ヤンデレ姉妹達のいる日常第二章五話


「あ、零夜さんおかえりなさい。雀さんがいないという事はやっぱり連れてくる事は無理でしたか」


「うん、インタビューなんか絶対受けないって言われて、部屋を追い出されてしまったよ」


「まぁ、あの人がいなくても別にインタビューくらい平気ですよ。それよりも零夜さん、先程から陽菜さんの様子が少しおかしくなってしまって」


「陽菜ちゃんの様子が……?」


「い……や、許してください。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」


燕さんに言われて陽菜ちゃんを見るが確かに様子がおかしかった、ずっとごめんなさいと言って誰かに謝っている。


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、約束は忘れてませんから、許してください。あ……零夜さん……おかえりなさい」


今まで謝り続けていた陽菜ちゃんは俺と目が合うと今まで謝り続けていたのが嘘であるように正気を取り戻した。


「陽菜ちゃん大丈夫……?」


「はい?私は平気ですけど。何かあったんですか?」


どうやら陽菜ちゃんは先程まで自分が謝り続けていたのを覚えていないようだ。他のメンバー達に聞いても突然陽菜ちゃんが謝りだした事しか分からないらしい。


「そう言えば。陽菜さんが謝りだす前に陽菜さん、モデルの女の子の一人と目が合っていたような……」


「モデルの女の子?誰か分かる?」


「えーと、サイン頼んできた子と一緒にいた……そう、さっきのサインを頼んできた子。その子の事を六夢ちゃんって呼んでました」


燕さんは六夢の名前をだす。以前陽菜ちゃんは助けたお礼と言って俺と遊んでいた日があるがその日は姉妹達ともたまたま出会っている。しかもその後二海華は陽菜ちゃんと話があると言って俺はすぐに家に帰るように言われたので俺だけすぐに家に帰らされた。


俺が帰ったあの後に陽菜ちゃんが、姉妹達と何を話したのか分からないが。その日から陽菜ちゃんとも連絡が繋がらずにいたし、六夢と目が合ったという話を聞いて。さっき陽菜ちゃんが突然謝りだしたのは姉妹達と話した時に何かあったに違いない。


「どーも、どーも。そろそろインタビューを始めたいのですが準備は大丈夫そうですか?」


カートスさんがインタビューの準備ができた事を知らせに来てくれた。


「すみませんカートスさん。春夏陽菜さんと矢寺雀さんは少しばかり調子が悪いそうなので、二人を少し休ませたいので二人のインタビューは諦めていただいてもいいですか?」


「そうなのですか……調子が悪いとなると無理はいけませんからね、分かりました。では春夏陽菜さんと矢寺雀さん以外のメンバーの方々はインタビューをお願いします」


「ありがとうございます。あの凰夢さん、俺は陽菜ちゃんを雀さんのいる部屋まで送っていくのでここは任せてもいいですか……?」


「ええ、ここは私に任せてちょうだい」


夜鴉のメンバー達を引っ張ってくれるのはリーダーであるはずの陽菜ちゃんなのだろうが。


インタビュー中にまた先程のあれが起こってしまってはいけないので、カートスさんには陽菜ちゃんの調子が悪いから休ませたいと伝える。陽菜ちゃんがいない中で頼れるのは夜鴉メンバーの中で一番年上なのは雀さんを除くと真野凰夢さんだ。凰夢さんに話して凰夢さんは引き受けてくれて、メンバー達を連れて行ってくれる。


「零夜さん、私は調子なんて悪くないですけど」


「ねぇ陽菜ちゃん。本当にさっき謝り続けていた事は覚えていないのかな?」


「はい、申し訳ないですけど。私は全く覚えてないです」


「覚えてないんだったら、このままインタビューを受けるのは得策じゃないよ多分また起こる可能性もあるから。とりあえず陽菜一旦雀さんのいる部屋まで戻ろうか」


「わかりました、零夜さんの言う事を聞きます」


陽菜ちゃんは大人しく従ってくれて、俺は陽菜ちゃんを連れてまた雀さんいる部屋に戻る。


「今度は陽菜まで連れてきたの、陽菜を連れてきたからって私はインタビューなんか受けないよ」


「違いますよ、別に雀さんにインタビューを受けてほしいって説得する為に陽菜ちゃんを連れてきた訳じゃないです。陽菜ちゃんの調子が悪くなってしまったので休憩させようと連れてきたんですよ」


