第37話 おっさん、剣と魔法の世界にジェット戦闘機を召喚する

「ギギャー」

「ギャース」

「グワグワッ」


 王都上空に集まってくるワイバーンの群れ。

 黒い翼を大きく羽ばたかせて、鋭い爪とくちばしをギラギラと光らせる。まるで王都全体を威嚇しているかのようだ。


「ルーナ、俺たちはどうする? いったん王城に戻るか?」

「いえ、ショウタさま。わたくしたちは、この大教会でワーバーンを迎え撃ちますわ。王城は守備隊長に防衛の指揮を取ってもらいます」


 本当は王都に侵入される前にどうにかしなければならないのだろうが、今更そんなことを言ってもはじまらん。


 大教会の最上階に上がる俺たち。登りきると少し開けた屋上に着いた。


「おお、ここなら全体の見通しが聞くな」


 大教会は王都内でもっとも高い建造物だ。ワイバーンの猛攻にさらされるリスクもあるが、こちらからも攻撃がしやすい。それに目視によって王都全体の状況をある程度把握できる。


 屋上に上がったのは俺とルーナに聖女エレシア。そして駆けつけた10名の騎士のみだ。

 すでに一部のワイバーンは王城への攻撃を開始しており、守備兵との戦闘が繰り広げられていた。


 みんなの前に立つルーナ。



「総員聞きなさい! 聖女であるお姉さまの聖魔法で攻撃を開始しますわ。周りの騎士たちは聖女の護衛をなさい!」



「「「はい、ルーナ王女殿下!」」」


 騎士たち抜刀して、ワイバーンの襲撃に備える。


 そして聖女エレシアが詠唱を開始した。


「ショウタさまは、召喚魔法を!」

「よしきたルーナ!」


 俺は【三流召喚魔法】を連発で唱えまくる。


 聖女エレシアも魔法で応戦を開始した。


「聖なる光よ! 敵を撃て!

