したい

ピアノとヴァイオリンが奏でる美しい音。


ああ、この曲で踊ってみたい。


何かに対するくるしさを、優雅に大胆に、

美しさに変えて表現したい。


必死に努力して、それでも叶わなかった夢と。

やがて恋が実らず、淡い思い出と化した青春と。

家族と見た初の日の出と、友と見たあの夕陽と。

生まれた嬉しさと、生まれた残酷さと。

生きている奇跡と、生きている醜さを。


観客がいる高鳴りと共に

舞台に立ちたい。


でもそれをするのは私じゃなくて

私がつくる他人。


私の代わりに、あの場まで連れて行って欲しい。


ずるい、ずるい。

したい、したい。

私だって、私だって


私だって?

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