02 オナ死を嘆くのはここまでにした!

 ドアをノックする音が聞こえ、私は意識を戻せた。


「入れ!」


「お、お食事と素材をお持ちしました」


「呼ぶまで下がっておれ!」


「はいっ」


 オナ死を嘆くのはここまでにし、食事をしながら必要なものを作成していく。

 時間は有限なのだ。


 まずはマジックバッグからだな。旅の必需品でもあるし、ストックしておくために食事も多めに頼んである。それにマジックバッグは高値で売れるので、この生産ギルドにも損失は出ないだろう。


 顧客リストには上流階級が多かった。驚くべきことに10倍ほどの値段で売れていたのだ。そういう理由もあって現実化したこの世界でも、イマジというキャラは傲慢になっていたのではないだろうか。


 私が転生してしまったから、数日で消える運命にあるのは一緒なんだがね。


「万能系クラフトスキル──イマジンクラフト」


 有効利用させてもらう。

 イマジンクラフトはその名の通り、イメージでアイテムを作ることができる。想像や妄想の産物が、魔力を糧に高価なものとなるのだ。

 私にとっての生命線。


 それに素材さえあれば魔力も少なくて済むはず。

 一般的なアイテムであれば、テンプレートも用意されているため使用時の負担も少ない。


 あと……エロゲなので、エロ系も充実しているはず。

 確認はまだだが、時間のあるときにでもチェックすべきだ。


「ふむ──」


 イマジンクラフトは、頭の中にあるツールを使って作業するタイプのスキル。なので場所を選ばず作成可能ではあるが、魔力の放出がある。

 今は問題ないが、野外だとモンスターに発見される可能性もある。


 視界もクラフト画面に移行するため、注意が必要だ。


 隠蔽リングで誤魔化せるようになるか?

 私はマジックバッグを作りながら、作成予定のアイテムを、もう一度整理することにした。


 不足した場合が危険だからな。


 ▼マジックバッグ。

 売却用10、自分用1、予備用1で計12個。

 私用の2個はイマジンクラフトとの連携をさせること。これは素材をマジックバッグから出さなくても、クラフト可能にするためだ。


 ものによっては大量に素材を消費するのでね。必要な処理だ。正し、完成品は自動でマジックバッグに収納されないようにする。これは容量オーバーの場合があるためだ。細かく設定すれば可能だが、余分な素材や手間がかかってしまうのだ。


 念のために使用者制限を付けておき、トラップも仕込んでおく。


 ▼ダミーのバックパックやベルトポーチ、財布などの一般的な旅道具。

 このエロゲ世界は賊も多い。攻略対象も多いのだが、現実化したのなら攻略はしないほうがいい……と、思われる。


 ▼綺麗なお姉さん化ポーション。

 悪役人生リセット用の必須アイテムだ。主人公のクズ男に攻略対象として見られる可能性もあるが……私も女性と仲良くしたい!


 憧れの目で見られる女性になれば、上手くお話しできなくとも仲良くなれるのではないだろうか。

 私は可能性を信じたいのだッ。


 ▼隠蔽リング。

 探知系スキルを誤魔化すために必要だ。主人公キャラからというのも当然あるのだが、デブのおっさんから綺麗なお姉さんに変わる際にも必要になるだろう。


 ▼魔導バイクと合わせ、運転技術向上ポーション。

 私は別大陸に移り住んで、生活基盤を作ろうと考えている。

 そのためにはこの国の南端にある港町に向かうことになる。距離も離れているため、バイクを作って移動すれば奴から離れるのも容易になるだろう。


 プレイ中は不便に思っていたんだが、アイツには移動系スキルが盗れないというのは非常に助かる設定だった。イマジンクラフトを強奪しても移動系スキルは作成不可だったしなあ。


 今となっては助かる設定だ。


「ふぅ、良し」


 自分用のマジックバッグはこれで良い。

 続いて貴族への売却用マジックバッグを作成していくか。こちらは見た目を豪華にせねばな。


 そういえば、バイクに乗って移動するならヘルメットやグローブも必要か。というより、戦闘することもあるのだ。武器や防具も必要ではないか!

 今気付いて良かった……危なかった。


 私はすぐに装備系のテンプレートを開き、素材を確認。

 追加で持って来てもらった。


「下がれ!」


「は、はい」


「いや、待て。このマジックバッグを売却用に回せ。全部で10個作成予定だ。販売先のリストは、いつものものを使用せよ!」


 残りの9個は後日渡すと伝え、部下には出て行ってもらった。

 私の安全のために装備を先に作っておこう。


 ▼装備品。

 まず武器についてだが、私は戦闘系というより生産系だ。ゆえに採取や採掘にも使える武装にしておくことにした。

 右手にドリル、左手にチェーンソーである。


 ドリルは持ち手の部分を肘までカバーするように作る。こうすることで飛び散る破片や、敵の攻撃を防ぐ予定だ。そして円錐型のドリル部分に"ノの字"の突起物を付け、掘削力を高めたものにした。


 チェーンソーはバックラーの縁に付けることにする。

 それによって伐採も可能だし、敵からの攻撃を防ぐこともできるのだ。中々に冴えたアイデアではなかろうか。


 もちろん破損耐性を付けてある。それぞれに貫通力と切断力にボーナスが付いたものとして仕上げた。


 防具には革製のものを採用する。重いと満足に動けないだろうしね。それから攻撃力の高い武器による自損を防ぐため、粘り強く硬いものに仕上げる。

 チェーンソーバックラーが危険な気がするのだよ……。


「普通に足を切ってしまいそうだ」


 念のために戦闘力向上ポーションもいくつか作っておこう。

 ブーツも良いものに。

 ついでとばかりに移動へボーナスが付くものに仕上げた。


「ヘルメットはハーフタイプにするか」


 後頭部と耳の部分が革製のもの。クラシックバイクに似合いそうな感じにし、顔の部分はゴーグルを着けることにする。

 綺麗なお姉さんになった自分を想像しながら、イマジンクラフトを行使した。


「魔導バイクもクラシックタイプにするべきだな!」


 私は映画で見た戦時中のサイドカーを作ろうと心に決──先にマジックバッグを作るべきだと思い出した。

 資金調達は大事なのだ。


 何度か意識を失いつつも、4日間で予定のアイテムをすべて制作。貴族用マジックバッグの収入で、私は1,000万リムの資金を得た。生活するには十分だが、素材購入には物足りない。

 とはいえこれ以上は怪しまれるだろう。


「出掛けてくる。後は頼んだ!」


「い、いってらっしゃいませ」


 裏口から路地裏へ。

 人気が少なくなったタイミングで、隠蔽リングを起動。

 しばらく移動し、誰もいない物陰を探し出す。


 そして綺麗なお姉さん化ポーションを飲み干した。


「ぐ、ック──っ」


 痛みがあるとは考えてなかったな……声を出さないように耐え続け、身体の変化が終了するまで待つ。


「っはぁ……よし、次はこの服を」


 女性用に変更だ。

 この世界のデザインは理解している。恥ずかしながら非モテの私はこのエロゲを散々遊んだのでね……。


 さあ、この街から脱出して新たな人生を始めるとしよう。

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