 ――――――聖光弾魔法ホーリーバレット!!」


 聖女の放った聖なる光弾が、ワイバーン一体に直撃した。

 ダメージを負ったワイバーンが、怒り狂ってこちらに急降下してくる。



「ギシュアァアア!」



「「聖女さま、うしろへ!」」


 騎士たちが前に出て、ワイバーンの鋭い爪から聖女を守るべく奮戦。なんとか教会屋上から追い払うことに成功する。


 そこへ詠唱を終えた聖女エレシアの放った魔法が、上空に戻ろうとするワイバーンに直撃した。



「「おお! やったぞ! まずは一匹めだ!」」

「さすが聖女エレシアですわ! そして騎士のみなさん、良く踏ん張りましたわ!」


 俺は【三流召喚魔法】を連発で唱えまくりながら、戦いの様子を見ていた。


 凄いな……凄い事に間違いはない。


 だが、一体の対処にかなりの時間がかかっており、さらに護衛の騎士たちもすでにかなり消耗している。


 騎士たちを鼓舞していたルーナが俺の傍に来て、俺だけに聞こえるように話しかけて来た。


「ショウタさま……敵の数が多すぎますわ」

「ああ、いくら聖女が凄いと言っても、限度があるな―――【三流召喚魔法】」


「はい、そもそもお姉さまは戦闘に特化した方ではありませんわ。だから……」

「たしかに―――【三流召喚魔法】」


 聖女と言えば結界や回復系の方が得意分野なんだろう。

 ルーナが俺をジッと見つめる。


「わかっている、とにかく召喚だな―――【三流召喚魔法】」


 すでに足元は大量のパンツとブラで埋もれ始めている。


 が、俺の能力はガチャ召喚だ。とにかく引き続けるしかない。


「ショウタさまが初めに召喚した筒がいいですわ」


 ルーナが言っているのは88ミリ高射砲のことだろう。たしかに対空砲だし、その威力を存分に発揮するはずだ。


 だが……


「―――【三流召喚魔法】」


 そう簡単には出ない。ガチャ召喚の宿命だ。



「ショウタさま、わたくしのスキルを使いますわ」


「まてルーナ。もうそれはやめておけ」


「あら、なぜですの? 予言書にもヒロインは主人公のために全力を尽くしてますわ」


「いや……まあそうかもしれんが……」


 実は俺は知っていた。前回T34中戦車隊を召喚した後日、ルーナの体調がすぐれていなかったことに。

 メイドのアンナさんがそれとなく教えてくれた。決してルーナには言わないで欲しいとそえて。


 俺自身も流石に気付いていた。顔色が悪いし、ノリがいつもより無理をしている感が隠しきれていなかったし。

 はじめはチートに近いスキル使用だから、一時的な消耗が激しいのだろうと思っていたが、今回の件でその認識は違うと感じ始めた。


 それは……使用するたびに症状は重くなっているように感じる。

 一時的とかそういうレベルじゃない。


 だが、こうも思う。

 たぶんルーナ自身がスキルを使用すると決めたら、絶対に使うのだろうと。


 それには王族としての使命や義務もあるのだろうが、なにより彼女自身のなにかしらの決意を感じる。


 そんな決意の視線をグッと向けるルーナ。



「わかたったよルーナ……思いっきりいこうぜ」



 その少女はニッコリと微笑み、頷いた。



「さあ~~~いきますわよ~~【愛の鞭】~~そ~~~~~れ♡」



 ――――――ふあっ!!



「ワタクシも~~いきますよ~~【聖女の鞭】~~~~!!」



 ――――――ぐはぁ!!



 なぜか聖女エレシアも光の鞭をふるってきた。

 てか、聖女の鞭ってなんなの!?



「フフショウタさま~~お姉さまの鞭は【効力増加】の力がありますの~~」


 効力増加?ってことはルーナの【愛の鞭】(運アップ)をさらに爆上げしてくれるってことか?



「「さあ~~もういっちょう」ですわ~~」


 2人の美少女から同時に鞭が叩き込まれる。



「「――――――【愛の鞭】&【聖女の鞭】ぃいいい~~~♡♡♡」」



 うぉおおおお!


 凄い! なんかわからんけど凄いっ! これ!!


 美少女2人がここまで頑張っているんだ……


 本当に俺が主人公ならば―――



 ここでだす!!



「――――――【三流召喚魔法】!!」


『鞭で覚醒するとは、流石マスター。安定の変態デスネ』


 おお、久々にこいつ(スキル)の悪態を聞いた。


 ってことは――――――


『はい、当たりデス』


 よっしゃ! さすがルーナの鞭だ!


 召喚対象が具現化されていくにつれて俺の魔力がどんどん消費されていく。


 しかし今回の召喚物は……


 って、これとんでもない魔力量が必要なんじゃないか!?

 今の俺でもある程度はあるけど、そんなものの比ではない……まったく足らんぞ。


「ショウタさま~~これの出番ですわね~~♡」


 ルーナの大きなブルンから取り出された大きな魔石。


 おお! 魔族グリアーチの魔石か!


「よっしゃ、ルーナ頼む!」


「は~~い、ショウタさま~あ~~~ん♡」


 え? あ~~ん?


「―――って、むぐっ!!」


 る、ルーナ! なにやって!?


 思いっきり俺の口に魔石を突っ込んできたルーナ。

 なんだよこれ! いつもと違うんだけど!


「直接吸収ですわ~~バリバリいってくださいですわ~~♪」


 ええ! マジかよ、魔石って食べれるの!?


 俺の歯で砕けた魔石が、じゃりじゃりと舌から喉へと通過していく。


 ……あれ? けっこう美味いなこれ……。


 なんて言ってる場合じゃなかった。

 俺は必死に魔石を食べる。


 ジャリジャリジャリジャリ


「か、完食だ……ルーナ」


「ンフフ~~直接だとより魔力を吸収できますわ」


 そうなんか?

 んん? たしかに身体の奥底から魔力が噴き出してくるよううな……


『マスター、膨大な魔力を感知。これならば完全召喚が可能デス』


 よし、出し惜しみなしの一気召喚だ!


 だが、いつもの魔法陣が見えない。


「おい、どこに……ってあれ……」


 魔法陣は上空に多数展開されていた。


 そして、現れたのは――――――



「ショウタさま、あれって筒ではないですわね?」


「ああ、高射砲よりももっと凄いやつだ」



『マスター、F-15(イーグル:第4世代ジェット戦闘機)2個飛行中隊の召喚完了シマシタ』



 剣と魔法の世界にジェット戦闘機かよ―――いいじゃないか!!



「よし、まずは王都上空の制空権を取り戻すぞ!」



―――了解!ロジャー ザット アルファ中隊! エコー中隊! アルファ スクワドロン、エコー スクワドロン――――――全機発進!!オール ユニッツ ローンチ



 さあ、おっさん兵器無双の時間だぜ!!





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こちらの作品も是非お読みください!


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