怖い話ではない。
煽り文にある様に、決して怖い話では
ないが、日常的には先ずあり得ない。
そんな日々を、人生のうちの一定期間
過ごしていたら。
とある地方の大学生が在学中に過ごした
マンションで体験した、奇妙な逸話の
数々は恰も江戸中期の『物怪録』の如く。
(※作者に失礼なので他作品との比較対象は
通常しないが、ここは敢えて記す)
ホンモノ は、往々にしてそれ程までに
劇的なものではなく、日常とのあわいに
於いてゆるゆると重なり合っている。
その陌間に 存在 するのだろうか。
重ねて言うが、怖くはない。寧ろ、小さな
笑いやツッコミ所があるかも知れない。
だが、然し。
想像してみると存外に恐ろしい日々。
彼はこの学生時代を怪異との我慢比べと
共に過ごして無事に卒業と相成るのだが。
扠、彼の得たものは 打出の小槌 か。
将又、不条理に負けない 胆力 か。
まさに現代の見事な『物怪録』である。