【春・4『手すりの無い階段』】

 1

 久善、真月と共に、久方ぶりに店に訪れたある日のこと。半年ほど前だっただろうか。

 店長が俺に話しかけた。

 なんやオイこの海坊主ゥ、などと身構えた俺に向けられた言葉は、しかし寂しくも優しい意気が吹き込まれていた。

「今日くらい怒っていいんだよ」

 なんのこっちゃと首が曲がる。しかし許されたので怒ってみることにした。

「おいこらぁ」

「僕じゃなくて君の親父にだよ」

「……はぁ、そうスか」

 思いもよらず気の抜けた声が出た。構えていた全身の筋肉が一瞬で弛緩する。

 ──何故、自分が拍子抜けしているのかわからなかった。

「どんな理由があろうと、ネグレクトなんてことは最低だ」

「そんな大層なモンじゃないですよ」

「被害者がそんな態度じゃあ、僕みたいな部外者はあいつを怒れないじゃないか」

「怒ろうとしてくれるんですね」

「……まあ、仮にも友人だからね」

 そんな曖昧で掴みどころの無い会話はそこで来客により中断され、ついぞ今に至るまで思い出すことは無かった。

 そういえばと思い返してみれば、あの日は親父の誕生日だった。

 誕生日にいきなり怒られるのは、確かに堪えるだろう。だって理解不能だし。

 誕生日は生まれた記念であり、節目であり、生まれ直す日でもある。そう言ったのは何処の誰だったろう。多分、歴史上の偉人か寺門久善かの二択である。

 確かに、やり直すには良い契機なのかもしれない。

 冷たいすき間風で風化しきった鳴海家は今日、この日。

 俺の感情の爆発で暖かさを少しだけ取り戻すのかもしれない。


 しかし果たして俺は怒らなかった。

 声を掛けることすら出来やしなかった。

 最早恨んでもいないのだから。そして思い出など欠片もないのだから。

 敵意も好意も無しに誰かのことを想えるほど、俺は感性豊かではない。

 そして、敵意も好意も向けてこない相手に怒れるほど、当たり屋で人でなしではない。

 愚か者とはこういう者のことを言う。

『最早自分から声を掛けることなどできない』と。

 汚れた、無駄な埃を積み上げる者のことを言う。


 2

 ケーキを丸ごと完食した後、ぺらりと余計な口を滑らせた久善が完全に酔いつぶれ、店長は客の対応に戻った。そんな小さな騒動に我関せずと、初芽さんはずっと、上の空に何処かを見つめていた。

「しかしまあ、バイト勧誘とはずいぶん気に入られたものですね」

「……そうですね」

「正直羨ましいですよ、面接って面倒だし」

 乾いた笑いが漏れる。なんであんなに緊張するかね。

 落ちたら人間的に不要と言われることと同義だからだろうか。

「営業スマイルも面倒ですよねぇ。何度やっても慣れやしない」

「わたしも自信ありません」

 傾いた表情には影が落ちていた。女の子というものは、自撮を撮る時に自然笑顔になれるものだと久善に訊いたが、どうやら彼女はその分類には当てはまらないらしい。俺も地鶏摂りたい。

 温い春の空気を裂いて、雪の結晶が喉元を掠めた。

 冬の記憶が、桜の木の下から手を伸ばす。

「まあわかりますよ。笑顔難しいですもんね」

「……え?」

「なんじゃその反応は。まるで目の前のお気楽野郎が常に腹の底から爆笑している奇人だと思っているみたいじゃないか」

「ああ、いえそんなつもりでは」

 言葉とは裏腹に彼女の目はばっしゃばっしゃと泳いでいた。だいぶ泳がせ方が下手である。嘘を吐き慣れていないのだろう、微笑ましい。

 笑顔とは要するにコミュニケーションツ―ルの一つである。かつての幼少期、朗らかな笑顔を目指して鏡の前で練習したこともあったが、どうやっていたのか今はもう思い出せない。きっと今となっては練習する必要もなくなったから忘れてしまったのだろう。自転車に乗れるようになったら乗り方を忘れるようなものなのかもしれない。

