第13話憎らしい肉親
憎らしい肉親。「にく」が被りましたね。なんてダジャレにもならない言葉。でも憎らしいのです。肉親の事なので何か不幸があったりしたらその憎らしさも思い出になるのかもしれないですが…生きている間は…まあ憎らしい。
一体誰が憎らしいのか。
私の場合は父親です。まあ小憎らしい。
父は料理人で、しかも長年料理長の重責を背負ってきた。
有給も取らず家族の為にがむしゃらに働いた。
そこまでは何処にでもある人物評が続きます。
でも私にしたら憎らしい親であるわけです。
何処が憎らしいのか?
それは言動です。私が何をしても認めたがらないのです。
小学生の時。キャッチボールをしていたのですが、父の投げたボールが顔面に直撃。顔を押さえてうずくまりました。
ですが父は笑い飛ばします。「今のも取れんのか」そう言います。更には町内の集まりでも「こいつは出来が悪くて」そう言いながらキャッチボールの話をしてけちょんけちょんに貶してくるのです。小学生の時から父とはそう言うものでした。
成人してから私が小さな畑を営んでいますと。「ミニトマト作れ」「スイカを作れ」と指図してまいります。
それでその2種を育てました。でも父は出来た果実を勝手にもいで食べていってしまいます…そして「うまかった」の一言もなく「草が伸びてる」「満足に耕せんのか」と迫ります。
初めは楽しみとして耕したのですが、横から嘴を挟まれるとやる気も無くなり…翌年は耕しませんでした。
母方の親族に会うときもそう。「こいつは畑も満足に出来ない」そう申します。「畝の高さもガタガタで〜」「満足に育てられない〜」とさも「楽しい」事のように語るのです。さも楽しいように…
私にも言い分は有ります。畝の高さがガタガタと言うのは言いがかり。わざと高くしたり低くしたりと作ったのです。大根等の根っこものを育てるのに耕し柔らかくした土を多く使ってやりたくて畝を高くしたり。スイカ等は地表に広がって育つので畝は低くしたりと用途に分けて作っていたのです。
更には仕事の事にも嘴を挟みます。地元を離れて住処して働いていたのですが、休暇も取れずに働き詰めで働いていて病気にかかり。
闘病の為に実家に帰りました。
「お前は扶養家族にしてやらん」と意地悪な笑顔を向けました。
「帰ってこい」そう言ったのは父であったはずなのに…
更には私の病気を理解せず、「庭仕事をしろ」「料理を作れ」「町内会には代理ででろ」等など無茶を申し付けられました。
町内会に出たときは父の同級生世代ばかりで…
居心地は悪かったです。ですが相手方が気を使って下さったり、「お前の父さん無茶を言うけど…」と労いの言葉も頂きました…父親より気遣いがあるなんてどう言うことか…
身体が精神的にやられて仕事にならないのです。それでも病院代を稼がねばならない。
近くのスーパーでパートを始めました。早朝勤務なので夜の10時には眠りにつく生活。
「あいつは付き合いが悪い」そう言って父親は腹を立てました。朝の5時に起きるのに早寝は必須であるにも関わらず。
終いには「俺が気に食わないから辞めろ」そんな無茶を言うのです。
「いつまでパートやってる。体裁が悪いから工場で働け」そう無茶を申し付けられました。
そうするうちに病気がステップアップ…仕事中に発作を起こして倒れる始末。
職場から3カ月休暇を貰い療養したのですが、実家にこもっているとまた「庭仕事」「料理」「人付き合い」と迫られて療養にならず回復せず…仕事は目出度くクビになりました。
私は追い詰められました。重病になった病は離れてくれないし…気がついたら10年以上闘病しておりました。
現在は父親から離れて一人暮らしをして距離をとっています。
一人暮らしをするに当たっても「アイツは勝手に決めた」と腹を立てる始末…
結局いつになっても私が理解される事は無かったのでした。
人は「子供が憎い親は居ない」と申しますが、私は目の敵にされたかの如く毎日小言を言われました。それが身体にも悪く刺さるのです。
「甘えた事を言うな」「お前が不出来なんだろう」と読まれた方は私を責められるかもしれません。
ですが、事ここに至っては「離別」が最善の闘病方法であると言わざるを得ませんでした。
皆様は肉親と上手くいっていますか?
私はここに書けない位「恨み」が有ります。
憎らしい肉親…もう構わないで欲しい…
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