別所飛鳥の恋人は、同じ大学に通う幼なじみのちとせ。
そう周囲には伝えてありますが、実際は違います。
二人にとって親友であり、子どもの頃に亡くなった翔という子がいるのですが、ちとせは死後もずっと彼のことを思い続けていて、別所もそれを知っている。知っていて、ちとせに恋心を抱きながらそれでも翔への思いを認め、なおかつそばに寄り添うのを選んだのが今の彼でした。
別所にとっても翔は親友ですし、ちとせが好きなのが翔であっても、そばにいられるのならそれでいい。
そう思っていたのですが、それでも時折感じる言いようのない気持ち。そしてそれは、同じ大学の同級生、三間坂秀平と五十嵐幸の二人と関わったことで、さらに大きく揺さぶられることに。
実は彼らも、別所たちとは違った形で恋心に関する特殊な事情を抱えた人たち。
だからこそ別所に近いものを感じたのか、グイグイ絡んできて、だんだんと切り離せない関係になっていきます。
最初は強引に付き合わされるような繋がりでしたが、相手のことを知れば知るほど気にかけてしまう。
別所とちとせと翔の三人も、秀平と幸も、人に言っても理解できないような関係であり、そもそも人には言えないようなことだってしています。それでいて当人たちが幸せかというと、どこか心に欠けているものだってある。
それでも好きという気持ちはどうしても捨てきれないから、離れることもない。
歪で複雑な思いを抱えた彼らはどこへ向かうのか。
綺麗なだけでは終わらない、だけど思いはどうしようもなく一途な、そんな人達の物語です。
大学生の別所飛鳥くんと、幼馴染みの高井ちとせちゃんは恋人同士。
……と、周りには言っていますけど、本当はちとせちゃんには、子供の頃に死に別れた男の子、翔くんのことが今でも好き。
しかしいつまでも昔の好きな人を引きずっているちとせちゃんの気持ちはなかなか理解してもらえず。
そんなちとせちゃんのことを守るため、別所くんはニセ恋人をやっていたのです。
しかしある時、別所くんと同じ大学の三間坂秀平くんに秘密がバレ、黙ってほしければ協力しろと言われてしまいます。
人の弱みに付け込むなんて、秀平はなんて悪いやつ……と思っていたのですが。
別所くんがちとせちゃんを守るように、秀平くんにも守りたい大切な人がいて、難しい恋をしていたのです。
その人のためなら、手段を選ばない秀平くん。
だけどその強い思いがやがて、彼や別所くんなど多くの人の首を絞めることに。
好きな人を守りたい人達の、過酷な恋愛劇。
自分を傷つけても構わない別所くんや秀平くんの想いに胸が苦しくなりましたけど、熱い気持ちが読んでて伝わってきました。