 知り合いの顔を思浮かべると、その人たちは皆笑っている。久善は歯茎をむき出しにし、真月は口角を薄く上げる。店長は口を奈落のように大きく開けるし、夏夜ちゃんは笑顔に常に動きが付随していて賑やかだった。夕は呆れた様子で笑っている。

 そんな形で知り合いの顔を想起できる自分の人間関係は、途方もなく恵まれていると思うし、幸福だとも思う。

 どれだけ自分が辛く、悲しく苦しい状況に在ろうとも、思い出の中に住まう彼や彼女の輝きは何時だって相違なくそこに在る。

 だから笑顔とは、思い出が在れば作れるのだ。

 お母さんは額縁の中で笑っていた。

 坐し、それを眺める親父の後頭部は笑わなかった。

「思い出が在れば笑って……生きていけますから」

 煤けた親父の背中を、しかし振り切るように無視する。

 生存には限りがある。何も時間だけではない。機会、能力、その種類は多岐に渡る。

 ならば無理に今を求め、無暗に奔走し疲れてしまうくらいならば、過去に掴まって揺蕩う休息の時間もまた、必要なものではないか。

 少なくとも俺はそうやって生きてきて、友人という高く飛ぶ契機を得て、結果的に今それなりに幸福な浅瀬で呑気に生きている。俺を見習えとは口が裂けても言えやしないが、そういう生き方もまた、この世には存在しているのだ。

