05 お嫁さんは1人だけである必要はないと閃いた!
宿に帰った私はマグスドールの作成を始めることにした。
すぐに完成するものではない。
最初はドールタイプのデッサン人形みたいなものにするつもりだ。
身体にあるパーツの位置が分かる程度。
人と同じ可動域は必要。
耐久性能は特に関節部分を高めに。
頭脳に関しては精霊の皆さんに頼むことになるだろう。
イマジンクラフトの弱点と言えば弱点かな?
「制御パーツはどうやって作れば良いのか、想像もできないからな」
AIみたいなものなのだ。
テンプレートもないから私には制御パーツが制作できない。
だから素体と私を気に入ってもらえるように頑張るつもりである。
露店で買って来た魚介の串焼きとビールで口と腹を満たしながら、どんなマグスドールにしようかと妄想する。
「いやいや、一気には作れないのだ」
まずは単純なボディからだぞ、っと。
制作者の私自身が推せるドールに近付けるのは、後々なのだ。
耐久性能や可動域をチェックしてからにしなくてはな!
「そういえばなんの疑問も思わず、スキルを使っている」
私自身が魔力というものに縁のない世界で暮らしていたんだが、これはキャラのイマジが習得していた技術だから、ということだからなのか?
非常に助かることではあるが……。
イマジは欲深で傲慢で嫌なキャラだからなあ。少々……いや、かなり嫌悪感を感じてしまうよ。私が彼の人生を奪ったことになるのだろうが、世の中は1人のクズ男が消えて、事態は好転するかもしれない。
私が傲慢にならなければ、平和の種が1つ産まれることになると考えよう。
「ふふふ、私は酔っぱらっているようだ」
今日は早めに休むとしようか。
そして目覚めた私の目に入ってきたのは、作った覚えのないマグスドールの素体。
酔っぱらった状態でスキルを使ったようだが、良いものが出来上がっていた。床で寝ていたようで若い身体にもかかわらず、あちこちに痛みが走る。
綺麗なお姉さんになったというのに、おじさんを実感したくはなかった。
「泥酔まではしていなかったはずだがなあ」
魔力不足になってしまったのかもしれない。なんとなくでスキルを使っているのも原因か。酔った上で妄想力が爆発してしまったようだ。
ゲーム世界に転生して興奮しているということか。
気を付けて行動しなくては。
私は主役キャラのクズ男に狙われている身。
「しかも予定より遅れた行動になっているからな」
本来であれば、今日明日には別大陸に到着している頃なのだから、気を引き締めておかねば。
運も大いに絡むだろうがね。
今日も私とマグスドールの強化のためにダン活をしよう。少しずつでも力を付けていかなくては。
昨日のゴーレム狩りのために、ポーション素材をかなり使ってしまったしな。
今日はフィールドタイプのダンジョンにするか。すべて購入するのは資金不足になってしまう。
私も冒険者になったのだから、自分で用意するという気概を見せるべきだ。
天候にもよるだろうが、船上での時間は2~3日の予定。
その間はお嫁さん作りに没頭できると思う。
素材はなるべく種類を多めに用意しておこう。
つまり今日のダン活は、主に採取系となる。ボディ関連の素材はある程度揃ったのだし、木の実や薬草などをメインに探していこうと思う。
このタイプのダンジョンなら、爬虫類系モンスターも多くいると思われる。
皮素材は色々と使い勝手が良いので獲得していこう。
出発は明日だし昼休憩を取るころには終了させたいが、素材次第なところもあるか。
「いや、昼までと決めておこう」
自炊のための調味料や、衣類も買っておいたほうがいいか。
念のために食料や水も追加購入してマジックバッグに入れておく。
1ヶ月分は多かったかもしれないが、困るものではない。
今日獲得できる素材の量にもよるが、少し良いヒールポーションを売って資金を増やしておくというのも手だな。
生産ギルドになにか良い素材が入っているかもしれないのだし。
鑑定索敵ゴーグルが私にはある。ダンジョンでは遠慮する必要がないから根こそぎ採取しても構わんはずだ。野外でそんなことをすれば採取場所を壊すことにもなりかねんからなあ。
私は小型のカメレオンやトカゲのモンスターも狩りながら、ひたすら採取した。
小型と言ってもワニくらいのサイズ感ではあるが……。
モンスター……なんと恐ろしい存在なのだろう。
家サイズのモンスターで素材集め……。
「いつか私にもできるだろうか」
ゲームではないからな。
恐怖が勝る。
主人公キャラ対策にもなるし、やはり強い仲間も必要だと思う。
あいつをサーチするスキルを作っておけば良かったか。
髪の毛でもあれば可能性はあったというのに、脱出を優先したのは失策だった。
外見だけでサーチできるのか?
スキル構成は変わるのでスキルでのサーチは無理。
スキルサーチスキルをサーチすることは?
イメージだけで作るのは無理だ。
プレイヤーだった頃はマウスクリックだけだったから、どんな仕様なのかも分からないのだ。
ヤツに対する情熱も私にはないため、名前すら憶えていないし……。可能性の高い外見サーチも難しいな。太っていたという印象しかない。
そもそも私のプレイ時は、イマジンクラフトで外見を変えていたしなあ。
「今となってはもう遅い……か」
戻って明日の準備をしよう。
素材はかなり手に入ったことだし、大蛇を仕留めたところで帰還する。今日の素材は売らずにストックしておくことにした。
ポーション用の素材はいくらあってもいいのだ。一般的なスキル獲得やバフアイテムにも使えるのでね。
私は生産ギルドに寄って、お嫁さん用の素材を吟味することにした。
爪の素材や髪の毛の素材は比較的早く選び終わる。しかし瞳の素材にはなにが良いだろうか?
大事な部分だから迷うな。
やはり宝石か?
デーモン系の眼球を使うのもありと言えばありだな。
「デバフスキルを付けるか……バフスキルを付けるのか」
どちらも私たちの行動が有利にはなるからな。
うーむ……抵抗されることもあるのだし、宝石にしておくか。
バフは成功するのだし。
「ヤタ様から納入していただいたヒールポーション分を差し引きまして、お代は28万1500リムとなります」
「あ、ぃ、分か……りした」
私は少しずつ少しずつ、女性と話せるようになってきたと自負している。
なお、お嫁さんは1人でなくとも良いと閃いたので、デーモンの眼球も購入しておいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます