第37話:カップ麺は世界を救う、いやパンを救う。

ベンジャミンに不意をつかれたレブレスは、以外とあっけなく不甲斐なく気絶した。


「案外に弱っちいやつだな」


「怒らせると怖いヤツれふからね・・・先手必勝れふ」

「動けないようなにかで縛って縛って・・・」


すると健斗が真新しいロープを押入れの中から出してきた。


「都合よくロープが出てきまふね・・・用意よすぎじゃないれふか?」


「あはは、ちょっと試しにパンに使おうと思って買っておいたんだ・・・」


「えっ?どう言う趣向れ?」


健斗はワイン相手にアブノーマルなプレイをしようと企んでいたらしい。

そういうことに興味があったんだ・・・健斗は。


「パンに使う前にコイツに使うとは思わなかったよ」


健斗はそのロープでレブレスを動けないようクルクル巻きにした。


「縛り方・・・勉強中なんだ」


「曽我部っち・・・私を縛ってなにするつもりだったんですか?」


「え〜と・・・まあ、そう言うプレイがあるの・・・」

「やってみたいって思ったけどパンが嫌がるなら無理してやらないからな・・・」


「縛っていいですよ・・・私もそう言うゾクゾクしちゃうの好きだから」

「いっぱい折檻して・・・」


「折檻って・・・ドメスティックになりかねないだろ?」


「は〜カップルでもって変態なんれふね・・・あなたたち」


「おっ・・・お〜誰だ、俺を殴ったのは・・・ぐぐぐ・・・油断したわ・・・」


「あ、こいつ目を覚ました」


「うう?・・・お、おい、なんだこれ縄を解け・・・悪いようにはせんから」


「ダメダメ」


健斗は目を覚ましたレブレスと取引を持ちかけることにした。

カップ麺を持って帰ることを条件にパンは見逃す。

もし今後もカップ麺が食べたいなら定期的に提供する、そういう条件で・・・。


最初レブレスはしぶっていたが、とうとうカップ麺の魅力に負けた。


「分かった、カップ麺と引き換えだ・・・」

「この女を連れて帰ってもスズメの涙くらいの賞金しかもらえんからな」


「その代わり、こんな美味いものをずっと食べられるならそのほうがいい」

「それにカップ麺を大量に仕入れて売って儲けるって手もあるしな」

「それなら賞金なんかより稼げそうだ」


「夜中の三時ごろ外にあるゴミ箱の中にカップ麺を大量に入れておいて

くれたら誰かに取りに来させる 」


どうやらカップ麺は向こうの人には特別なのかもしれない。

健斗にはよく分からなかった。

たかがカップ麺、されどカップ麺。


「カップ麺は世界を救う・・・カップ麺はパンを救うってことか」


場所が違えば、モノの価値観も違うってことだろう。

カップ麺がこの窮地を救ってくれようとは・・・。


レブレスは風呂敷にいっぱいのカップ麺を持ってご機嫌で帰って行った。


これでパンは連れて行かれることはなくなった。

でもゼヌスの奥さんがいるかぎりパンへの危機が去ったわけじゃない。


ま、カップ麺を送り続けてやってる限りはレブレスは来ないだろう。

カップ麺代だってバカにならない、そう思った健斗は多少悪いとは思ったが

ベンジャミンに大量に出してもらってレブレスのぶんをまかなうことにした。


レブレスの頭をどついた杖だが「ヘルモス」と言う杖で、結局、レブレスを

ドツクことにしか使われなかったが実際は呪文を唱えないとただの杖でしか

ないのだ。


もしレブレスが本体を表したら戦わなければならなくなるわけでベンジャミンが

もし杖を使っていたら杖を持ってるベンジャミン以外、全員チリのように消えてしまった可能性もあるわけで、ま、レブエスの頭をドツいたのはベンジャミンの

正しい選択だったかもしれない。


深夜、健斗のアパートの入り口でパイプをくゆらせながら山高帽に黒ずくめの

死人みたいな男が立っていた。

なんでかっていうと・・・


悠生君とワインがラブラブ「セックス」の最中だったからだ・・・。

今夜はロープは使われなかったみたいだね。


「こんなところれ、おふたりのセックスが終わるのを待ってるのもみじめった

らしい・・・」

そう言ってベンジャミンは今回の報告のため自分の世界に帰って行った。


ベンジャミンの報告によって健斗とパンは離れられない関係で、もうこの

世界には戻らないと言うことをゼヌスから聞かされた妻のエマはパンを狙う

ことをやめた。


表向きはである・・・。


エマがパンを狙わないと言ったことをベンジャミンは信じていなかった。

神様の奥方なんて気まぐれで嫉妬深くてワガママな女が多いからだ。

またどんな嫌がらせをしてくるか分かったもんじゃないと思ったベンジャミンは

密かに人間界に帰ってきた。


つづく。





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