「……それは、」

 言いかけて止めて。

 息を吸い直してから彼女は言った。

「それでも今を求めるのは強欲でしょうか」

 過去が充足していれば、今生きる活力になる。

 それでも彼女は、「今」を藻掻いて掴みにかかる。

 今を生きる為の酸素が足りていない。

 海底から水面へ向かう空気のように、無限泡影と消える未来が目前にあって、それでも抗えない、魔性の浮力に惹かれてゆく。

 下がる温度に骨が震える。嗚呼冬が、またこちらを見ている。

「そんな今を求めるアナタにー、ビーッグチャーンス」

 白けた空気を吹いて飛ばそうと、無駄に大仰に手を振って喋る。

 俺には魔性の浮力を押し戻すほどの腕力もないし、仏様のように縵網相があるわけでもない。しかしその無力を悟っていて、それでもなお。

 水滴が決壊する寸前のような、そんな目をする誰かを少しでも減らしたくて、この場所に立っているはずなのだ。

「なんでしょうか?」

「今ならなんと! 気のいいオッサンの経営するお洒落カフェでバイトできますよ」

 初芽さんの表情が、困惑するように歪む。そしてちょっと怒ったように続けた。

「だ、だから……その、笑顔に自信が無いと」

「やってりゃ慣れますよ」

「さっき……何度やっても慣れなかったって言ってたじゃないですか。言ってること、違う」

「まあまあ、はい、にっこりー」

「く……」

 そっぽ向かれた。


 3

 施設の裏には沢山の花が咲いていた。

 その花たちは、気づくといつの間にか増えていて、子供心に不思議に思っていた。 

 そこに神秘を感じてしまった幼かった頃のわたしは、毎日その花たちに水をあげていて

 だけど、その花たちは増える少し前になると枯れてしまう。

 何度水をあげても、お日様に当たるところに移しても、何をやっても必ず萎れてしまう。

 泣きそうになって何度も何度も、ずっとずっと、お世話をして。

 それでも枯れるのは終わらなくて。

 でも、枯れてからしばらくすると、同じところに同じ種類の元気な花が現れる。

 最初はそのことに喜んでいたけれども。いつしか萎れた花が見捨てられて、別の花になっていることに気づいてしまった。だから、花のお世話をもっと頑張った。

 何も変わらなかった。

 そうしてわたしは、初めて命の死を理解した。

 今なら理解できる。どうして、あの花は何をしても萎れてしまったのか。

 どうして、いつの間にか別の花にすり替わっているのか。

 墓にお供えされた花束など、そう長持ちがするわけがないのだった。

 思い出すと笑えてくる。何も知らず、必死に頑張っていた自分に思わず苦笑する。

 この世には

 どれだけ頑張ってもどうしようもないことがある。

 どれだけ苦悩しても、正解を導き出せないものがある。

 その絶対を死と呼ぶ。


 そんなこと、わかっている。あの時全部理解した。

 わかっていることを殊更晒上げても、何も得られない。

 失うばかりで、何も生まれはしないんです。

 果たしてあなたは本当に、全能で、全智なのでしょうか。

 神様


 4

 喫茶店での謎の会合は、気づけば日が暮れて解散と相成った。少しずつ暖かくなってきたとは言え、冬も開けたばかりなので日の沈みもまだまだ早い。

 会計の際初芽さんが財布を取り出したので、奢りますよと笑ったら、かなりの温度で怒られた。そんな無遠慮な人間ではありません、と。誰かに怒られたのは久しぶりだったのでちょっと嬉しかったのは誰にも言えない。

 頭を下げてから、一人で歩いて行く初芽さんの背中を見て、俺と店長は困らせてしまっただろうかと身を縮こめた。

「楽しそうにしてたし大丈夫なんじゃね?」

 そう宣った久善の顔は至極真剣だった。

 そうかなぁと返しそうになって口を噤む。自分と久善のどちらを信ずるか、そんなものは自明である。飄々と口を尖らせる横顔の輪郭は、今も昔も変わらない。

 こいつに憧れることすら傲慢だと思うようになったのは、何時からだっただろう。


 錆びのこびりついた螺旋階段を昇り、やはり錆びたドアを叩くと、久善が隙間から窺うように顔を出す。耳は既に赤かった。

「おつかれェ!」

「おーう」

「ノリわりぃなぁ」

 自宅の窓枠に腰をかけて、久善が発泡酒を投げてよこす。

 喉に流し込めば、薄い炭酸とこれまた薄いアルコールがぐねぐねと絡まった神経を解してゆく。やはり果物由来のものは美味しく頂けるが、麦由来のものは好んで飲もうとは思えない。酒が飲めるようになっても舌がガキなのだろう。

 外面は大層なことにデカくなったが、心や臓器といった中身は、家と学校と通学路が世界のすべてだったあの頃と、ちっとも変わっていやしない。

「しかしお前はもうちょい休め。休符は音楽。余白は芸術。空欄は文学。道程を楽しめないものは旅好きではないのだ、ふはは」

 既に二本目に突入した久善が、親指と人差し指で挟んだ缶を揺らしながら瞼をかっ開いて言った。

 久善は麦由来の酒も飲めるが、俺に付き合って柑橘系の酒を飲んでいる。

「そんなもんかね……」

 限られた時間の中で何ができるかを、個人の価値だと思い込んでしまうのは、修正するべき悪癖なのだろうか。人生とはタイムリミットとも換言できるのではないか?

