第20話 不可能は凡人の生み出した諦め

幽香はパイロット両名をファーストクラスへ座らしたベルトをつけた。そして、

私のところにつきまたおぶられる。

走りながらコックピットへ行きドアを開け

私を下ろした


「ここから先はできそうかい葵君。」

「不可能は凡人の生み出した諦めの言葉…だろ?幽香」

「フッ…それもそうだったね葵君。」

「そっちも頼む幽香」


私は扉を閉め、左足をあげ右足だけで歩き千理の肩を叩く。 


「上出来だ。振り向くなよー。そのままでよく聞いて、ここから先は私が引き継ごう。」

「葵ちゃん!?膝は大丈夫なの?」

「有事の際は千理にも手伝ってもらうけど大丈夫。」


私は隣の操縦席へ座り、座席にかけてあるヘッドセットを着けた。燃料、高度、進路を確認する。さっき、機長たちから燃料の残量を聞いたが早すぎる。やはり…中央は空にほぼ等しく左右のタンクだけでやらなくてはならない。余計な土産をいくつも残した男に腹を立てるが千理を心配させないよう冷静に一息着く。


「やぁ葵君、乗客CA共にけが人なし。エコノミーに戻りシートベルトをつけてもらってるよ」


幽香から無線が飛び安否を確認した。

此処から先は私の番。深呼吸し操縦系統を千理から交代をする。管制塔へ連絡したいが合っていない。

周波数ダイヤルを回し、管制塔と連絡を取るための緊急周波数に設定した。


「Mayday, mayday. This is RJA Flight 223 on 135.0 emergency frequency My name is Aoi Ichinose. We are in a critical situation and require immediate assistance. Over."」

(メーデー、メーデー。こちらRJAフライト223、緊急周波数での通信です。私は一ノ瀬葵です。現在、緊急事態に直面しており、即時の支援を求めます。応答願います。)


周波数は間違っておらず、即座に管制塔から返事が来た。


「RJA Flight 223, this is Air Traffic Control on 135.0.We copy your mayday. Can you confirm the nature of the emergency a

nd your current position? Over."」

(RJAフライト223、こちら135.0の管制塔です。メーデーを確認しました。緊急事態の内容と現在位置を確認願います。応答どうぞ)


管制塔は状況を確認し、私たちの位置と詳細を求めてきた。私は燃料漏れと現在の位置、高度、速度を迅速に伝えた。


「We are currently at 35,000 feet, heading east. We have a fuel leak and are losing fuel rapidly. Estimated remaining flight time is less than 25 minutes. We need immediate guidance for emergency landing. Over.」


(RJAフライト223、現在高度35,000フィートで東に向かって飛行中です。燃料漏れが発生しており、急速に燃料を失っています。飛行可能時間は25分未満です。緊急着陸のための即時の指示を求めます。応答願います。)


「RJA Flight 223, roger that. You are cleared for an emergency landing at Sargenthal Airport, runway 07R, runway 07R. Please confirm your fuel levels and the status of all critical systems. Winds are calm, and we have ground crews standing by. Over.」

(RJAフライト223、ザンゲルタール空港への緊急着陸を許可します。滑走路は07R。到着予定時間はおよそ20分です。地上クルーは準備を整えています。現在の燃料残量と機体状況の確認をお願いします。応答どうぞ。)


私の辞書にも不可能は作りたくないが非常な通達を私は喰らった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る