第3幕 悪夢

第24話 血濡れのワルキューレ

廃墟になったビルの中には複数の人がいた。

一ノ瀬葵が写った雑誌を机に置き会議をしていた

スピーカー越しに一ノ瀬葵が飛行機でのやりとりを再生をしていた。

「あれがかつて血濡れのワルキューレと言われた伝説の人」

「つーか弱すぎじゃね?俺が確実に殺してやるよ」

「慢心は彼女の前では命取り」

「みんなワルキューレごときに怯えすぎ、所詮はまだ人間のまま。おまけに過去の伝説だ。そんなもんに俺が負けるとでも?どうなんだレイ。」

「皆さん品のない会話はやめましょう。時間の無駄です。彼女は君たちでは相手になりません。そうですよねアポロン様」

「お姉さんは僕が殺す。だから君たちがお姉さんを元に戻すの。冷酷無慈悲だったあの頃のワルキューレに。だから待っててね葵お姉ちゃん」


にこりと笑う少年がいた。


「ヘクチッ」

「葵ちゃん疲れて風邪ひいた?」

「なんか鳥肌も立ってて気持ち悪い」


オーストラリアのホテルの一室3人1部屋のホテルて休んでいた。シャワーで体を洗い

千理に髪を乾かしてもらってるところだった

浴室のドアが開き幽香が出てきた

風呂上がりの影響か普段では全く感じない色気が出ていた。


「1回なら悪い噂、2回なら良い噂、3回目なら風邪とくしゃみをする回数で運命が別れる言い伝えはあるんだよ葵君」

「うっさい」

「まぁ葵君は敵が多いもんねぇ」

「黙れ。そんなことよりこれからどうするか話さないといけない。今の私達に武器どころか戦力が全くいない。いつどこであの男に出くわすか分かったもんじゃない」



「葵君に心当たりは?」

「あったら苦労はしない。実験は止めたはずだが私は中途半端だけどあれは完璧な新人類という名のs…」

「サイボーグって言いたいんだろ?葵君」

「サイボーグ…」


千理が呟くように繰り返す。彼女の不安そうな様子を無視して、私は続ける。


「本格的にあいつらとの戦いになる。なら私も出るべきだと思う」

「葵ちゃん!」

「これはあの実験に関わったあいつらからの復讐という名の戦争だよ千理。それならば私は返り討ちにするだけ」

「葵君。君は自分の身体がどうなってもいいと思ってるのかい?」

「例え私の身体がどうなろうともそれは私の行動で生まれた結果。受け入れるしかない」

「駄目!駄目だよ葵ちゃん」


千理は私の肩を掴み泣きながらさらに訴える


「命の安売りなんてしないで!軽い命なんてないんだよ!葵ちゃん!」


勘違いしてるいるようだ。クスっと笑ってしまった


「千理。それは勘違いだよ。死ぬ気は私にはない。オーストリアに友達はいないのか?幽香」


千理はほっとした顔を見せるが反対に

困った様な顔をしながら幽香は答える


「いるにはいるが少し私とは折合いが悪くてね」

「いるならなんでもいい、一時的にでも動けるようにしてほしい」

「葵君の為に骨を折ることにしてみよう」

「千理、もう今日は疲れたろ?早く寝な」

「葵ちゃんは?」

「今日は起きてる日」

「そっか…」


私は、部屋の窓の外に目を向けた。完全ではない三日月が私に訴える。今のお前は私のように不完全だと告げるように。

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