第10話

王子たちは眠れぬ夜を過ごした。朝になると男が彼だけを檻から出した。

「この子と一緒に開放する約束だ」

「こっちはこっちで金になる。お前だけだ。」

「嫌だ、一緒じゃなければ、死んでやる」

王子は首にロープを巻いて抵抗した。

「僕が死んだらお金は貰えない。この子のロープも外せて下さい!」

しかし、そのロープは直ぐに取られてしまった。

「もう良いよ。あんただけでも助かって」

「駄目だ!一緒じゃなきゃダメなんだ!僕は死のうと思って家をでたんだ。だから僕が助かっても意味がない。君が助からなきゃ」

しかし、男たちは王子だけを檻から引っ張り出したその瞬間、王子は暴れたがにさるぐつわをかけられて、無理やり小屋の表に連れ出された。


だんだん明けていく暁の中で、森は徐々に明るくなって行った。そして外に出た男たちが見たものは、何百という人の群れと自分に向けられている銃口だった。

その中には薔薇の王子もいた。

弟を心配したゼルダ王女も居た。

王女の携帯電話には、掛けた人の居場所がわかるGPSが付けられていたのだ。

男たちは直ちに逮捕され王子は助けられた。

「中に女の子が居ます。彼女を助けてあげて!」

警護班は部屋の中に入り、檻の中にいたルシェルも助けられた。


トンボの王子が病気ではなく、誘拐されていたと言うニュースは瞬く間に国中に伝わった。




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