25 さらださんがあらわれた!
想像や妄想が反映された結果、おそらくだがさらださん用の制御パーツは高性能になった……と思われる。
素材の減りがね、その……激しかったのだよ。
素体はすでにできている。
こももさんとの合作なのである。
制御パーツには設定項目があった。
これはゲームにはなかった部分だ。
生活するというシステムなどは、なかったしな。
修正力という奴なのかもしれん。
ゲーム時代だとインストール済みだった、ということなのだろうか。
今となっては設定集など見れないから、分からんことだ。
「うーむ、さらださんはポーションでスキルの習得ができるのだろうか?」
「♪?」
「起動してみないことには確認できないようだね」
行動していればスキルを閃いていたから大丈夫だとは思うのだ。
設定は方向性ということかもしれないな。パラメータは日常生活50%、戦闘力30%、残りを当初の予定通りに農業へ振るとしよう。
ひとつまみのスパイスを楽しむ感じで、戦闘できれば良いのではないだろうか。
決して仲間を作ろうとしているわけではないよ?
2対1でこももさんに勝とうとしているわけではないのだ。
こももさんがバトルしたいなら、私たちもその案に乗る、のだ。
ぜ、全部ではない……のだけども。
できるだけ……可能な限り……なのだよ?
「良し。さらださんの設定が終わったよ、こももさん」
「♪──ヤタ♪♪?」
「うむ」
あとは魔石の合成と制御パーツの装着をすれば、さらださんは起動する。
武器に関してだが、デバフ効果を乗せる弓で良いのではないかと思っている。さらださんの瞳にはデーモンの眼球を使っているからな。
デバフ能力が付くのだ。
ぜひ遠距離からデバフを撒き散らしていただきたい。
これはこももさんと相談して決めたことである。
私たちは接近戦しかしてこなかったからね。
なのでさらださんの武器は和弓である。
せっかくなので巫女衣装に合わせてみたのだ。
ネットで調べられないため細かいところは分からないが、そこは諦めるほかない。
手袋も特殊な形だった、という記憶しかなく──親指と人差し指、中指が出ているグローブになっただけだ。
「そしてクナイッ!」
「♪♪!」
「さらに刀であるッ!!」
「♪♪♪ッ!!」
「乗ってくれてありがとう、こももさん」
少々興に乗ってしまったよ。
試しに使ってみたくなったので、こももさんと一緒に新しい武器で遊んでみた。
遊んだ結果、グローブは間違っているのではないかという疑惑が出たのだがね。
「弓を引くときに手を怪我しないようにするには……親指、人差し指、中指は保護されているのではないだろうか?」
もしかして、薬指と小指が出ているのか?
いやしかし、指が出ていないと摘まみにくいような……?
「♪──♪?」
「そう……だな。さらださんに好きなほうを使ってもらおうか」
さらださんは遠中近距離対応の万能キャラになってしまったか。
まあそこは彼女の好みで動いてもらって構わないしな。
刀メインになったとても……それはそれで良き、である。
巫女と刀……良き。
巫女と和弓も良き。
魅惑の響きだろう?
正直に言えば、巫女とクナイは合わなかったのではないかと思ってはいる。
「さ、あとは魔石の合成だけだ。こももさんも一緒にパワーアップするから、一旦身体から取り出すぞ?」
「♪──」
さらださん用のエメラルドと合成用の魔石を準備。
今回は魔石をA級までランクアップする予定だ。
幸いにもここはエンドコンテンツ用のダンジョン。
等級の高い魔石も手に入りやすいからな。
「それでもかなりの数を消費してしまったか」
しかしその価値はある!
なにせお嫁さんたちが強くなるのだからな。
魔石はまた取れば良い。
採掘で当たりも出ることがあるのでね。
「♪♪♪♪♪ヤタ!」
「待ちなさい、こももさん。今装着するから」
さらださんの初回起動は身体から見たいらしく、早く早くと急かしてくる。
こももさんは、こういうところが可愛いと思わないかね?
自慢したくなるというものさ。
彼女にも理由はあったようだがね。
精霊の状態で見るより、サファイアの瞳を通して見たほうが、しっかりと見えるそうなのだ。
「どうだい? 新しい力という奴は」
「ヤタ、♪ッ!!」
「そうだろうともさ!」
A級の魔石というのは高出力だからな。
これからはバフ以外にも魔法を使えるだろう。
「♪♪──♪」
「うむ。ではそろそろ──さらださんを起こそうか」
まずは制御パーツを頭部に装着する。
こももさんと違い、頭部を開くから人前ではできんな。
これは覚えておかねば。
親方のドールのときは、たまたま来ていないタイミングでやったからな。
美人さんの頭を開く、というのは見た目が衝撃的なのでね。
もちろん開閉部分はなるべく目立たないように、滑らか仕上げにしてある。
そして髪の毛があるので普段は見えないから大丈夫だ。
ボディのほうは、さらに車の傷を修復する感じで保護ジェルを塗ってあるので、開閉部分は全く分からなくなっているぞ。
「そういえばギルや親方のお嫁さんたち用に渡しておいたほうが良いな」
「♪?」
「親方のドールは私がメンテをするから問題ないと思うが、ギルは自分で魔石合成をするからね」
ボディの開閉を行うのだからジェルが必要だろう。
失敗した。すまんな、ギル。少々待っていてくれ。
「さあ起きてくれ、さらださん」
魔石をセットし、起動用の魔力を込める。
「♪! ♪!」
こももさんの応援も入り、さらださんが目覚めた!
「P PI PU」
キョロキョロ辺りを見回し、自分の身体を確認したさらださん。
彼女の一言目は「えっち」だった。
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