第7話

 ホン・シオンという名を聞いて、感づかないものはいない。ハズだったのだが、どうやら、彼は私のことを知らないらしい。

 話しぶりによると、身分が低く、無学で、食べるのがやっとだったらしい。

 こちらのことを、詳しく説明するのも面倒だと思い、単なる旅の者だ、と伝えておいた。本当は、ホン・シンの遠縁にあたる、分家のものだが、余計なことは、言わないでおく。

 現皇帝は、不老不死の秘薬を求め、私に命じて噂の真偽を確かめさせている。

 当然ながら、皇帝自身が使うために。


 シュンジュは、今の生活から抜け出して、一旗揚げることを目指していた。

 どうやら、ドラゴンの牙を持っているみたいなのだが、なかなか手の内を見せようとはしない。

 こんな厄介で、迷惑千万な仕事は、さっさと切り上げて、都に帰りたかった。

 愛しい妻と、生まれたばかりの愛児が待っている。

 そろそろ、都へ帰らなければならないと伝えると、それは奇遇だ、俺も都見物をしようと思っていたんだ、と一緒についてくるつもりのようだ。

 あまり行動を共にしたくない人物だと思いつつも、こちらにも、二心ありなので、余計なことは考えずに、共に都へと旅立った。


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