第26話 君がいなくても過ぎる日々 その四
最近の俺達は、真面目にバンド活動にのめり込んでいた。
以前から、割と真面目に練習するメンツの集まりではあった。
それが、プロ志向の強い、カノミーこと、
かく言う、一寸さんこと、悩める
「音楽は、良いね〜ロック最高〜」
「一寸さん、目に光ないよ〜!昨日も、徹夜?」
「多感な少年の俺は、眠れないんだ」
「オチンコ、カッチカッチで眠れないだけだろ〜!」
「敢えて、否定はしない?」
「何、その疑問符?有体に、言ってごらんよ。おじさんに、ホラ!」
「あれ、初めてって、何時だった?」
「俺、小4の時風邪で寝てたんだ、寝苦しくて、うつ伏せてたらオチンコ固くなって!布団に、擦り付けたら気持ち、いくて!したら、くっせー白いオシッコが!オチンコから!止まんなくて!気持ちいくて!熱あるから俺、死んだ!と思った」
「ヰタ、セクス、アリス。by、森鴎外!読んだ事、ねーけど」
「んで、鴎外せんせー、アリスちゃんと出来ちゃったのか〜」
「それ、エリス!舞姫、読んだ事、ねーけど」
「「さっすが、無駄な物知り」」
「無駄、言うな!」
「俺等バンドの次戦、どーすべいか?」
「この時期、普通〜はさ、文化祭とかなんだけどうちの学校文化祭無いし。体育祭と工業祭!工業祭って、何?」
「鉱石ラジオセット、販売するらしいです」「俺、小学生の時、買って貰って、ここ来ると決めた!」
「青田買い?耕す、前じゃん」
「カノミーの学校、女子校じゃなくて、男、少しいるらしい」
「エッ!ハーレムじゃん!でも、カノミーだぜ!」
「皆んなが、ペッタンさんじゃ、ねーだろ」「いや、そこじゃ無く、女王様キャラだよ!」「ノゾキヤロー、どうしてお前は、即物的なの?」
「即身成仏!南無〜」
「鉄観上人か?」
「その、突っ込み、わかんね〜」
「無駄、知識!」
「無駄、言うな!」
「いや、何れにしろ4人中3人が他校の生徒、しかも、文化祭が無い工業高校の生徒じゃ、無理じゃん」
「いや、そこは、工業高校じゃ無く男子生徒”だっろー」
「「細かいことは、良いじゃん」」
「でも、ほぼ女子高生の中で、
「お前さ、恥ずかしく無いの?こないだは、色々、飛ばしまくったじゃん」
「俺!ハイウェイ・スターだから!」
「「意味わかんね〜」」
「ところで、次戦は、カノミーと相談だけど、俺達そろそろコピーバンド卒業しね〜と」「オリジナル2曲あんじゃん!」
「俺、好きだぜ!“お尻の歌”」
「それと“チンコ行進曲”ね」
「カノミー、無理じゃね?」
「小学生じゃあるまいし、って言うんじゃね?」
「その二曲を、ブラッシュアップして!」「「ダメダメの未来しか、ね〜わ」」
「一寸さん、新しい“歌詞”考えてよ。今なら、ちょ〜切ないのとか、出来そうじゃん」「逆に、ちょ〜楽しいのとか」
「死人に、鞭打つのは、ないわ〜!」
「大丈夫、大丈夫、妖精さんは、人は、殺しても!自分は、死なないから!」
「こっえ〜」
その日、私は今まで接点の無かった人たちに絡まれていた。
私は迂闊にも、右耳のピアスを隠すことに気がまわっていなかった。
「どうしたの、あんた、柄にも無いピアスなんかして」
「楽しい夏休みの名残りで、今頃デビューかよ?」
「まく破って貰ったついでに、耳たぶにも穴あけたんかい!」
「あっ、はっはぁっはぁ〜あ、うける〜」
私に、絡んできたのは
「男に言われて、着けてんの?」
「俺の女だって、印に?」
「違うよ、私の片想い。その子は、私のピアス知らないよ。でも、私、絶対あの子の彼女になる」
なにを正直に答えているのか?我がことながらに呆れる。
「へっ、あんた、意外に面白いんだ。のぼせた男には、気を付けな!トッポイこと、似合いそうに無いもんね」
そう言うと、真沼凛子は去って行った。
そんな事があった週末、帰宅前の玄関口で靴を履き替えていると、同じクラスの男の子が声をかけてきた。
「よう!住家ちゃん、俺と一緒に帰らね〜」「もっと、お堅いのかと思ってたぜ」
「いえ、一人で帰れます!お気遣い無く」
「つれないことは、言いっこ無しだぜ。今日は、これから暇だから俺と付き合いなよ」「ぜって〜、楽しいって!」
「本当に、今日は無理なんです!それに、二人で会うほど親しく無いですよね」
「良いじゃん、付き合ってみなよ!俺とさ、ぜって〜気にいるって、俺のこと」
「私、他の高校に、好きな人がいるんです!ごめんなさい、貴方とは付き合えない」
「他の学校なら、バレなきゃ良いんじゃね」
「おい!おい!良い加減にしときな!祥子にチクるよ!」
「あっ、何だ〜、真沼かよ」
「分かった、分かったよ、祥子にはチクるなよ、じゃあな」
男の子は、逃げるように居なくなった。
「あの、ありがとう、ございました。本当に、助かりました」
「ふっふ、あ〜言うしつこいのには弱いところ見せちゃダメだよ。気をつけな!じゃあ、さいなら!」
「ありがとう、さようなら」
秋の夕陽が、彼女の影を私の足元にまで伸ばして見せた。
影踏み鬼なら、私の勝ちかな?
ミー君みたいなコトを考えて、嬉しくなった。
#%#%
そこに居ないのに
そこに居ないのに
温もりがあった
どおしたって 分からないのに
笑っている君を 感じたんだ
きっと君は こう言うんだって
分かるから 同じこと
言ってしまう
どおして僕を 待てないの
どおして過ぎた 人を待つの
帰ってこないのは
君のせいじゃない
ここに居る僕より
そこに居ない人を
君は見てしまう
見える筈 なんて無いのに
そこに居ないのに
優しさを感じた
どおしたって 届かないのに
涙堪える君に 触れたいんだ
きっと君は こうするんだって
分かるから 同じこと
してしまう
どおして君を 追いかけるの
どおして時を やり過ごすの
止まれなかったのは
僕のせいじゃ無い
そこに居ない人より
ここに居る君を
僕は見ているよ
分かるはず なんて無いのに
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