第11話[天地と理]
「奥様、お客様がお見えになっております」
「ん〜···先生は?」
「旦那様でしたら
「分かったわ応接間に通して、すぐ向かいます」
リズが簡単な部屋着で応接間に向かうとディアナが紅茶を飲みながら待っていた
「貴女だったのですね?先生ならご不在ですわよ」
「
「申し訳ありませんが夜勤明けで先程まで寝ておりましたから、先生がステュパリテスを連れてベトナ山に向かったとしか存じてません」
「
「何の事でしょう?身に覚えがございませんが」
「実はさぁ···」
ディアナはアルテアの
「
「···先生は今、先生にしか解決出来ない事にイライラされてるのです。私もその原因を教えていただきましたが、歯がゆい事に私じゃ傍に居る事しか出来ませんもの」
「そっか。悪ぃ」
「剣竜ディアナ様に
「ど···どうしたンだよ改まって」
「ローディス子爵夫人として
「はい、そうなさると思っておりました。剣竜様、お納めください」
ジェイムズは
「···アタシも
「分かっております、先生の性分ですから
「分かった」
ディアナは指でテーブルを
━━トトトン、トトトン━━
と2回叩く、コレは[スパイに気をつけろ]というリズとディアナ2人だけの合図だ
「また、お茶でも飲みにいらしてくださいね」
「そん時ゃレオン先生も連れてくよ」
時の賢者モンドの
「···モンド様とレオンさんですか?」
「その声···ルーク?どうしたんだその姿は」
「分かったんですよ」
「お前···
「それも合わせて話します、やっと自分なりに理解と納得が出来たんで」
そういうとルークは
「
「おいおい、そうやって素直に出てきてくれたら偵察の意味が無いだろが」
「いえいえ、最初っからバレバレでしたよ」
すると倒れていた筈の鉱夫がゆっくりと立ち上がる
「なぜ分かった?」
「そのままファルザードと
「しかし良く分かったな」
「
「お前は魔法使いより役者に向いてるよ」
「それにあの地震から数ヶ月経つのに白骨化していない
ルークの観察眼にレオンとモンドはハッとする
「どうせボクを騙すなら冒険者の格好をした方が騙せたかも知れませんね」
ルーク達は会議室に向かうと、しとしとと雨が降り始める
「さて、話して貰おうか?どうやって封印を解いたのかを」
「解けてませんよ、今も
「じゃあ
「それはボクが封じられた彼等を認識し、受け入れたから使える様になったんです。それでも彼等本来の力の1%にも満たないでしょうね」
「ルーク···
「一応、地下2階までは解放します。ボクも用事がありますから」
「大丈夫なのか?」
「ある程度のリスクはありますね、この遺跡はあなた方が見た様に遺体···特に
「お前は俺達を道具として利用するのか?」
「探索認可も下りてないのに勝手に荒らしたあなた達が被害者ヅラするんですか?」
スパイ達は何も言えない
「たとえウッドランドさんと流桜さんがボクの恩人とは言えど
ルークの言葉にスパイ達は沈黙してしまい、会議室を後にしてしまった
「ルーク、良く言った!」
「別にモンド様に褒められる為に言った訳ではありませんよ」
「分ぁかってるって。でもよ、一部解放して大丈夫なのか?」
「先程も言いました様に地下2階までなら中堅クラスの
「単独での行動はやめてくれませんか?ルークさんの護衛を頼まれているのでね」
「流石に地下3階に行くのにボク1人じゃ無理ですよ。その時は
「ルーク」
「なんでしょう?」
「
「···
「そうだな、レオン。アンタはここで待っててくれ」
「ああ、最初っからそのつもりだったよ」
別にルークは自分の
「モンド様、ボクから聞いて良いですか?」
「どうした急に」
「ボクの封印···いつから何の目的でやったンですか?」
「知られなきゃ墓場まで持って行く予定だったンだがな···気づいたってンなら仕方ねぇな」
鉱夫が休憩する長椅子にどっかと座る
「コレはオレの先代、
「あ、続けて下さい。聞いた所でグレるほど子供では無いです」
「
(破滅の因子···降天の言ってたホワイトってヤツか)
「だとすると
「何が?」
「封印の紋章は中央に十字は五大天使、それを囲む2つの四角が四大魔王と4頭の獣とするなら天地
「そりゃお前、五行の残り1つはお前だもの」
「ボク···ですか?」
「お前がどういう
「ボクの···求めてるモノ···」
ルークは目を閉じて黙考する、今の自分に足りないのは何なのか?自分自身の
━━じゃらり···ゴトッ━━
気づくと右手にやや細目の鎖を握りしめて、その鎖の先には直径40センチほどの
「盾?でもなんで鎖で?は?」
「それは[ディスカーマー]
坑道内の薄暗がりから
「お初にお目にかかります、私は
「アルテアの封印は解けてないのになんで出れる?」
「たかが
「···お前か、ルークをからかって遊んでたのは」
「コレは心外な、
「モンド様?」
ルークの瞳からハイライトが消え、まるでバリ島の仮面の様に牙が生えている様な錯覚
「その話は置いといて、だ。ベトナ遺跡にあるモノはお互いに
「······仰る通りで」
「ボクとしては無かった事にしたいんですけどね。この際ですから聞きますけどあの遺跡に何があるんですか?」
「崩壊して消滅したはずの
「あの
「いいえ、土着の生物が余波を受けただけです。そうですねぇ···ゴブリンがゴブリンでいる事をやめた···とでも例えれば良いのでしょうか」
「
「そういう認識で概ね間違いありません」
「ボクが地下3階に施した結界は間違って無かったって事かな?」
「本来ならば
「それってボクが未熟だから?」
「いいえ、あの救世主共の
「
「···ボクが?守護者?」
「ルークさん!人は裏切りますが世界はあなたの味方です。決してお忘れ無き···」
坑道の闇に消えてしまった
「あっ!」
「ど···どうした!ルーク」
「
「鎖の部分は分からねぇが当面は盾として使うしかあるめぇな。さて···これからどうするよ?」
「ディアナさんと合流して、正式に地下3階を封じます。そして戻ったら一通り武器の扱いを習おうと思ってます」
「ベトナ遺跡の所有者は紛れも無く
「例え、朋友を失ったとしても守り通してみせます」
「久しぶりだな、彦十郎」
「お互い、歳をとったもんだな。セルジュ」
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