第12話 絶望の中
キーコンカーコーン
『 はい、じゃあ授業終わろうか。日直号令。』
『 起立、礼、着席。』
6限が終わった。
──ガヤガヤ──ガヤガヤ
終わりのホームルームが始まる。
担任『 ──はい、じゃあもう伝えることは以上かな。うん、もう帰っていいよー。』
『 しゃー終わったー!!』『 部活だりー。もう今日サボろうぜ。』『 なあ腹減ったー飯行こー。』『 ねえ今日カラオケ行かない?』『 えー行く行く!2組の子達も誘おうよ!』
『 ねえー竹ちゃん(担任)も行こーよー!』『 いや俺普通にまだ仕事あるし。またの機会な。』『 ちぇーつまんないのー。』『 また誘うからねー!』
ワイワイガヤガヤ
………帰るか。
そのまま誰とも話さず、誰とも目を合わさず、階段を降り、下駄箱で靴を履き替え、駐輪場へ向かう。
……いつものことだ。
死んだように学校に行き、死んだように授業を受けて、トイレで弁当食って、また授業受けて。終わったら帰るだけ。
いつもと何も変わらない。変わらないはずなのに、何で。何でこんなに。
胸が張り裂けそうなんだ。
遅刻ぎりぎりで教室に入って冷たい目で見られたことか?せっかく初音が話しかけに来てくれたのに何も喋れなかったことか?二学期に突入したのに男子A、Bに名前どころか存在すら認知されてなかったことか?
…………
全部だ。全部が1日に一気に積み重なり、今の俺に襲いかかってくる。
絶望の中に元からいるならそこが絶望だとは思わない。でも1度希望を知ってしまうと、またその希望を見てみたいと、また知りたいと。その希望に縋りたくなる。
そしてまた絶望に気づくんだ。
「何も変わってねぇくせに。」
『 何も変わってない…?』
…………
「え……」
この薄暗い教室で君と あおい @aoiron
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。この薄暗い教室で君との最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます