34:出会い頭のおっぱいホールド

 ポーラが落ち着いた後、改めて今後の方針を定めた。

 まずは作りかけのシャベルを完成させる。その後、醤油を錬成するためにファイティングフラワーなる物騒なモンスターに挑むことになるのだが……これが奇しくも、ポーラが辛酸を舐めた密林地帯に生息している(地図帳情報)ということで。


「取り敢えず、今日のうちに枯れ枝と、フワリ鳥の羽根というのをゲットしたいんですが……ちなみに聖樹様の枯れ枝って持って行っても大丈夫なんですかね?」


 思えば、根本的なところの確認を忘れていた。宗教的シンボルでもあるのだから、いかに朽ち落ちた物でも、偉い人の了承とか要るのかも。


「うーん。昔は枝葉はあまり落ちなかったから、年に一度集めて島全体で感謝を込めてお焚き上げをしていたのだけど……」


「今は落ち葉も枝もポロポロあるから……掃除当番が増えて大変なんだよ。それでボクもルナストーンを壊しちゃったワケだし」


 ああ、なるほど。


「今は実質的には……お焚き上げ用に必要な分だけ取り置いて、残りは掃除の都度、燃やして処分しているわ」


「そうですか。なら貰っても大丈夫そうですね」


 あとは。


「フワリ鳥っていうのは?」


「ええ。卵料理を作ったと思うんだけど……アレを産んでいるのがそのフワリ鳥よ」


 聞けば養殖しているらしい。丘の南西寄りに農園や養鶏場があり、そこで行っているのだとか。


「フィニスが居るハズだから、1羽貸してもらって、羽根を採れば良いんだよ」


 あ。フィニスって確か……アティが一度話題にしてたような。体重をネタにしてた覚えがある。ぽっちゃり系の人だろうか。


「多分、アナタを最初に捕えた3人衆の最後の1人よ」


「え? あ、ああ~。あの間延びした話し方をする人?」


「うん。そうなんだよ。変な話し方なんだよ」


 キミの「なんだよ」語尾も変わってるけど、まあ言わないでおいてあげるか。


「んじゃあ、先に養鶏場に行ってみようかな」


「ボクが案内するんだよ」


 チラッとシェレンさんの方を確認する。危険はないだろうし、良いよと頷いてくれた。


「夕飯の支度、手伝えなくて、すみません」


 思えば昨日も何もしなかった。更に今日はポーラまでこっちに付き合わせちゃうし。居候の分際で、褒められたモンじゃない。


「良いのよ。ルナストーンの欠片を取り戻すためなら協力は惜しまないわ。それに」


「それに?」


「醤油っていう調味料も気になるもの。新しいお料理が作れちゃうかも」


 シェレンさんは小さく両拳を作ってみせる。可愛い仕草に、ドキッとした。

 しかし、そうか。教師としての知的好奇心も然ることながら、料理も好きなんだろうな。裁縫と料理が好きで、知的で優しくて、スタイル完璧で胸も大きくて、顔は弩級の美人。この人、欠点が見当たらないよな。本当に素晴らしい家に拾ってもらったよ。


「まだ少し先にはなると思いますが、必ず醤油も完成させます。そしたら美味しいお料理食べさせてください」


 そう言うと、シェレンさんは合わせていた両拳をアゴの辺りまで上げて、ピコピコ振ってファイティングポーズを取った。だから可愛いかよ。






 南西に約15分ほど早足で歩くと、大きな建物が見えてきた。家々と同じく丸太造りなんだけど、かなり横に広い。普通の家の10倍くらいあるだろうか。


「鳥さんと豚さんを飼ってるんだよ」


 おお。豚も居るのか。アイツはマジで食糧効率が良いからな。

 しかし、食肉は100%エレザたちの狩猟頼みってワケではないみたいだな。経路がいくつかあるのは、飢饉が起こりにくくて良き。


「取り敢えず、中に入るんだよ」


「勝手に入って良いの?」


 キョトンとされる。そうか、家に鍵すらかけない昭和の田舎文化だったな。


 ポーラの先導に従い、建物の北側入口から入る。するとすぐに、立ち込める獣臭に顔をしかめてしまった。そして、プギプギという鳴き声は……


「おお」


 木の柵の中に、大量の豚が居た。ピンクじゃないな。どっちかというと、イノシシに近い黒寄りの体色だ。ただ気性は穏やかなのか、柵の近くにノソノソ歩いてくる。ポーラが手を伸ばし、その頭を撫でてやった。


「美味しくな〜れ」


 それはどうかと思うわ。

 まあでも、たとえ慈しんでも食うことに変わりはないワケだからな。ここら辺は俺の世界と大差ない。


 と。人の足音がする。振り返ると、南側から誰かが歩いてくるのが見えた。


「フィニスとフィニスのお母さんなんだよ」


 1人しか見えないが……またステルスお母さんか。

 フィニスと呼ばれた女性が、近くまでやって来た。


「いやいや」


 思わず声が漏れる。何センチあんのよってレベルの爆乳だった。もちろん島民はみんなデカいんだけど、輪をかけてヤバい。ポーラの1・5倍はあるんじゃないか。

 少し暗めのピンクの髪はセミロングで、毛先だけ軽くウェーブがかかっている。優しげな垂れ目に、ぼってりした唇。体はどこも肉付きが良く、それでいて太ってるワケではなさそう。お腹なんかは出ていないし。胸のせいで太り気味に見えるけど、総じて「ちょいポチャ」くらいなんだろう。


 抱き締めたら沈み込みそう。って、見惚れてる場合じゃないな。


「初めまして……ではないのか。俺はアキラ。キミはフィニス……で良いんだよね?」


「うん。その節はゴメンね〜〜」


「いやいや、怒ってないよ。アティやエレザとも、もう和解してるから」


「そうなんだ〜〜。じゃあアタシも〜〜」


「え?」


 止める間もなく、抱き着かれる。そして流れるように、胸の中に顔を埋められる。やっ、これ!? え!? タプタプのボニュボニュ。沈む。首まで包みこまれる。なんだコレ。やや汗ばんでいるせいか、蒸れてて暑いまである。苦しい。マンガとかで爆乳に埋もれて息が出来なくなる描写があるけど……アレはファクトだった。


「ふご……」


 谷間の中で顔を動かし、なんとか鼻を浮上させる。乳肉の海で溺死するところだった。


「あはは〜〜。ゴメンね〜〜。やり過ぎちゃった〜〜」


 ようやく、フィニスが腕の拘束を解いてくれた。

 窒息するのは分かってるのに、今すぐあの海に戻りたい欲求が。男ってマジで、爆乳を前にしたらI.Q3くらいしかないだろ、これ。

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