旅鳥のぼくら

たいやき

0.流された記憶


波の音がする。


目を開けると海と雲一つない青い空が広がっていた。


いつの間にか僕は、見知らぬ島で眠っていたみたいだ。


どうして僕は、ここにいるのだろう?


立ち上がると突然、頭がズキズキ痛くなる。


キーンと耳鳴りもする。


"僕は一人だ"


僕はだんだん、意識が遠のいていき、フラッと倒れかける。


後ろからパカパカパキ、と木のようなものが落ちた音がした。


気づいたら僕は、何者かに支えられていた。


見上げると、僕と同じくらいの男の子が驚いた目で僕を見てきた。


僕の身体を優しく支えてゆっくり座らせてくれた。


「ありがとう…。君は、えっと?」


「オレは、エディだ。あんたの名は?」


「僕は……えっと…。」


あれ?僕の名前って。


「ん?どうした?」


「名前…なんだっけ。」


「エッまさか!?記憶喪失ってやつかぁ?やっべぇじゃねぇか!!」


僕より焦ってる。


「そ、そうだなぁ…。んー!あ!」


エディは僕の手を掴んで言った。


「オレと友達になって!」


「え?」


クィアーオ


バサバサ


遠くの方でカモメが飛んだ。


エディの黄色い目は太陽のように眩しかった。


友達…。


海風が島の木々を揺らす。







この日、僕らは友達になって、人生で最高な航海記が始まったんだ。













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