マイナンバーカード


予定のない休日の昼下がり。お昼ごはんも済ましたしお夕飯の買い出しも終了した。おもしろいテレビ番組もやってないし特にやることもなく暇だった。暇を持て余したわたしは写真うつりが破滅級に良くないマイナンバーカードの写真を眺めてみた。



まずシルエットはきのこの山だ。マイナンバーカードの写真を撮る三日前に美容院へいった。ボブから思いきってショートにしてもらったのだ。仕上がりは良かったが自宅でお風呂入って髪を乾かしたらよりガッツリ短くなっていた。わたしはくりんと内巻きにカールするタイプのくせ毛なのだがそれがあらぬ方へ作用してしまい、きのこのようにこんもりとした、きのこの山ヘアーへと進化してしまった。進化…なのだろうか…?


で、胸ぐら掴まれたあとみたいによれたシャツの首元。この時に限って首元が広く開いた、ゆとりのある大きめサイズのシャツを着てしまったのだ。これでは乱闘後だ。


なにより魚眼レンズで撮影したんか?ってぐらい顔の中心のパーツからデカくなっている、

まるで、おじさん深海魚と呼ばれるニュウドウカジカにそっくりだ。

試しにニュウドウカジカについて検索したら、世界一ブサイクとヒットした。

悲しくなった。

いやいやわたしはニュウドウカジカじゃないし…

気を取り直して証明写真を再度見つめる…




変な顔…






は?わたしもっと可愛いだろうが!

あの役所のカメラ担当のお兄さんめ!ちゃんと撮れや!



今から自分で証明写真撮りにいってやる。出来上がりほやほやを上から貼り付けてやろうか。(衝動的に上からかわいいウサギのシールとは貼り付けなかったあたり、わたしは冷静だ。)



これから病院やクリニックで受付する際に、このニュウドウカジカを提示しなきゃいけないだと?生き恥を晒すも同然だ。

わたしが受付のスタッフさんの立場だったら腹を抱えてゲラゲラ笑う。まともに喋れなくなり業務続行不可になるだろう。

今のところ病院やクリニックで受付のスタッフさんにはチラッとニュウドウカジカを目視されてはいるが、そのようなトラブルには陥っていない。

昔毎年のように放送していた年越し番組の笑ったら罰ゲームシリーズの飛び道具ばりにおもろいぞこれ…。




そういえばと、マイナンバーカードが届いた日を思い出した。

私の父は、お笑い番組を見ても腕を組んで「ぬん…」と審査するタイプなのだ。本当におもろいパフォーマンスで魅せてくれた時はじめて、父の固く結ばれた口元は緩み「フッ」と笑う。

そんな笑いに厳しい父にマイナンバーカードの出来栄えを見せた。

「クッ…ブヒャッ!アーッヒャヒャヒャ!」と珍しくバカウケした…。よほど気に入ったのか暫くマイナンバーカード返してくれなかった…。








おもろいからいっか。







笑う門には福来る!ってことで。





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