第6話
太平の世が終わり、鎖国政策も終わった時代に突入した。内乱期だね。
黒船で外国人が来たのが、国民に不安を抱かせたらしい。開国を迫られて、断り切れなくなったのだそうだ。私は、平民として生きていたので、新鮮な情報を得られなかった。
外では、「ええじゃないか!×3」と言いながら、民衆が騒いでいる。
「知能が低くね? 戦国時代の農民の方が、もっとしたたかだったぞ?」
これが時代なんだろうか……。平和ボケした国になってしまったな。
だけど、この国の国民性は、私が良く知っている。戦争に突入すれば、結構強いだろう。眠っている才能に期待しよう。
私は、祖国のために従軍したり、科学技術の発展に貢献したりした。他国の技術を解析したりして、情報を流すだけでも大分違ったんだ。
武器商人に融通を利かせると、とんでもない武器を持ち込んで来たよ。
政変が起こり、将軍が職を降りたら、国民の末端まで生活が一変した。
輸入品は、それだけの魅力があったみたいだ。
そうそう、彼岸花を使った薬だけど、寿命は変わらないみたいだ。どうやら私は数千年生きられるらしい。
時に怪物に戻ったりもした。戦時下では、死にそうにもなったんだよ。私も死にたくないので、本気で戦う必要がある世界になってしまっていた。科学技術の進歩は恐ろしいよね。
その度に、従弟の子孫が組織した追手が来るんだよね。諜報部員は、何処にでもいるみたいだ。
「もう面倒だな~。血縁って言っても大分薄れているし~、全滅させちゃうか~」
私は、従弟の子孫との全面戦争を選んだ。
現在の国は、諸外国と緊張状態にある。追手を相手にする時間はなかったんだ。
◇
「もはやこれまでか……。だが、悪鬼よ、誰かが貴様を必ずや……」
――ザシュ
追手の最後の一人の首を刎ねた。
『お館様』とか『柱』とか呼ばれていた人を全員まとめて始末したんだ。
もうね、死闘だったよ。味方が欲しかったな~。
私はそこまで悪事を働いた覚えもないんだけどな。眷属もいないし、たまに死なない程度に吸血に協力して貰う程度だ。
だけど、『お館様』と呼ばれた人は、『呪い』がかかっており、私を殺さないと解呪されないんだとか。健康になる前の私と同じだ。
どんな神様に憑かれているんだよ。もしくは、悪魔じゃね?
人のことを悪鬼とか呼んでるけど、私からすれば、彼等は悪魔の先兵だった。
「何処かに子孫がいそうだけど、これで10年は安泰だろう。その間に、諸外国との戦争に決着をつけないとな~」
その後、私は船を使い海を渡った。
祖国を勝たせるためだ。海外の戦争への従軍……。それと、科学技術の習得。
時に、戦死率九割を超える死地を乗り越え、敵の拠点を陥落させた。
無謀とも思える進軍にも参加して、敵将を討ち取ったりした。
だが、私の存在を知られる訳にはいかない。
手柄を立てる度に、戦死したと思わせて姿を変えることを繰り返した。
戸籍って面倒な制度だよね。
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