「……それも思い上がりなのかなぁ」

 自分のことなど自分が一番わからないし、信用もできない。

「あそーだわ。コーヒーとアイスの金出す。いくら?」

「奢ると言っちゃったはずだが」

「初芽ちゃんに気ィ使ってたんだろ? いいってお前より金持ちだし」

「そうか。まあ、正直助かる」

 久善は、俺が裕福とは言い難い生活を送っていることを知っている。

 その大きな楔となっているのはやはり学校だった。医大の学費など、半端ではなく掛かる。奨学金が無ければとうに野垂れ死にだろう。

 しかしそれでも、親父が俺の進路に反対しなかったのは、俺のことを思ってだったのか、それとも興味が無かったのかは定かではない。

「初芽ちゃんだっけ。なんかありそうなタイプか?」

「うーん……」

 指先の酒の冷気が煩わしくて、払うようにぷらぷらと振った。

「何かはまあ、あるんじゃないか」

 二度会う機会があって、二度話す機会があった。けれども抱える問題や、疑問は解消するどころか膨れてゆくばかりで痩せてくれない。

 彼女は何者なのか? どうして俺のことを知っている様子だったのか? 奇跡の対義とは? その意味とは? その言葉をあの瞬間に口にした理由とは? 今を求めるのは強欲なのか?

 ホワイホワイと頭が回る。酒が過剰な潤滑油となって脳味噌が空回りする。

 きっと何かがあるはずだ。俺が忘れているけれども、俺だけが知っているはずの何かが。

「なんだ、医者の嗅覚は働かんのか」

「見習いだっつってんだろーい」

 文句を放り投げるついでに身体も床へと投げ捨てる。火照った肌にフローリングの温度が滲みる。きもちがたいへんよろしい。

「それに、味がするからと言って匂いがするとは限らない」

 視線は卓上につまみ代わりで置かれた盛り塩に向けられていた。全くもって罰当たりな野郎である。

「似てる気がするんだよなあ。おめーと初芽ちゃん」

「眼科行け。いや、脳外科だ」

「お前が治せよ」

「……人様の身体なんて、怖くって弄れねえよ」

「怖がりめ」

「蛮勇より、マシだ」

「実際そう。動くときに動ければ、臆病は十分に美徳だ」

 それは、動くべき時にはきっちり動けと釘を刺されているようだった。

 心のままに目の前の騒ぎに首を突っ込めた昔と今では、社会的責任の問われ方が大きく異なる。二十代になって自由になったのは、せいぜい飲酒と金の運用くらいなもので、責任に縛られていなかったあの日と、総合的な自由の度合いはそう変わっていない気もする。

 当たり前だ。子供と大人は地続きに繋がっているのだから。

 俺の成長を示す曲線は、定規を引っ張り出して来なければわからない程に緩やかだった。

「精神的成長を遂げたかなんて社会じゃどうでもいいんだよなー」

 考えなくても口は勝手に動いた。弱音を吐くのは楽だった。

「外面の成長に伴って覚悟を決めることを強いられているだけで、大体の人間は心と身体の動く速さがズレたまま生きている」

 脳の芯が揺れたまま、エラそうに語る。無論自分のことだった。

 酒の重力に引きずられた意識が、脳の蛇口を捻って愚考を口から垂れ流しにする。

 外面をはみ出すほどの人間になれたらいいな、などとガキの頃は無邪気に考えていた、気がする。酔いどれた脳で鑑みて思うのは「豪勢なサンドイッチみたいだなー」だった。精神が退化している気すらする。

 しかし退化も変化ではある辺り、目指す地点は朧気だ。

 昼に変わりてー、などとほざいたが、変わることが良いことなのかがよくわからない。悪い方向から良い方向に変われば、まあそれは良いことだと判断していいのだと思う。だが逆ならばそりゃあ良いことだとは言えないし、良い方向に切り替わるにはまず悪い方向を向いていなければ向き直ることもできないわけで、だったら初めから良い方向をむいている奴の方が偉いに決まっている。

