめ美形悪役が代表的ではあるのにゃが、優しい主役から三枚目、『クレヨンしんちゃん』のぶりぶりざえもんまでこなすの天才なのにゃ。

 個人的には『究極超人あーる』のあーるくんの声が最高なのにゃ。

 『吸血鬼ハンターD』の声もシブくてたまらんにゃ。

 『軽井沢シンドローム』の相沢耕平も他の人には出来ないと思うのにゃ」


「その話、後どのくらい続くの。『メガゾーン23』の話に戻った方が良くない?」

「はっ そうだったのにゃ。

 そいで……実は宇宙船には外部からの敵が迫っていたにゃ。

 それを知った軍部はバハムートへのクーデターを起こすつもりだ、と省吾くんは知らされるのにゃ。

 途方もない現実に、省吾くんはショックを受けるんにゃが…………由唯との愛に希望を見出すのにゃ」


「おおっ、えっちシーン、えっちシーンだ」

「そうなのにゃ、このえっちシーンが『メガゾーン23』を有名にした部分はちょぴっとあるのにゃ」


「なんかこう最近の深夜アニメにはもっとエロい描写のシーンもあるんだけどさ。この時代のえっちさは……これはこれでフェティッシュで良いね」

「そうなのにゃ。

 しかもちゃんと上手いアニメーターさんがこだわって描いているからにゃ。

 エロくも可愛くもあるのにゃ」


「メカバトルもそうなんだよね。現在のアニメだとほとんどCGで、それはそれでリアルな映像なんだけど……手書きのアニメはCGに情報量では敵わないんだけど、別の魅力があるよね」

「そうなのにゃー。

 お前良いヤツなのにゃ。

 『メガゾーン23』は板野一郎さんや庵野秀明さんも担当してるのにゃ」


「庵野秀明……はて聞いた事あるような…………ああ、『エヴァ』の監督じゃないの」

「そうにゃ、もっと早く気づけよにゃ。

 この頃はメカ作画として注目されだした時期なのにゃ」


「それで物語は、バハムートが軍部に乗っ取られ世界はどんどん戦いに染まっていく。時祭イブまでが軍の広告塔に使われる。主人公省吾くんはガーランドを使ってB.Dに単身戦いを挑むんだね」

「そうなのにゃ。

 徐々にみんなが情報コントロールされて、戦争を受け入れていく。

 リアルでイヤなシーンなのにゃ」


「あらら、負けちゃったよ。主人公、負けちゃった。えー、そのままエンディングなんだ。後味わるっ!」

「そう言うにゃよ。

 確かに…………主人公は負けるんだけど……

 ここで流れるエンディングが良いからさ。

 そこまで後味悪くなく観終われる、と思うのにゃ」


「そうかなー。まぁ確かに良い曲かも。途中で流れてた曲も良かったね」

「ドラマ中で流れる印象的な曲が『背中ごしにセンチメンタル』。

 こっちが主題歌って呼ばれてるにゃ。

 作曲が芹澤廣明さんで編曲は鷺巣詩郎さん。

 最後に流れる曲が『淋しくて眠れない』

 作編曲が鷺巣詩郎さんなのにゃ」


「おおー、『ヱヴァンゲリヲン』の音楽の人だね」

「以前からアニメの主題歌の編曲はされていたのにゃ。

 『メガゾーン』ではBGMも担当されていて、この頃からアニメ音楽の仕事も多くなっていくのにゃ。

 当時のアニメ音楽の中で一人ズバ抜けてオシャレで都会的な音楽だったと思うのにゃ」


「見ごたえは在る作品だと思うけど…………やっぱ最後は淋しすぎない?」

「心配するななのにゃ。

 PART2があるのにゃ」


「ああ、そっか。PART2、PART3とあるんだっけ」

「PART3は主人公も違って、年代も違うのにゃが…………

 PART2に関しては一応同じ矢作省吾くんの話なのにゃ」


「…………一応ってなに?」

「うむ、見てくれれば分かるのにゃが…………

 これがPART2の主役にゃ」

「誰?!

 劇画調というか、リアルタッチでやたらカッコいい男の人がいるよっ」


「そしてこれがPART2のヒロインにゃ」

「これも誰っ?!

 バッサリショートヘアの似合うオシャレな子がいるよっ」


「これがPART2の主役、矢作省吾くんと高中由唯ちゃんなのにゃ」

「うっそー、二人ともナニが有ったの? 面影も無いじゃない」


「うむ、キャラクターデザインが一新されてにゃ。

 平野俊弘さんから梅津泰臣さんになったのにゃ」

「これ……観てる人は違和感感じなかったの?」


「その辺は次回で話すのにゃ。

 とりあえず、今回の採点にいくのにゃ」

「はいはい。では映像、絵柄、企画、設定、展開、BGM、主題歌、声優、演出、オリジナリティーの10項目で採点しての100点満点制です」


「うむ、では。

 宮里久美さんの『背中ごしにセンチメンタル』、タケウチユカさんの『淋しくて眠れない』、鷺巣詩郎さんの音楽に1万5千点にゃー。

 板野一郎さんたちによるメカ作画に2万点にゃー。

 平野俊弘さんたちによる女の子作画に3万点にゃーっ。

 なつかしい80年代当時の六本木、渋谷風景にも1万点にゃー」

「また……100点満点て言ってるのにな。……懐かしい?」


「そうなのにゃー。

 これのために久々に全編見直したんにゃが、当時の東京の風景が出ていてにゃ。

 六本木の光景、懐かしいのにゃ」

「それはだいぶ個人的な感想だね」


「でも似たような年代の人なら多分みんな感じるはずなのにゃ。

 アニメの中で意味深に言われる「今が一番良い時だ」ってのも染みる物があるにゃ。

 まぁ、80年代が一番良かったとは思わないけどにゃ」

「ああ、その気分とエンディング曲が上手く呼応するんだ。それでお年寄りだと高評価する作品になってると……」


「お年寄り言うにゃ!」

「ふーん、前にヒーロー映画の『キャプテンマーベル』を見た時にもさ。「80年~90年代のアメリカの文化や街並みが懐かしく魅力的」みたいな話で、だけどサッパリ分かんなかった。フツーに映画自体は楽しめたんだけどね。

 それと同じような話だね」


「じゃぁ、そんな辺りも加味して僕の採点。映像は見ごたえあると思うよ、9点。絵柄は今見ても可愛い、10点。企画が8点、設定ね、当時は凄かったんだろうけど、現在では新味に欠ける7点。むしろじわじわ生活に迫って来る展開が面白い10点。BGMも良い8点、主題歌は10点、声優は6点かな、演出も7点、オリジナリティー8点かな。83点。すごい80点越え。ちょっと目の前の人の話聞き過ぎて甘くしちゃったかな」

「良いのにゃ、良いのにゃ、正しいのにゃ。

 それでは次回も『メガゾーン23PARTⅡ』にするのにゃ」


「言っておくけど……さっきの採点は『PARTⅠ』の後味の悪さが『PARTⅡ』で解消されると思ってのことだからね。

 そこんとこ解決されなかったら1ともども評点下げるよ」

「まぁ、そこは大丈夫だと思うのにゃ」

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