「どいて」


「うわっ雀さん何するんですか」


雀さんは俺が陽菜ちゃんと一緒だとわかると部屋に入れてくれて陽菜ちゃんの調子が悪いと言うと俺を退かした。


「大丈夫……?熱は……ないね。さっきのダンスレッスンの時は怪我とかもしていなかったし、陽菜どこが調子悪いの」


雀さんは俺を退かすと陽菜さんの体を心配しているのか陽菜さんのおでこに手を当て熱を測ったり服を捲って体を確認したりしていた。


「それが私もあまりよく分からなくて、零夜さんとメンバーの皆は私が突然謝りだしたって言うんですけど。そんなの言った記憶、私にはないんですよね」


「記憶がない……?」


「俺も陽菜ちゃんが謝り続けているの見てましたから嘘ではないですし。またあとでメンバーの誰かにでも確かめてもらえれば」


「別にあなたが嘘をついているなんて思ってない。つまり陽菜は謝っていたけど、陽菜にはそんな記憶がないって事?」


「はい、そうなんです」


「そう、ちょっとこっち来て」


何かを考えていた雀さんは俺を立ち上がらせて陽菜ちゃんから遠ざかる。


「今から少し陽菜の話をするけど。陽菜は一ヶ月程前に受験予定にしている学園の見学に行ってたの、けれどその学園で陽菜は襲われそうになってそれを助けてくれたのがあなたなのよね」


「そうですね、陽菜ちゃんがうちの学園の生徒に襲われそうになっている所を助けました」


「陽菜を助けてくれた事それには感謝してる。そのまま誰にも知られず襲われていたら、陽菜にとったら一生のトラウマになっていたかもしれない。陽菜は凄く嬉しそうに助けてくれた男の子の事をメンバーにも話してくれたし。今度お礼もするって言ってた」


「はい、陽菜ちゃんは助けてくれたお礼と言って一緒に俺と遊んでいました」


「それは陽菜も話していた、凄く楽しかったって。けど……陽菜がその話をしてくれた日、私は見たのよメンバーに隠れて泣いている陽菜の顔を。陽菜はその日から何事もなかったようにその助けてくれた男の子の事を話さなくなっていた。なのに今日陽菜はあなたを連れてきたし、いきなり謝りだしてその謝っている記憶がないなんておかしすぎる。あなたが陽菜に何かしたのなら、私はあなたを許さない」


「俺じゃないです……けど、多分俺の家族が関わっているかもしれません」


「詳しく話して」


俺はあの日の事を雀さんに全て話した。


「陽菜が謝りだしたのはその六夢って妹と目が合ったから、つまりその姉妹達が陽菜に何かしたとあなたはそう言いたいの……?」


「はい、俺は家に帰っていたので陽菜ちゃんと姉妹がどんな話をしたのかも分からないですが。可能性は高いです」


「確かにその可能性が高いかもしれない。だったらその姉妹達は相当病んでるわね。まさか現実にそんなヤンデレブラコンみたいな姉妹達がいるなんて」


「ヤンデレ?ブラコン?」


ヤンデレはよく分からないがブラコンはわかる。ブラコンはブラザーコンプレックスという言葉の略称で、妹や姉が兄や弟に対して愛着や執着を持つと言われている。


「まぁいいわ、私はちょっとインタビューの様子を見てくるわ、あなたは来ないでここにいてもし見つかったらマズイでしょうし」


「ありがとうございます雀さん。陽菜ちゃんから話を聞いていたけど。雀さんがメンバーを一番心配してくれるってのは本当らしいですね」


「今はそんな話しなくてもいいでしょ、それに陽菜を心配するのは当然でしょ。夜鴉のリーダーなんだから」


雀さんは嫌だと言っていたインタビューの様子を自ら見に行ってくれる。

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