魔法職ぅ
4年目 前
〜〜〜〜♪
パレードやってるなう。
今はここセ……セリ……?……正式名称は覚えてないけどアルス達を支援している王国に居る。
「うまうま……」
「おっ、いい食いっぷりだね嬢ちゃん」
「うむ、美味……」
「嬉しいねぇ!」
私は気のいいおっちゃんの屋台で焼魚を食べてる。
え?パレードはどうしたのか?
実は私、まだ国にアルスのパーティーに入ってるって認められてない、だから厄災討伐記念のパレードは参加してないんだ。
「ん……?」
「!」
「ん……」
「「「うぉぉぉぉ!」」」
パレードの中心にいるメリッサと目があってお互いに手を振り合えば、周囲の人達から歓声が上がる。
めっちゃいい笑顔で可愛かったもんね。
「気のせいじゃなければよ、今聖女様と手を振り合ってなかったか?」
「ふふっ……」
謎にミステリアス感を出して去る。
ふへへ、私かっわいい……
「…………」
いつから私って言ってた?!
待って待って、おいおい、嘘じゃん……
「ぉぉぉぉ……」
私いつのまにか無意識で自分の呼び方が私に固定されてた、少し女の子っぽい話し方になってもいるし。
というか、自覚出来ても戻らないんだけど!
「ねぇ貴方大丈夫?」
「んぅ……?」
やばいやばい、ここが外だってこと忘れて蹲ってた。
「大丈夫……」
「ほんと?でもここは人の通りも多いから立って移動しようか、手を貸してあげる」
これが男の声だったらロリコンめ!って感じで警戒するけど女の人の声だから特に警戒することなく差し出された手を取って立つ。
どんな人なのかと顔をあげて目を合わせると、びっくりしている。
冒険者時代に何度か遠くから見ていたけど、初めてこんなに近くで私以外のエルフを見た。
「!」
「ん、ありが──ぇ……?」
御礼を言おうとしたら手を振り払われ、怯えを含んだ目で私を見てくる。
「銀髪の、エルフ……」
この世界で初めてそんな目で見られた。
「おーい、ここに居たか……
ん?何してんだ?」
多分目の前のエルフの人を探しにきた男がこの異様な雰囲気が広がっている場に入ってきた。
「な、なんでもない!」
「こんな場所で女の子2人でなんでもない訳ないだろ、君は大丈夫か?迷子?」
「違う、大丈夫……」
「そうか?」
嫌悪はあまり感じず、どちらかと言えば恐怖、私に恐怖を感じる理由はわからないけどこのエルフの人からは離れた方がいい、そんな気がした。
「気をつけて帰れよー」
ーー今度は一緒ーー
「うまうま……」
どうも、めっちゃ美味しい料理を食べている私です。
少し離れたところにはアルス達が国のお偉いさん、つまり王族とか貴族様に囲まれてる姿を見ながら食べる料理は最高です。
「…………」
あっ、ヘレンと目があった。先に食べてるからね〜。
「うまうま……」
ちなみに今の私はアルス達に招待された客という立場で、特に紹介されてないから1人でのびのびとご飯が食べれるのだ!
「よっ、お嬢ちゃんお偉いさんだったのかい?」
おぉ、昼間異様な雰囲気の場所であった男、王城に入れる奴だったのか。
「ん……?」
というか、お偉いさん?
メリッサにプレゼントされた高い服を着た私は控えめに言ってめっちゃ高貴な人っぽくみえる、とりあえず偉い人じゃないと首を振って伝える。
「まじ、ですか?」
「招待された……」
そう言ってアルス達に視線を向けるとなるほどと納得していた。
「厄災を倒すなんてアイツら凄えよな……先輩なのに砦を半壊させられた俺の数倍凄ぇわ」
明るく言ってるけどちょっとネガティブだなぁ……
ん?先輩?
「おっと、やっと気づいたか?」
「勇者……?」
「正解!いやぁ、溢れ出るブレイブオーラ、それを感じ取っちゃったかぁ!」
いや気づいて欲しそうにしてたじゃん、とは言わずヨイショして気分を良くしてもらう。
私は無口(身体の影響)だから人とのコミュニケーションで大事なことは怒らせないことだと思う、円滑なコミュニケーションのためには必要なのだ。
「それで、お嬢ちゃんはアイツらとどんな関係なん?あっ敬語やめていい?」
「いいよ……」
もう辞めてますがな。
「関係、パーティーメンバー……」
「ん?それはおかしいぞ?」
「……?」
おかしいってなんだよ。
このパーティーが終わったら正式に登録する予定だし、もうそれなりの期間一緒に戦ってるんだぞ。
「……ちょっと耳を寄せてくれ」
「うぃ……」
近づけると耳元で小さく話し始めた。
「勇者のパーティーは基本的に所属する国に管理されてる、強力な天職を持つ者同士で組まされる。
それで最初期、まぁ基本的には3人でパーティーを組んで、足りない役割は傭兵という形で勇者パーティーが雇うんだ」
つまり私は国とって傭兵扱い、でもそれなら特に問題は……
「ただ、戦果によって3人パーティーに新しくメンバーが加わる、厄災の討伐なんて偉業を達成したら確定だな」
……まさか国に強力な天職を持っていると記録されていない私はパーティーには入れないってこと?
「ぅぁ、ぅぁ……」
「それとアルスのパーティーは活躍しすぎてる、多分王族か貴族の後継がパーティーに入って箔をつけようとするだろう。
最終的には安全のためとかいうふざけた理由で傭兵を雇うことはできなくなる」
「ぇ……」
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