使命と私情、組織と個人、二度目の恋の予感…人生は死んでからもアツい!

イチオシの現代ファンタジーです。

人生ほぼ最悪な状態で終わった少年に待っていたのは、あの世は極楽でも地獄でもなく、なんかゾンビ的なのと、それとひたすら戦い続ける死者達、あとその死者同士での内ゲバ。(まま、結構地獄寄りか)

それでも生者の世界を守る為に少年は戦いを選び、大分現代的な戦闘組織に加入、憧れの超強いヒロインと肩を並べて戦う為にガンバンベ!…てなあらすじ。

本作の魅力は、あらすじからもわかる通り、ユニークな世界観ながら王道なストーリーライン、そして魅力的なテーマの展開です。

主人公は死者として、前世で特大の裏切りを食らって拗らせて、悪い奴ではないけどかなり危うさもある。そんな彼のわだかまりを仲間達が解いていくパートは素晴らしく美しい場面です。でも一方では、戦闘組織が効率の為に青少年の心情を取り込んでいく、また別の危うさというか、社会人としてどこか居心地の悪さを感じさせられる面も孕んでいます。それにそもそも「主人公がヒロインと共闘する」という展開自体が組織の意図の元誘導されているものだったり、後ヒロイン自体についても特大の秘密を隠しているぽかったり、読んでると「ちょっとちょっと、彼のこと都合よく利用して、また傷付けようとしているんじゃない!?」みたいな心配する気持ちも沸いていきます。とまあ、そんな感じで裏切りと信頼、使命と私情、組織と個人、死者と生者などの様々なテーマがドラマに巧みに噛み合い、物語の終盤でそれらが一つに収束します。そして、明かされる真実と登場人物達の真意を知った時、その痛切な気持ちを味わえる見事な展開が待っています。

ゴスキル、筆舌に尽くしがたい、読めばわかる面白さ。
貴方も是非どうぞご一読を!