第13話「手帳」

 *

 

 何ごとも長続きしないのが私である。


 せっかく手帳を購入しても、三日坊主になってしまうことが多い。


 高校時代などは特にそうであった。毎年、中身すっからかんの手帳だけが積み重なっていった。


 ただそれは手帳の使い方を知らなかっただけ、自分にとって有効な活用方法を理解していなかったというだけだった判明するのは、確か大学に入った頃だった。


 私にとって手帳とは、予定表である。


 日記ではない。

 

 小学校時代は毎日日記を付けていたけれど、楽しくはなかった。過去を振り返るより、未来を見る方が、私の性に合っているという風に思えたのである。


 言わずもがな、時には過去をさかのぼることも必要ではあるし、未来ばかり見ていて、現在をおろそかにしてしまっては意味がない。


 何ごとも過剰はいけない、という話である。


 最近は小説の新人賞に応募することも増えてきたので、普段使いする仕事用の手帳と一緒に、もう1つ、「執筆活動用」の手帳を購入してみた。

 

 何を書くかといえば、「いつ応募したか」「どこに応募したか」「いつ結果が発表されるか」「これからどこに応募する予定か(その新人賞の応募要項も含めて)」を明確にしたというだけの話である。


 前述の通り、そしてきっと後述する通り、私はただの、作家志望なのである。


 元々パソコンの「小説」のフォルダの中に、エクセルで「応募した・する小説賞」をまとめたものを作成していたので、手帳への記入は簡単であった。


 小説の新人賞は、応募期限から受賞作の発表――あるいは中間発表まで、かなりの時間を要する。そのため、かなり先の予定を記入することになる。毎回数百作以上の小説を読み、選考するのだから当たり前である。その中から優秀作を選び抜き、また講評を行う出版社の方々には、本当に足を向けては眠れない。


 これは賞によりけりだが、2次選考くらいまで残ると、編集部からの講評をもらうことができる。雑誌紙面上に自分の筆名と作品名が掲載され、加えて次回執筆における助言をもらえるのだ。ありがたいことこの上ない。頂戴した助言を生かし、次こそは――と思いながら、仕事のかたわら、執筆活動に邁進する日々である。


 加えて、ネット上にちまちまと投稿している掌編小説についても、出来る限り手帳に書き込むようにしている。いつ、何文字の小説を投稿したか。後々見返すと、自分の調子の上下動も分かり、日々の執筆に生かすことができるだろう。


 さて、今年から始めた新しい試み、執筆手帳。


 どこまで生かすことができるかは、自分次第。


 三日坊主にならないことを、せめて祈ろう。



(続)

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