第33話 おっさん、聖女に会う

「これが大教会か~大というだけあって、けっこう大きいな」

「ええ、ショウタさま。王都のシンボルでもありますのよ」


 ダスタ王子がいきなり来て騒ぎを起こした翌日、俺とルーナは王都の中心部にある大教会に来ていた。

 ルーナが俺を聖女さまに会わせたいと言うからだ。


 内部も凄く広くて立派だ。

 そして、一番奥の部屋に入ると一人の女性が立っていた。


 その整った小顔に高い鼻、ルーナと引けを取らない美貌。

 紫色の髪は、部屋に入り込む光と呼応してほんのりと淡い光に包まれていた。

 琥珀色の瞳が優しく輝き、高身長ながらも引き締まった腰と豊かなボディラインが修道服に包まれていて、どこか気品を感じさせる。


 歳はルーナの少し上だろうか?

 この人が聖女なのだろう。


「ルーナ様、ご機嫌麗しく。ご無沙汰しております」

「こちらこそですわ。聖女さま」


 2人の美少女は互いに綺麗かつ優雅なカーテシーを交わす。


 そして、聖女さまに身体の動きがあったことで確信した。


 この人、とんでもなくデカい。


 何がって、2つの膨らみですよ。


 修道服に隠しきれていないのはそれとなく気付いていたが、動くたびに山脈がブルンとうなるではないか。

 ルーナやシオリちゃんもヤバいが、この人はそれを上回るぞ。


 なんて邪な事を考えていたら、ルーナがこちらに視線を向けてきた。


「ショウタさま、聖女エルシアさまですわ」

「ど、どうも。しょ、ショウタです」


 おっと、少し言葉が詰まってしまった。やっぱ変な事考えてちゃダメだな……。

 格式張った挨拶は俺には良く分からない。とにかく名乗って、頭を下げる。


「本日はお越し頂きありがとうございます。エルシア・ロイ・ヒルステアと申します。以後お見知りおきを」


 綺麗な所作で、気品ある挨拶を返してくれた聖女。


 しかし待てよ、なんか聞いたことあるような名前だな……?


「えと、ヒルステア?」


「フフ、ワタクシ、ルーナちゃんの姉です。第二王女なんです」


「ちょっとお姉さま! ちゃん付けはやめてと言ったはずですわ!」


 あ、なるほど。


 姉妹だったのか。どうりで顔立ちが似てるはずだ。


 ルーナが言うには、幼少の頃より聖女の力に目覚めて18歳の今でも聖女として活躍しているそうだ。

 そして挨拶を終えた聖女さまは、急にルーナの方を向いて満面の笑みを浮かべた。


「ところで……ひさしぶりねっ!ルーナちゃん!!」


「うぷ……おねぇ……さ……」


 振り向きざまにルーナをガバっと抱きしめる聖女エルシア。



「や~~ん、久しぶりのルーナちゃん~~いいぃ~~」



 うわ、なんだこれ。ルーナの小顔が聖女の膨らみに埋もれていく。


「えっと……聖女さま、ルーナが溺れてますよ?」


「何言ってんるんですか、ワタクシ妹ちゃん成分がぜんぜんたりてないの~~はぁはぁ~」


 妹成分って……王族って癖ある人しかいないのかよ……

 俺が若干引いてる最中も、2人の美少女がモニュモニュしている。


「ショウタさんがルーナちゃんを独り占めしているからですよ~~ズルい~~」


 知らんがな。俺も首根っこ掴まれて引きずられたんだからね。

 とは言えこのままだとルーナが窒息してしまうので、はぁはぁ言ってるシスコン聖女をルーナから優しく引きはがす。


「た、助かりましたわ、しょ、ショウタさま……」


 聖女の膨らみから脱出したルーナは肩で息をしていた。いや、マジで恐ろしいな聖女のタユン。



「おねぇさま……ふざけてたら怒りますわよ」

「だって、ルーナちゃん全然来てくれないんだもん。ギュウのひとつもしたくなるの」


「わ、わかりましたわ。これからはもう少し会いますから」

「やった~じゃあ明日はランチね! ランチだよね! ランチしかないよね!!」


 どんだけルーナとランチ行きたいんだよ、聖女さま。


「わかりました。明日もショウタさまと伺いますわ」

「わ~~い、やった~。お姉ちゃん今日は頑張るからね~~♪」


 良かったな聖女さま。ってなぜか俺もスケジュール抑えられてた……。


 まあ仲がよくて大変よろしいってことにしておこう。


 で、そんなことよりも。


「あの、今日はいったい何をするんですか?」


 朝から大教会に来て、いまのところ膨らみのイベントしか発生してない。そろそろ本題を聞かないと。


「今日は、【結界】施設の見学ですわ」

「え?【結界】って王都周辺をぐるりと囲んでいる壁の事だろ? でもここは教会なんじゃないのか?」


「ふふ、ショウタさま。その【結界】はこの教会を中心に張られていますのよ」

「そうですよ、ショウタさん。この大教会内部に【結界】の管理施設がありますから」


 美少女姉妹がそろって俺に笑みを向けた。


「なるほど、それは理解した。だけどやはり俺はなにも出来そうにないけど。まあルーナのお付きってところかな」


「いえ、ショウタさま。実は今回の見学希望者は別にいますの……ふぅ」

「ああ、そうだった。今日はルーナちゃんが来るって浮かれてたけど、忘れてたわ~~むぅ~~」


 ルーナからは落胆のため息が聞こえ、お姉さん聖女からはなんか若干怒気が漏れている。


 なんだろう、おっさん嫌な予感してきたよ。


 そう思った時――――――入口からけたたましい声が響いてきた。



「――――――俺様のルーナぁああ! どこにいるぅうう!!」


「で、殿下!落ち着いてください!」



 なんかこれ、昨日も聞いた声じゃん。


「なあルーナ。その見学希望者って……」


「はい、ダスタ王子殿下ですわ」



 やっぱり……すっごく面倒なにおいがしてきた。





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