第8話 影の正体

 鈴川修吾と中山冷夏は、ある場所へと行っていた。

 「ここ...だな...」

 たどり着いたのは、神社から遠くに位置する海が近い倉庫。

 「冷夏さん...。ここで間違いないんですね...」

 「あぁ、ここから零の霊気を感じた...。おそらく奴も近くにいる...」

 冷夏さんもやはり怖いのだろうか。手が震えている。

 「冷夏さん。大丈夫です。零はきっと僕たちのことを待ってくれています。」

 「修吾...。あぁ!そうだな!早く助けよう!そして、またいつもの日常に...」

 

  「黒い雷ブラックライトニング...。」

 

 『「!!!!!!」』

 ドカーーーーーーーーーーン

 危なかった...ギリギリよけることができたが、後ろにいることにまったく気づかなかった。

 「フム...。この技をよけれるとはなかなかのものだな。」

 見ると、が立っていた。

 「こんなことをして...!!何が目的だ!!!」

 「おや、正体がわかってるなんて...さすがですね!!修吾氏!!」

 学人はいつもの口調に戻ってこう発した。

 冷夏さんは驚いていたが、すぐに戻った。

 「おいお前!!零になにをやった!!」

 冷夏さんは学人めがけてとびかかろうとした。

 「眠りの誘いスリープリセット。」

 「ウッ!!??」

 冷夏さんは倒れて寝てしまった。

 「いやー急にすごいスピードでくるもんですから、びっくりするじゃないですかー。まぁでも、これでわかりましたかね?いくら修吾氏でも邪魔しないでくださいね。あの霊にはあのお方の役にたってもらうんですから...。」

 学人は不敵な笑みを浮かべていた。しかし、あのお方って誰のことだ...?

 「では、私はこれで」

 「待て!まだ話は...!」

 「闇包みブラックリターン。」

 学人は黒いなにかに包まれた後、消えていた。

 僕は、冷夏さんのほうへ駆けていった。

 「冷夏さん!冷夏さん!!!しっかりしてください!!」





 

 「あ、あれ?ここは?お前はだれ...だ?」






 嘘...だろ...。

 「冷夏さん!!僕です!!修吾です!!!!」

 「すまん。ほんとに誰だろうか?私の知り合いにそんな人がいた覚えはないのだが...」

 もしかして、あの時の呪文か...。

 僕は頭が真っ白になった。

 「冷夏さん...忘れたんですか!?

 零のことも...なにもかも全部忘れたんですか!?」

 僕はもうパニックになっていた。

 が記憶を失ってしまったから。

 「お前、一体何を言っているんだ?私はずっと一人で...。」

 僕は、もう涙が出そうだった。

 昔からの友達に裏切られ、

 初めてできた不思議な友達もいなくなり、

 新しくできた友達も記憶が失い、もう負の連鎖が続きすぎだ。

 神様...。僕が一体何をしたっていうんですか...。

 泣こうにも泣けないこの苦しい感覚がしばらく続いた。

 もう僕は生きる価値がわからなくなった。

 そうだ。もう近くに海があるじゃないか...。

 はぁ、こうなることなら...。僕なんて...。

 





 何をしている!!お前は!!!!____



 あれ?どこからか声が聞こえたな...。

 まぁ、いいや。僕には関係ないし...。

 


 「神のゴッド ウィング__!!」

 

 あ...あれ、宙に浮いてる?

 「なんで...、あ...」

 上を見ると前にいた狛犬の人間が立っていた。

 狛犬の人間は地上に下ろした後、

 僕の服をつかんだ。

 「お前...!何勝手に命を絶とうとしている!!

 お前は!! 

 今、あいつらのことを裏切ろうとしたんじゃぞ!!

 確かにお前はいまとても負の連鎖が続いてる。

 精神がボロボロになるのもわかる。

 だが!死のうとするのは別じゃ!!

 もっと自分やあいつらのこともよく考えろ!

 あいつらのことはなんじゃろ!!」 

 狛犬の人間は赤いオーラをまといながらとても怒っていた。

 そうだった。僕は零を...。いや、を助けないといけなかった。

 負の連鎖が続きすぎて精神が限界だったんだ。

 「狛犬さん。気づかせてくれてありがとうございました。

 僕、危うくみんなのことを悲しませるところでした。」

 狛犬の人間にそうゆうと、徐々に赤いオーラが消えてゆく。

 「わかればいいんじゃ。

 お前の心はとても強い。きっとあのやつにも倒せるじゃろう。」

 狛犬の人間は笑顔でそう言ってくれた。

 「でも、冷夏さんの記憶が...。」

 「大丈夫じゃ。ワシに任せろ!

 神の再生ゴッドプレイバック__!」

 冷夏さんめがけて白い粉が舞った。

 「あ、あれ?私は...修吾、どうしたのだ?」

 「冷夏...さん、戻った...。記憶が、戻った!!」

 僕は感情を爆発させていた。

 僕の額には雫があったが、そんなことはお構いなしに嬉しかった。

 「修吾!?どうして泣いているのだ!?何かあったのか??」

 冷夏さんは何が起きたのかわからない状態だったので、狛犬の人間が

 説明してくれた。

 「そうだったのか...。すまん修吾...。また、迷惑をかけてしまった...。」

 「ううん。僕は冷夏さんを迷惑だと思ったことは一回もない...。

 むしろ、感謝してるんだ。零だってそう。

 ぼくは、と出会えて本当に良かったと思っているんだ。」

 「修吾...。あぁ!私も、貴様と出会えて本当に良かった!!」

 二人は雫をこぼしながら笑いあった。 

 「そなたたちのことがとても気に入った!ワシも力を貸そう!

 一緒に残りの奴も救おうぞ!」

 「狛犬さん...!!ありがとうございます!!」

 こうして僕たちは助ける仲間がまた一人増えた。














 

 

 

 

 

 


 

 



 


 

 

 

 「学人。やつらはどうなっている?」

 「はい、ただいまやつらを抑えて、一人の記憶を消しました。」

 「フム、ご苦労だった。」

 「リーダー、鈴川修吾と霊のほかにべつのにおいを感じます。」

 「そうか、では、頼めるか?...」

 「かしこまりました。では...行ってまいります。」

 

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