62:フィニスがピンチ(?)だった

 礼を言って、酒蔵を辞した。

 確か麹菌は熱に弱かったハズだから、(気休めかも知れないけど)袋の口はやんわり閉じて蒸らさないようにしておく。とはいえ、実際に素材って死んだり腐ったりするんだろうか。だとしたら結構ハードモードだけど。

 まあ考えても分かんないし、取り合えず今は。


「フィニスにも……挨拶して……帰る」


「うん、そうだね。農園かな」


「多分」


 またアティの先導で歩き出す。今度は南寄りとのことで、Uターンだ。

 畜産小屋を再び越えて少し歩くと……木柵に覆われた一画に出くわした。


「鹿に……食べられないよう……柵建ててる」


「ああ、なるほど」


 ここは暖かい気候なのに鹿が出るんだよな。多分、日本とは違う種なんだろうけど、作物被害に頭を悩ませてるのは一緒らしい。エレザが獲ってるのは、駆除の意味合いもあるのかもな。


「入口……こっち」


 若干声が弾んで誇らしげに聞こえるが……もしかしたら木柵は彼女の作なのかも知れない。

 ついていくと、確かに柵が途切れた場所があり、そこが出入口になっているらしかった。

 中に入っていく。畑が広がっていた。個人管理の農場らしい規模感だが、100人程度の食糧を補うのなら、これで十分ということか。


「フィニスは……居ない……みたい」


「また畜産小屋の方かね?」


 といった会話を繰り広げながら、農園をもう一度ザッと見回した時。それを見つけた。畑の端、林との境目、ツタのような物に体を戒められてオブジェのようになっている人の姿。見覚えのあるムチムチの体に、ピンクの髪色が特徴的な……


「フィニス……遊んでる」


「いや。多分、ガチで困ってる感じだと思うよ?」


 こっちに背を向けてる状態だが、ツタから逃れようと体をウネウネさせているのは遠目からでも分かる。なんかエレザといい、植物に捕まる人多いな。

 2人で近付いてみる。ツタは腹と両手両足に巻き付いているようだ。緊縛されてお肉がムニュッとなってる。


「もう~~。なんなのこれ~~」


 途方に暮れてる感じだ。

 と、俺たちの足音に気付いたのか、


「だ、誰か居るの~~? 助けて~~」


 切羽詰まった(けど間延びしてる)SОSを発信した。俺たちは彼女の正面側へ回る。

 うわあ。お腹に回ったツタが、超爆乳を絞り出すように服を締め付けている。というか、前開きの服(カーディガンのような形状)を着ているせいで、木のボタンで留めた合わせがパツンパツンだ。今にも弾けてまろび出そうな。って、今はそれどころじゃないな。


「どうする、アティ。ていうか、このツタって……」


「分からない……見たこと……ない」


 地元民のアティも知らないか。観察してみると……近くの樹に寄生するように絡まっているヤツが、フィニスの体にも巻き付いている感じだが。

 うーん。取り敢えず、巨大豆みたいに命に関わるほどのヤべえ高さに吊り上げられることはなさそうだし……引っ張ってみるか。


「引き千切れないか試してみる。アティは何か刃物を借りてきて」


「了解……気を付けて」


 それだけ言って、彼女は小屋の方へ駆けていった。

 さてと。


「アキラ~~」


「うん。ちょっと待っててね」


 まずは腕を戒めているツタに手をかけ、グッと引っ張る。かなりしなって、強度がある。なんだ、このツタ。ゴムは確か樹液から作るハズだから、厳密には違うんだろうけど……かなりそれに近い印象を受ける。巨大豆のは縄みたいだったのに。中々、島の植物も多様だな。

 

「ふんぬ~」


 更に力を込めるが、成果は思わしくない。

 外からの引っ張りには強いのか?


「中から隙間を作って~~拘束を弱める方が良いかも~~」


 やっぱりそうか。

 中から……中からって。いやいや。この全身ムチポヨのお体とツタの隙間に手を入れて、揉みしだき……じゃなかった。体とツタの間の面積を広げる作業を? 俺が? そんなことが許されるの? いや、許されるのか。セフレ島だもんな。

 

 それでは失敬して。フィニスに正面から抱き着くように。この時点でヤバイ。脇腹から腰にかけてのラインに手を当てたんだけど、服越しだというのに蕩けるように柔らかい。角煮じゃん、こんなのもう。腰の辺りを戒めているツタと、服の間に手を差し入れ、グッと腕に力を込める。ふわんふわんのお肉から掌が徐々に離れていくのが惜しいけど、空白が生まれていく手応えもあり。


「……っ!」


 広がっていく空白。さっきから超乳がバインバインと俺の肋骨辺りを擦りまくってるけど、鉄の意志で耐え忍ぶ。下を向くと、ピンク髪の渦巻きと、その下の大山しか見えない状態。しかもその山は徐々にカーディガンの前がはだけてきていて、結構な面積が飛び出している。


「良い感じ~~。体もおっきいし、やっぱり力持ちなんだね~~」


 そういう喋り方だってのは分かってるけど、なんとも気が抜ける。ある程度、ツタが伸びきったところに肘を立てて固定した。

 

「あ~~。だいぶ楽になったよ~~」


 のほほんとしてるけど、やっぱ締め付けで結構苦しかったみたいだ。


「それは良かったよ」


 助けになれて良かった。こっちもホッとする。

 

「アキラって優しいんだね~~」


 まあ優しいっていうか、男は基本的に女の子を喜ばせたいっていう遺伝子プログラムが組み込まれてんだよな。今まであまり自覚なかったけど、こっちに来て痛感する毎日よ。


「アタシ、なんでか苦しくても気付いてもらえないことが多いから~~。嬉しいよ~~」


 主にその喋り方と、おっとりした雰囲気のせいかと。


「取り敢えず、今は抜け出してくれる? 隙間空いたから屈んだら出れると思うんだ」


「あ、うん、そうだね~~。よっと~~」


 言われた通り、目の前の彼女が屈んだ。


「おうふ」


 その拍子に爆乳さんが俺の股間を撫でていったよね。


「あれ~~? 今なにか硬い物に当たった~~?」


 やっぱりポワポワした調子で疑問を口にしながらも、フィニスは戒めの輪から外へ抜け出したのだった。

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