第5話
思いっきり、伸びをした。快晴。秋らしく、気温も心地良い。おだやかな風が、ほおをなでてくれた。
用意された朝ごはんもしっかり食べ、洗面台で念入りに歯をみがく。校内音楽会で最近着たセットの洋服に着がえた。髪を結ぶゴムに付いているリボンは、サテン地のものを選んだ。いつもなら強引にくしを通すところを、今日はコームでじっくり、きっちりと乱れなくした。
泣き疲れたおかげで、昨日はよく眠れた。
鏡の中の自分。目の辺りが腫れなくて助かった。白目もキレイな色だ。モナ・リザを意識して、笑いかけてみた。
ごくごく自然な表情だった。
我ながら美人。私が貧血で倒れたとき、見とれている奴がいたそうな。血色悪くても綺麗とか、最強。
雪乃は、逆に血色良いほうが雰囲気に合っている。案外、悪くても呪われた妖精みたいで美麗かも。
まあ私が全力で守るからそれは起こり得ないけれど。
透明なリップクリームを薄く塗る。
ふと洗面台の横にあるデジタル時計を見てみる。
潮時だ。
廊下から、玄関に向かう。昨日執念深く手入れしたくつをはく。
「いってきまーす」
少しだけ重いドアを開け、外に出る。まさに「空色」の空に、白い雲の絶妙なコントラスト。
大好き。
伸びをして、思いっっっきり深呼吸した。
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