第22話 おっさん、魔族と召喚勝負!兵器召喚の時間です!

「ギヒギヒ、わしはグリアーチ。魔王軍が将軍の1人じゃ。ギヒギヒ」


 うわぁ……やっぱ魔族だった。しかも将軍かよ。


「出ましたわね魔族!レッド(ショウタ)さまの踏み台になりなさいですわ!」

「ギヒギヒ、人間の分際でほざくない。さっさと始末して、その口ふさいでやるわい」


 ちょっと王女様、敵を不必要に煽らないで欲しい。


「さ、レッド(ショウタ)さま!やってしまえ~ですわ~~!」


 無駄にテンションが高いルーナ。

 が、出たものはしょうがない。

 随分と特訓もやってきたしな。ここで成果をみせてやる!



「――――――【三流召喚魔法】!」



 光と共に出現したのは―――


 パンツかぁ~~


 安定の出現率だぜ。



「ギヒギヒ~なんだそれは?ゴミしか召喚できんのか? では、わしの番じゃな~」


 ゴミちゃうわい。俺の下着は超高品質だということを知らんようだな。


 グリアーチが口角を引き上げつつ懐から杖を出す。


「本物の召喚魔法をみせてやるわい。

 いでよ地獄の門―――――――――!」


 グリアーチの叫びとともに地面がぐらぐらと揺れ、底から何かがせり上げってきた。


「な、なんだこれ?」

「門……ですの?」


「ギヒギヒギヒ~~これで繋がったわい~~さあ~~開門じゃあ!!」


 ギギギと大きな門の扉が開いていく。奥は漆黒の闇でなにも見えないが……


「ふぇ!? な、なんかいますぅ!」


 シオリちゃんがビクッした声をもらす。門から何かがゆっくりとでてきた。



〖グルルル……〗



「ギヒギヒ、さあさあ出てこいケルベロス」


 ケルベロスって、あの地獄の門番か?


 門からのっそりと出てきたのは、頭が3つもある巨大な魔犬。


「ふわぁ、おっきなワンちゃん」

「ショウタさま、この魔物かなりの強敵ですわ」


 シオリちゃんとルーナが警戒の声をあげる。

 そのケルベロスが低い唸り声をもらしながら、俺たちを睨みつける。


〖グルゥ……おんなのにおい〗

〖うまそうなにおい3ひき、グルゥ〗


〖1ひきマズそう〗


 そうだ……おっさんはマズいぞ。


 なんて冗談をかましている場合じゃない。このデカ犬、見た目すっごく強そうだ……人語を話してるし。


「ギヒヒ~ケルベロス、王国進行開始の余興じゃ、さっさと始末してしまえ!」


〖グルゥ~~〗

〖せんてひっしょう〗


〖――――――グルァアアアア!〗


 3つの口が大きく開いたかと思えば、急に衝撃が体を襲った。


「うおっ! か、身体が浮くっ!」


 凄い圧力でうしろに飛ばされる俺たち。

 衝撃波というやつか……俺は体勢を崩しつつも受け身を取る。


 地面に転がった俺であったが、なんとか立ち上がり体勢を立て直す。

 ルーナたちも無事みたいだな……って!


