エピローグ2 私の幼馴染
「拓と付き合うことになるなんて、夢みたいだな」
そう思いながら、私はふと小さい頃の思い出を振り返っていた。
ずっと、拓のそばにいることが当たり前で、拓は私にとって特別な存在だった。でも、それが「好き」という気持ちだとは、最初は気づかなかった。
子供の頃はただ「仲の良い幼なじみ」として、楽しい時間を過ごしていただけだったから。
でも、中学の頃、少しずつ気持ちが変わっていったんだ。
中学の頃、拓がこっそり書いていたあの「厨二病」全開の小説──それを見つけたとき、最初は本当に驚いた。
だって、普段は無口で大人しい拓が、そんな恥ずかしいことをしていたなんて思わなかったから。でも、同時に、私はその一面が可愛くて、もっと知りたいって思ったんだ。
それから、気づいたらいつも拓をからかったり、少し意地悪をしたりして、彼を振り回すのが楽しくなっていった。
でも、その裏で、私自身も気づかないうちに、拓のことをどんどん特別な存在だと思うようになっていったんだ。
高校に入ってから、私ははっきりと「好き」という感情を自覚するようになった。
幼なじみとしてではなく、一人の男の子として拓が好きなんだって。
でも、拓はきっと気づいてくれないだろうと思ったから、私はいつも通り彼を振り回す「幼なじみ」の立場を維持していた。
そうやって少しずつ近づきながらも、どうやって気持ちを伝えればいいのかわからなくて──もしかしたら、拓が私に気づいてくれるのを待っていたのかもしれない。
でも、待つだけじゃ何も変わらないと思ったから、勇気を出して告白したんだ。
「ずっと、拓のことが好きだった」
その時、拓は驚いた顔をしていたけど、ちゃんと受け止めてくれた。
そこから少しずつ、私たちの関係は変わっていった。そして、付き合うことになって……今こうして、私たちは一緒にいる。
「ねぇ、拓」
私はふと、隣を歩く拓に声をかけた。夕暮れ時、いつもの帰り道。
付き合い始めてからも、こうして一緒に帰る時間は変わらない。
だけど、手を繋いで歩くようになったことで、私の心は以前よりも温かいものに包まれている。
「何だよ?」
拓はいつも通りの声で返してくれる。だけど、その声も、少し優しく聞こえるようになった。
「昔から、こうして一緒にいるのが当たり前だったよね」
「そうだな。ずっと一緒だったもんな」
拓が少し照れくさそうに言うのを聞いて、私は笑った。こうやって一緒にいるのが自然で、心地よくて、私にとっては一番大切な時間。
「でもね、私、ずっと幼なじみとしてだけじゃなくて、ちゃんと一人の男の子として拓を見てたんだよ」
その言葉に、拓は少し驚いた顔をして、でもすぐに「わかってるよ」と答えてくれた。私の気持ちは、もうちゃんと彼に伝わっているんだって思うと、自然と笑顔がこぼれる。
「だから、これからもよろしくね、拓。ずっと一緒にいたいからさ」
その言葉を口にすると、胸の奥がポカポカと温かくなった。
今までの時間も大切だけど、これからの時間はもっと特別なものにしたい。
拓と一緒に過ごす未来が、ますます楽しみになってくる。
「もちろんだよ、玲奈。これからもずっと一緒だ」
拓はそう言って、私の手を優しく握り返してくれた。その手の温もりが、これからの私たちの絆を強く感じさせてくれる。
「ふふ、ありがとう」
私は小さく笑い、手をぎゅっと握り返した。これまでの時間も大事だけど、これからの時間はもっと大切にしていきたい。
付き合い始めたばかりの私たちだけど、これからどんなことがあっても、ずっと一緒に歩いていける──そう信じられる瞬間だった。
「じゃあ、今日も私が少しだけリードしていい?」
「はは、仕方ないな。ほどほどにな」
いつものやり取りをしながら、私たちは手を繋いで夕焼けの中を歩いていく。この距離感、この温もり──ずっと感じていたいと思う。ずっと、これからも。
「拓、これからもよろしくね」
「うん、よろしく」
そう言って微笑む拓の顔を見て、私は胸の中で何度も「ありがとう」と呟いた。拓がいてくれることが、本当に幸せなんだ──そう思いながら、私たちはこれからもずっと一緒に、同じ未来を歩いていく。
「拓、ほんとに大好きだからね」
私のその言葉に、拓は照れくさそうに笑いながら、ぎゅっと手を握り返してくれた。
これからも、この関係が続いていく──そう信じられる瞬間だった。
そして、私たちは新しい一歩を踏み出した。
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俺の全てを知り尽くしている幼なじみが最近やたら俺の弱みをチラつかせて距離を詰めてくるのは何故だろうか やこう @nhh70270
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