ツインマウンテン攻略作戦 2
私が地面に落ちると同時に大きく土埃が舞う、ビームの魔法はなんとか受け止めきれたみたいで、そこまで地面にめり込まずに済んだ。
「けふっ……」
ヤバかった。
高密度の魔力、高威力の魔法、超遠隔での魔法発動、私だから受け止めきれたものの、他の人なら事前の詠唱と魔道具とかの補助でなんとかいったところ。
まとめ、やばすぎ。
この相手の攻略は大変だ。
少なくともこの遠距離での勝ち目はほぼない、逆に言えば近づけさえすれば倒せる可能性はかなり上がる。
「大丈夫かー?!」
っと、一応生存の報告をしないと。
「よいっ」
勢いをつけて立ち上がり、クレーターの中心から出ればヘレンが見つけてくれた。
「大丈夫だったか?」
「ん……」
「良かった……それで、殺れそうか?」
「難しい……」
遠距離で攻撃をしようにも、こっちの位置を正確に掴んで魔法の発動が可能……
待って、なんであんなに正確に位置を把握しての魔法が使えるのに今の私に追撃が来ないんだろ?
騎士団全体に防御魔法が掛かってるから?いや、あの魔法ならこの程度の魔法じゃ壁にすらならない。
もしかして……
「もう一回やる」
「……私とメリッサは力になれないぞ?」
「アルス達、お願い……」
「わかった、終わったら一緒に飯食おう」
いつも食べてるじゃん、なんで今日はそんなフラグ的な意味で危ないこと言うの?
「【魔力鎧】頑張ろう……」
ヘレンに特別強い魔法を掛けて私はまた宙に浮かんで山の山頂を睨む。
まずは情報収集から、私がふと思った2つの仮説を検証しよう。
「こいや〜……!」
1つ目、木よりも高い場所にいる存在を知覚でき優先して攻撃をする。
2つ目、魔王軍を巻き込まないように魔法を使っている。
キーーー!!
よし来た!
前回は正面から受け止めたから辛かっただけで、鏡で光を反射するみたいに魔力の壁でビーム受け流せば少ない魔力で防げるし、上手くやれば魔王軍を焼き払える。
「技術力比べ……」
魔王軍へ反射させたビームはワープホールで再び私の方に飛んで、それをさらに反射を繰り返している。
このやり取りは流石に集中力が必要なのか遠距離で魔法は発動してこない、ただそろそろビームが止まりそうだからその時は気を付けないといけない。
キーーー!!
「2本目……?!」
1本目のビームが止まって直ぐに2本目が飛んでくる。
「余裕ぅ……」
2本目も同じように反射して徐々に魔王軍の方向へと移動して行く、1本目は上空に飛ばして自然消滅を待ってと……
「……?!」
私が飛ばしたはずの1歩目が後ろから飛んできた。
物騒すぎるビームラリー、ビームの先は私だけじゃなくて騎士団の方にも向かい始めた。そっちがその気なら私も魔王軍とビームが出てきた方に向けて反射する。
キーーー!! キーーー!!
ビームがどんどん増えてく、ちょっと余裕が無くなってる、考え事もあまりできない。
「リース避けろ!」
「…………!」
少し高度を落としたら、砂で出来た腕が私を掴もうとしてきたのをアルスの声で気づきなんとか回避した。
「こっちは任せてくれ!リースはそのまま的の魔法を抑えてほしい!」
「……」ぐっ
アルスにグットサインして目の前に集中。
ビームの本数は7本、何故か消滅しないビームでラリーを続けてるけど、このまま増え続けたら流石にキツい。
上空に飛ばそうと弾いても、まだまだ余裕だと言わんばかりにワープホールを使ってくる。
「対策する……」
あのワープホールをなんとかする方法を考えないと!
〜〜アルス視点〜〜
『あのエルフ、厄介だな……』
そう呟いたのは『厄災ガパン』俺からすればお前の方が厄介だ。
「下がってヘレンを呼んできてくれ」
「かしこまりました」
どうすっかな、一応肌を隠すとかの対策はしてるんだがリースが動けない以上、考えてた戦略は使えない。
『貴様か?』
「……何がだ?」
『あのお方が言っていた、我らと同じ厄災を殺した者達がいると』
「ペロミアのことを言っているならその通りだ」
資料によれば『厄災ガパン』の攻撃は基本的に当たってはいけない、その拳は鎧や盾を貫通して体に直接痛みを与える。
それだけじゃない。
真に気をつけなくてはいけないのは奴が纏っている砂だ、あの砂が生身に触れれば身体の水分を吸い取られ動けなくなり、最悪死ぬ。
『厄災が欠けるのは久しぶりだ、あの忌々しい女神がまた何かやったのだろう。
あぁ、本当に邪悪な奴だ、あの御方とは違う、神と呼ぶことすら不快だ』
包帯の隙間から砂が溢れてる、時間経過は周囲に砂が増えて不利になるだけだな。
俺の役割は足止め、和解は出来ないが会話が成立する数少ない厄災だし少し話してみたかった。
だけど上空で魔法を抑えてくれているリースのためにも攻略を早く終わらせる必要がある、他の勇者達を信用してないわけじゃないんだが俺が『厄災ガパン』を倒して戦力を減らした方が早く攻略できるはず。
『久しぶりの戦争の空気、気分が高鳴るな。
そちらのやる気も十分だろう?では始めようか』
「そうだ、な!」
ガツン!
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