「お、おい、ルーナ……仮面が」


 よく見るとルーナだけでなく、シオリちゃんもアンナさんも仮面が剥がれていた。

 てことは、俺もか……まあ仮面は正直つけてもつけなくても良かったけど。


〖やっぱりおんなだ〗

〖むちむち3ひき〗


〖おっさんマズそう〗


 仮面が剥がれたことで、より美味いマズいの線引きが鮮明になったようだ。


〖もっと弱らせよう〗

〖おんなたちは踊り食い〗


〖――――――グルァアアアア!〗


 再び衝撃波を放つ、ケルベロス。

 もっと犬っぽく近接戦闘を仕掛けてこないのかよ。


 だが、今度はその衝撃波が俺たちに到達することはなかった。



「―――勇者の守護結界ブレイブシールド!」



 シオリちゃんが展開した緑の【結界】がケルベロスの衝撃波を防いだからだ。

 衝撃波を防ぐと、緑の壁はすぐに消えていく。恐らくは瞬発的なシールドなのだろう。持続性はないが、即時発動できるみたいだ。


「す、凄いな、シオリちゃん!」

「ンフフ~さすが癒しの勇者シオリですわ~」


「へへ、私も色々頑張ってるんですよ。さあ―――癒しの花吹雪エリアハイヒール!」


 おお、俺たち全員の体が緑の光に包まれる。

 と同時に、初回衝撃波でうけた擦り傷や体の痛みが消えていく。複数同時治癒か……。


 すげぇ、これが勇者の力。


 そんな様子を見ていた魔族グリアーチが目を細める。


「情報部のリストで見た顔じゃなぁ……。そうか、貴様が結界を強化した勇者か。それに金髪は第三王女だな。あとはお付きのメイドにただのおっさん」


 次々に身分を暴かれていく女子たち。魔族ってイケイケドンドンなイメージだったけど、諜報活動とか意外にしっかりやっているんだな。

 ちなみに俺は安定のモブ認定だ。さすがおっさん。


「なるほど、ガルマのアホがやられおったのも、あながちまぐれではなかったのかもしれんな」


 ガルマ……ああ。序盤に出て来た将軍か。

 ちなみに王国では、召喚された者が魔族ガルマを討伐したと公表しているらしい。王国で召喚された者といえば、勇者たちだ。


 おっさんも、召喚された者に含まれてはいるけどね。


「まあ【結界】が強化されるのは予想済じゃわ」


「おまえは【結界】になにか細工をしにきたのか?」


 ここは【結界】の中だ。もしかて内側からだと【結界】を破壊しやすいとか。なにか仕掛けるとかそういう計画を立てているのかもしれない。


「細工じゃと?そんな面倒な事はせんわい~~。

 冥途の土産に教えてやるわい。この【地獄の門】は魔王領と繋がっておるのじゃ。つまり―――

 ケルベロスを呼び寄せるためだけの門ではない。ということじゃ。グフグフ~~」


 ケルベロスを召喚するためだけの門ではないだと。


「グフフ、門を開いたのは準備完了の合図じゃ。我らが第一軍団王都侵攻のなぁああ! グフグフグフ~~!」


「おい……ってことは」


「そうじゃ~~間もなく第一軍団が門をくぐってくるのじゃ~【結界】なんぞに邪魔されんとなぁ~~。まあ欲を言えば王都中心部で開きたかったが、致し方あるまいて」


「なんですって!!」


 ルーナが眉間にしわをよせた。


 それもそのはず。王国は魔王軍が大攻勢を仕掛けてくるならば、沿岸国境線での戦いになると考えている。

 最悪そこが抜かれたとしても、【結界】がある程度は持たせてくれるはず。その間に体勢を再度整えて迎え撃つ。


 そんな考えのところに、いきなり魔王軍が王都周辺で大量発生したら大混乱に陥るだろう。


 ルーナはアンナさんに小さな声で指示を出す。


「アンナ、王城に行き現状を報告なさい。そして可能な限りの戦力をこちらへ寄こすよう伝えなるのですわ」

「で、ですが、姫様はどうなされれのですか?」

「わたくしはここに残り、魔王軍の進軍を遅らせますわ」

「そ、そんなこと……」

「事態は急を要します、早く行くのですわ。それに主人公のショウタさまがいるのです。安心なさい」

「……はい」


 俺に近づき、一言呟くアンナさん。


「ショウタさま、姫様をくれぐれもよろしくお願い致します」


 アンナさんはその言葉を残して、影のように消えていった。


 アンナさんの表情……はじめて見たな。いつもの無表情では無かった。



「とうことです。ショウタさまシオリさん。ここは踏ん張りますわよ!」


「ああ、わかったルーナ」

「はい、ルーナさま!頑張りますっ!」


「ギヒギヒ~~わしが見逃すわけなかろうが~」


 魔族グリアーチが遠ざかるアンナさんに向かって、炎の塊を連発して発射する。


「―――勇者の守護結界ブレイブシールド!」


 シオリちゃんのシールドが炎の弾丸を全て食い止めた。


「ギシギシ~~うっとおしいのぉ~小娘がぁ!ケルベロス!さっさとこいつらを始末するのじゃ!」


 グリアーチの命令をうけて、ズンズンとこちらに駆けてくる巨大な魔犬。

 シオリちゃんが再び【結界】を展開して、その突進を阻止する。


 ルーナがその間隙をぬって、レイピアでの攻撃を試みる。


 みんながみんな、今やれることを全力でやっていく。


 さて―――


 俺がやれることは一つしかない……


「ルーナ! 一発たのむ!」


「もちろんですわ~~! 【愛の鞭】いきますわ~~そ~~~~~れ♡」


 ルーナのスキル(鞭)で、ビシッとバフをかけて(しばいて)もらう。

 これで運と魔力は補充されたはず。


 あとは、おれが引けばいいだけだ!!


「――――――【三流召喚魔法】!」

「――――――【三流召喚魔法】!」

「――――――【三流召喚魔法】!」

「――――――【三流召喚魔法】!」

「――――――【三流召喚魔法】!」


 光の中からおびただしい数のパンツが降ってきた。


「ギヒギヒ、おっさんはクソの役にもたたんのう、下着しか出せんのかぁ」


 グリアーチが 侮蔑に満ちた笑みを浮かべた。


「ンフフ~~おばかさんな魔族ですわね。ショウタさまは主役ですの~~ここぞという時には必ず活躍しますわ!」

「ギヒヒ~~こんな三流おっさんが活躍だとぉお?この国の姫は脳みそお花畑じゃなあ~ギヒヒヒ~」



 たしかに俺は三流召喚士だ。

 だからみんなに助けてもらっている。


 シオリちゃんに防御してもらって―――

 ルーナに幸運を注入してもらって―――



 だがな―――



「ルーナが言うには……俺は主人公らしいぜぇ!

 ―――――――――【三流召喚魔法】!!」



 いつもよりも召喚の輝きがデカい! ってことは―――


『マスター、当たりデス。さすが主人公、のせられたら天下一品デスネ』


 相変わらず一言多いスキルだ。が、今はそんなことより何を引いたかだが……


 光の中から何かが進んでくる。


 え? なにこのキュラキャラした音?



「おいおい、これ戦車か……」


『マスターその通りデス。

 ――――――T34(76ミリ砲搭載)中型戦車、召喚シマシタ』


 こんな剣と魔法の世界に、キャタピラ音鳴らしやがって……いいじゃないか



「よ~~し、反撃開始だ!」



『――――――了解ターク・トーツィナ! 攻撃準備ガトーヴァ フ・アターク!!』




―――――――――――――――――――


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