<第1話、第2話を読んでのレビューです>
異世界召喚という題材は、既に多くの読者が慣れ親しんでいる形式ですが、本作の描写は舞台の煌びやかさよりも、主人公の醒めた観察眼に重きが置かれているように感じられました。豪奢な王や文官の長広舌に対して「灰色の脳細胞には留まらない」と切り捨てるあたり、作品全体のトーンを端的に示していると思います。
個人的に印象的だったのは、聖剣が初めて言葉を発した場面です。
『殊勝な心がけだな、少年!』
この一文は、古典的なファンタジーの「相棒剣」の導入でありながら、どこかユーモラスで、主人公の年齢感とのギャップを軽やかに示しています。以降のやり取りも含め、世界観に緊張感を与えるよりは、むしろ軽妙な対話劇として楽しめる方向に読者を導いているようでした。
一人称の視点から皮肉混じりに世界を眺めることで、ただの「よくある物語」として消費されず、読み心地に独特の余白を残しています。
特に、ビキニアーマーの女性が颯爽と現れる結末までの流れは、唐突さよりも「この先の奇妙な関係性」への期待を抱かせる仕掛けとして機能していました。