主人公が十歳のときの話を語るホラーです。導入の数行で光景が浮かびやすく、ゆえに想像が膨らみやすいです。想像が膨らみやすいという点は、言うまでもありませんが、ホラー小説を恐ろしく仕立て上げる大切な要素です。この作品はたった三千文字足らずでそれをやりきっています。また、舞台が冬というのも、ホラーといえば夏というステレオタイプを覆してくれる美点です。