第45話 再生と破壊
結構皆楽しんだようで、わいわいと盛り上がった。
屋台の売り上げも、かなりになった様で八重も喜んでいた。
「ねぇ、定期的にしましょう。皆仕事ばかりで退屈なのよ」
そんなことを言い出す。
「ええっ、面倒」
俺はそう言ったが、与野が近寄ってくる。
「皆の戦闘力も見たいし、やろうぜ。それに霧霞は兵士さんが教えて欲しいってさ」
指を差した方向では、勝手に申し込みがされて列になっていた。
「なんだあの看板?」
「いいだろう?」
『秘伝、一子相伝の暗殺武術。霧霞流。申し込みはこちら』
そんな看板が造られていた。
横で、頭領が満足顔だ。
「良いじゃないか」
口々に言われる。
そう言っている、業力はすでに申し込みを書いていた。
だが、そんな片隅で目をうつろにした男が一人。
そう、良い所がなく、コテンパンにやられた武神。
嫉妬が、始まりとはいえ、もっと差は小さいと思っていた。
だが蓋を開けると、その差は到底覆せないほど大きく、それを知って心が折れた……
そんな所に、ここへの復興を手伝いに来た女の子が集まる。
赤髪や、金髪のヨーロッパ系のかわいい子が混ざる。
転移者側では、以外と武神が力だけで、技がないとかに注視したが、この世界の人間からすると、とんでもないスピードで、負けたと言っても、その強さは飛び抜けていることが理解できた。
見た目の良さもあり、黒髪黒目のエキゾチックさは、彼女達の心に響いたようだ。
両手を引かれて、町の方へ連れて行かれ、三日後に、前以上の自信を持って復活をした。
よりどりみどりの女の子達。
有り余る体力で、伝説のようなものを作ったようだ。
異次元の堅さ、異次元強さ。
失神をした子が続出をしたとか。
そのおかげか、俺達は興味の対象となりもて始めた。
そんな平和な時間は、数ヶ月だけ。
本格的な、魔王の侵攻はそこまでやって来ていた。
「大変です。魔王軍が川向こうにまで来ています」
国境を流れる川。
その向こうにまで奴らが来たようだ。
せっかく、復興をしたのに、また戦争。
だが、俺達がいるし、兵達もいる。
皆、そんなに心配をして居なかった。
だが、魔王軍の本体は強かった。
川に架かる橋を、行軍の足踏みでぶっ壊し、一月足止め。
そんなおまぬけな奴らだが、対峙をすると、持っている魔力が半端ない。
「あの方向、主力かな?」
立ちのぼる力で、空気が歪んでいる。
そんな事を言っていると、いきなり魔法が降り始めた。
人間のような作法はなく、いきなり進軍。
「布告もナシかよ」
シールドを展開。
「ぬっ、なんだあれは」
四天王たちも、脳筋。
防御系は初めて見たようだ。
魔王軍は、力押しで、何も考えず魔法を撃ってくる。
そのため、攻撃に斑があるため、その隙で反撃をする。
「おおっ、なんだこの魔法」
そう転移者達の魔法には、物理法則が効いている。
火の他に、見えない音響魔法や雷、この世界ではあまり使われない魔法が使われる。
そして、浄化魔法などが驚異的に効いた。
浴びた瞬間、鬼のような魔人族の体から煙が立ちのぼる。
そう彼らは、瘴気により変異をした体。
元は森の民と同じだ。
エルフが鬼化をした。
その内なる瘴気が、中和され浄化される。
「なんだあいつら、ええいいったん引け」
魔王が叫ぶ。
だがその時、魔王が魔法を一つ町へと放つ。
壁はまだ作る途中で三メートルほどしかなかった。
それが幸いで、力は抜けたようだが、その魔法は町中で力を解放をした。
町には、大工達や、周りの村から来ていた人達がいた。
俺達も、この距離で頭越しに攻撃をされるとは思っていなかった。
無論魔法を放った本人も、思っていなかった。
ただそれは、最悪なことに、町を襲い破壊した。
偶然でも何でも、町は破壊されて、人々が犠牲になった。
武神のハーレムまで……
それを見た彼は、限界突破をマスターする。
「せっかく直したのに……」
「おおっ…… すまない。俺がここに居ろと言ったばかりに」
色々な感情が巻き起こる。
そう、町から距離も取っていた。
だが敵の一発で、町は破壊されて、多くの人が亡くなった。
俺達は、少し天狗となっていたことを自覚する。
ただ、敵に対して、許せないという感情だけはみんなが持ち共有。
結果、川向こうへと侵攻をする。
そんな事が決定をする。
敵の橋はあるが、ぶっ壊す。
土魔法で柱となる部分を隆起させる。
桁を乗せ、いざというときには落とす構造。
幸い、空を飛ぶ個体は見ていない。
「行くぞ」
王国兵も、気合いが入っている。
敵の、作法に従い、出会えば攻撃開始。
そんな頃、魔王軍も焦っていた。
神木から放たれる光と同じ物を敵が使う。
あの光を浴びると、魔人族はひどく弱体化をしてしまう。
どうするべきか……
「人間どものように、木や金で体を覆いますか?」
「それで、しのげるのか?」
「ためします」
そんな騒動が起こっていた。
そうどっちも、正義があり、引くに引けない。
先に手を出したことなど忘れ、やられたばかりが大きくなっていく。
そして状態は悪化する……
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