「彼」をめぐる対話 2、都鄙マジ殺さんへのインタビュー

 ─「彼」さんの今度の件はどう思われますか。


 だってあいつバカだよ?所詮バカなんだよ無学な高卒がさあ。もう無理なんだよ最初から。去年だってあいつMのこと散々最初っから嫌っててさあ。それが大人げないってのまた。まあ、俺みたいな、ヤツの兄貴世代からすると本当にそう思うわけ。お前いい年しててさあ。子どもだって大きいのに、もっと自制しろよって。でも親が死にそうなほどのバカでも子どもはとりあえず育つからな。血は絶対に争えないけどさ。でもあんな台風の時に宅配ピザが届かないからって店に押しかけようとしなくてもなぁ。んで、それっきりだろ?大方川に流されたんだよ。あの妊婦みたいな腹くっつけて泳げるワケねーもんなぁ。っはは。まあ、あいつも短気なところあるから。そこは俺はあいつからすればさっきも言ったけど兄貴みたいなもんだから結構抑えてたんだよ。「どうせあいつ来年異動だから我慢してこらえろ」って。沖身第オキミダイのことなんかもすげえ嫌ってたからな。まああいつはどっからどう見ても女房ともどもイカれてるからわかんなくはないけど。ヤツは極端なところがあるから。嫌いだけど仕事なんだから割り切ってつき合うとかできなかったよな。


 ─「彼」さんの仕事への取組みはどう見ていましたか。


 ねえったら。マジで。よくあんなの雇ってると思うよな。ホント民間だったらとっくにダメだって、もう俺もホント嫌なんだよあんなのと毎日顔合わせてるの。そりゃ会えば話すしかまえば面白いところもあるし、どうせその辺ぶらぶらしてるだけだからこっちの仕事手伝わせたりもするけどさ。だけどさ考えてみ?給料もらってるんだからそれに見合っただけの仕事すんのが人として当たり前だろ?ホントあいつは食って出しての繰り返しだからな。何かというと深刻なツラしてトイレに立て籠ってるし。個室に閉じ籠ってウ●コもLINEも同時にやってるんだよ。そういやあいつがトイレから帰ってきて俺の隣に座った時、なんか芳ばしい残り香がしたことがあったんだよな。っはは。さすがてめえのケツもまともに拭けないようなメルトダウン野郎だから、仕事なんかできないしやらなくても当然だよ。メルトダウンってもちろん脳ミソのことだぜ。みんな溶けて空っぽになっちゃったから、たくさん下から出てくるアレを便器に手ぇ突っ込んで頭に詰め込んでるのかもな。道理で便所に籠城してるわけさ。あーおもしれ。あいつしょっちゅう菓子とか食っててさ。昼休み終わって1時になるともう口もぐもぐしてるからな。リスかよ。っつうかゾウリムシみたいだな。食って出すだけであと何にも考えないで生きていけるんだからな。っはは、オレ今面白いこと言っただろ?ゾウリムシだよあんなの。ばぁか。


 ─都鄙トヒマジコロさんは正直「彼」さんのことは好きでしたか?


 あのバカあのツラで女好きなんだよな。まあ女房は手抜きの四コマ漫画みたいな女だから無理もないかもしれないけどな。ああ、いつだったか毛羅足相ケラタルアイが言ってたな、ヤツが七夕まつりの時にKと一緒に行こうとか言って。目的が「女子高生を見て目の保養のため」だってさ。世紀末レベルのバカだよな、っはは。脳ミソに黴でも生えてなきゃそんなアホ抜かせるかっつーの。あぁ?脳ミソないんだっけ。じゃあ脳ミソに一生懸命詰め込んだてめえのウン●に生えてんのさ。ばぁか。そんなん他人の前で言うこと自体、ヤツも沖身第オキミダイと同じくらいのイカれ具合だよな。大体なんで40過ぎたおっさんが連れだって七夕なんか行くんだよ。それ自体公然わいせつで即逮捕さ。毛羅足相ケラタルアイがそれ聞くともなしに聞いちゃったってめっちゃ引いてた。


 ─「彼」さんについて他に何か言いたいことはありますか?


 最初っからそんなにバカではなかったと思う。いや、バカだけど。でもそれなりにやることはやってたヤツだったはずだよ。あ、それはそれなりに仕事はする人間だったつうこと。でも●●振興課で係長から降ろされたろ?でその後行った生活●●課で事件あったじゃん?だからいろいろ嫌気がさしてひねくれちゃったんだろうなあ。まあ、Mが生活●●課で課長だった時にずいぶん尻拭いさせられて、で、こっちに異動したらまたMが課長だったから、その時点でやる気なんかなかったんだよきっと。でも降格させられたんは本人が悪いんだよ。サボって下に仕事押しつけてたんだから。そりゃチクられるよ。俺だってその立場だったらぜってぇムカつくもん。まあでも結局は元から出来も良くなかったんだろうしな、あとは教育の問題だよ。すっげぇ大事だぜ?教育は。やっぱり高卒はあれだからなぁ。「誰々さんはどこ大学出てるんですか?」「お察しください」「あぁ、栄光の18歳就活組デスカ!」的なね。笑。俺もいつも娘によく言ってるんだよ。「オマエも社会に出て働くようになったらすげぇ魑魅魍魎に山ほど出くわすぞ」ってね。あーあ。


 ─今は何時何分でしょうか。


 娘がさ、もうあいつも俺と性格似てるところあるから、大学の同級生とか結構かまうわけよ。であだ名とかつけるわけよ。うめえんだよなあ聞いてるとさ。で、苫押トマオシ尾馬オマのヤツが、あいつ年寄りのぼんくらのくせにサーフィンが好きとか言ってるからさ。チビのメガネの分際で。ああ、俺も似たような身長だけどさ。で娘に苫押トマオシ尾馬オマの特徴言ってあだ名考えろよっつったら、何て言ったと思う?「波乗りのび太」だってさ。あっははは。すげえお前センスあるわって大爆笑だよ。いいよなあ、どっからこの才能来たんだろうな。苫押トマオシ尾馬オマのマヌケ顔見るたびに思い出すよな。あいつ丸メガネで中身が空っぽだけどいつも無意味にニコニコしてるからババア連中に変な人気があるんだよな。サーフボードに頭ぶつけすぎてダメになっちゃったのは目に見えてるのにさぁ。人って見てるようで何も見ていないんだよなあ。あーおもしれ。


 ─ありがとうございました。












































この男にはいまだかつて誰一人経験したことのないほどひどい死に方をして欲しい

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