 なんかこんがらがってきた。

 変化自体には良いも悪いも無いのだとすれば、子供は何故大人になりたがるのだろう。子供は悪くて大人は良いのだろうか。でもそんなこたぁないと思う。

 俺も一応、大人に憧れていたのだろうか。例えばまあ、店長とか親父とか。

 そういえば酒が飲める歳になってから親父に一切会っていないことに気づく。だからと言って別に会って飲みたいわけでもない。

 だってあの人は、お母さんが死んだ時に酒が飲めなくなったのだから。

「じゃあお前、励一さんよ。最近感じた成長は何さ?」

「この前久しぶりに奮発してハンバーガー食おうとしたら思ったよりきつくてビビった」

「それは成長じゃなくて老化だな。不摂生が酷いからそうなる。医者の癖に」

「見習いだからしゃーないだろ」

 久善は三本目の缶を飲み干し、折りたたんだ座布団を枕に横になった。今日はなかなかにペースが速い。人の不摂生を諫めることのできる態度ではなかった。

「成長ってのは結局、何か劇的なものが無いと難しいのかもな」

 ぬるく日和った台詞だった。酒で弱った判断力が吐かせた、諦めの色をした言葉。

 そんな感情を刺すように、久善は飛び起きた。目は真っ赤に充血している。

「ボケたことをヌカすな。それは日々の努力の否定だ。運命とか言うナニかよくわからない莫大な力の奔流がこの世にあるのなら、それをつかみ取るのは俺たちの中心にある力だ。第六感とか小宇宙とかそういうもんだ」

 酔いが久善のブレーキを緩ませて、洪水のように言葉を吐かせる。

 言い返せないから真理なわけではないんだろうが、その語気の熱さに目の奥が滾る。

「お前意外と熱いよな」

「なんだ、今更気づいたのか」

「……いや、ずっと前から知ってたな。そういえば」

 酒が入るといつもより、もっと早口になることも知ってる。

 才が在ろうと無かろうと、寺門久善がずっと苦悩していることも知っていた。

 思うにこいつの才能は、挫折と失敗も踏み越えようとする精神力なのではなかろうか。

 諦めないという行動は、既に価値足り得るのだから。

 そして、だからこそ俺は久善に負けているし、一生敵わないのだろう。

 弱かったら負けていい理由にはならないし、情けなかったら甘えていい理由にはならない。失ったら折れていい理由にはならないのだ。言い訳をした時点で人は負ける。だからやっぱりこの勝負は、俺の負けなのだ。

 久善の強さを改めて意識すると、自分の弱さが嫌になる。諦めない。進み続ける。ああ無理無理無理、先の見えない夜道で目をつむって歩けるほど、俺は器用じゃない。

 酒が入るとマイナスな思考が加速する。深い思考ができなくなって、自分を責める方へとずぶずぶと脳が沈んでゆく。その方が楽だから。

 自らの罪を、やはり自らで認めている間だけ、人は正しくいられるのだろう。

 それはやはり、弱い人間の思考だった。

「──罪は」

 窓際の久善がぽつりと零す。前髪は春風に揺れていた。

「罪は、雪げない。雪がれるのは、いつか失われてしまうのは、罪悪感だけだ」

 こちらに背を向けたまま、はっきりとした口調で語る。

「お前はそんなに悪い人間じゃない。だけどお前が、お前自身が。自意識過剰でキモチワルイこと甚だしくも自分が他人の人生を左右してしまったと思いあがってしまうような愚か者だと言うのならば──」

 まくし立てるような罵詈雑言の濁流が、記憶を過去へと押し戻す。

 数か月前、俺はどうしようもない失敗をして、確かに何かを踏み外した。あの時から、ただでさえ嫌いだった自分のことが、更に、心底。嫌いになって。

 カッコ悪くて、ダサくて。目的地が決まっていないから、その場所へたどり着けるはずもないのに走り続けて。

 そうして今、俺はここにいる。

 目的──

 俺はどんな人間になりたかっただろう。

 鼻の奥を突くような冬の空気はとうに融け、春の温さが酒に混ざって全身に回る。

「罪悪感に染まったまま許されると、人は死にたくなる。だから俺だけはお前を許さないでやるよ」

 経験則の乗った重みのある言葉だった。

「満足するまで苦しんどけアホ」

 久善は首をぐるりと曲げ、掻き消すように軽く笑った。


 泡の抜けた酒が、解かれた神経を雨垂れのように伝い、落ちていく──





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