第7話 夜

リボンの儀式を終えたユカリとユリンは、緑に囲まれた道を歩きながら、穏やかな会話を続けていた。空はすっかり暮れかかり、森の奥深くにぽつりぽつりと灯る蛍の光が、二人の道を優しく照らしていた。


「ねえ、ユカリ。」ユリンが話しかけた。彼女の声には、どこか温かみが感じられた。「私たち、これからどうなるんだろうね?」


「どうなるんだろうね…」ユカリは考え込むように歩きながら答えた。「あなたのことは信じている。」


ユリンはユカリを見上げ、少しの間黙っていたが、やがて微笑んだ。「私たち、生きてる。」


ユカリも微笑んだ。「ユリンといると、悲しみが消えてくよ。」


二人は歩きながら、森の外れに近づいてきた。目の前には、小さな広場が広がっており、その中央には古びた石の柱が立っていた。その柱の周りには、花々が咲き乱れ、淡い光を放っていた。


「ここ、どこだろう?」ユリンが不思議そうに言った。


「ここは…」ユカリは柱を見上げながら答えた。「子供のころに見たことがある場所かもしれない。記憶の中に残っている風景と似ている。」


二人はその柱の前に立ち、しばらく静かに見つめ合った。ユカリがふとリボンのことを思い出し、それを取り出して見せた。「これが、私たちが使ったリボン」


ユリンはリボンを見て、静かに頷いた。「ずっと心に残っている。」


「このリボンには、私たちの絆が込められていると思う。」ユカリはリボンをじっと見つめながら言った。「私たちの愛の形。」


「うん。」ユリンはゆかりの手を優しく握りしめた。「一緒にいるよ。」


二人は、リボンを再び結び直しながら、その中に込められた感謝と愛情を感じていた。それは単なる儀式の一部ではなく、二人の間にある深い絆を象徴するものだった。


森を歩く道を抜けた後、二人は広場に着いた。夜空には、たくさんの星が輝いていた。二人は、星々を見上げながら、これからの未来に思いを馳せた。


「ねえ、ユリン。」ユカリが少し照れくさそうに言った。「私たちの血の約束。」


「もちろん。」ユリンは笑顔で答えた。「私たちの絆は、どんな時も変わらないよ。」


二人は、満天の星空の下で、静かに手を繋いで歩きながら、未来への希望を胸に抱いていた。

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