恋をしたこともない僕が初めて恋をした話

涼風柚葉

episode.1 これでも28?

午後3時。今日一日の学校の授業が終わった。

僕は雪森藍ゆきもりあい14歳。



王子様、お嬢様校の私立城東南部聖皇学園しりつじょうとうなんぶせいこうがくえんに通う中学2年生だ。この学校システムは人による、保育園からの人もいれば、だいたいの人は幼稚園から小学校、中学校、高校、大学とエスカレーターのように上がっていけるのが特徴の学校だ。



ここには100を超える部活が存在し、50を超える委員会がそれぞれ存在している。


設備でいえば、図書館、学食、自習室、面談室、応接室、客室、職員室、資料館、情報科学館などがそれぞれあり、どこに何の施設があるのか理解するのに1年かかった。いまだにすべての部活の名前を覚えられていない。



「よっ藍。一緒に帰ろうぜ。」肩を叩かれ、名前を呼ばれた。こいつの名前は磯山伊吹いそやまいぶき。小学生の時からの友人でよく一緒に遊んでいる。



友達は多くはないが、少なくもない。クラスが変われば自然に友達が増えていった。



「なぁ、この前の中間試験どうだった?」


伊吹は僕に尋ねてきた。


「う〜んと現代文学が96点、古典文学が95点、表現文学が98点、数学Ⅰが85点、数学Ⅱが91点、数学Ⅲが87点、数学ABCがそれぞれ84、88、93。次に、英語表現が99点、リスニングが92点、コミュ力英語は100点、次に科学が97点、化学が89点、生物学が86点、物理が100点。次に、地理100点、日本史100点、世界史100点、公民100点だったよ。」



僕は全20科目の点数をそれぞれ言った。


「すげぇ……」伊吹はこう言った。


彼の点数を暴露するなら2000点のうち800点に満たすかどうかという、絶望的な点数だ。



この学園は1300点以下を赤点としており、進級することができなくなる人もいる。



伊吹はそのレッドゾーンに立っているというわけだ。僕の成績では何の問題もない。全20教科の合計は1880点。2000点まであと少しだ。



そもそも、普段の授業ですぐに頭に入るのでほとんど勉強を家でしていない。



そのため、家では好きなことをして時間を大切に使えるのだ。



ゲームをしたり、テレビを見たりすることができて幸せだ。



しかし、一つ問題がある。




それは甘々お姉ちゃんが二人もいるということだ。これに関しては結構やばい問題である。



1人は28歳、もう1人は20歳。2人ともお酒を飲める年齢だ。この年の差がやばい。



一番上のお姉ちゃんは保育士、6つ上のお姉ちゃんは女優で、大学に通いながら活動中。保育士と大学生。保育士という仕事は子どもを扱うため、僕を使って練習している。それに6つ上のお姉ちゃんが便乗してきているのだ。



雪森家の姉弟は仲は悪くない。でも関わり方が異常なのだ。



「ただいま。」僕が家に帰ってきた途端、「あいちゃーん!!」と言って一番上のお姉ちゃん、零奈お姉ちゃんが飛びついてきた。


その後ろからゆっくり歩いてきて僕と目線を合わせるように少し背をかがめたのが6つ上のお姉ちゃん、奈々お姉ちゃんだ。



僕の身長は156cm。一番上のお姉ちゃんは172cmもあって大きい。その上力もあるので体重39kgの僕を軽々と持ち上げて抱っこすることが可能だ。




「じゃ、部屋でゲームするから行くね。」


僕は2人の姉からの甘々から逃げるように自分の部屋に飛び込んだ。



あれで28歳なんだからばけものだよなぁ。



部屋に入ってパソコンの電源をつけるなり、僕はGTA5を始める。



GTA5とはGrand Theft Auto 5の略称。カタカナでグラセフと略されることもある人気パソコンゲームだ。



主に人を殺したり、車を奪ったりすることのできる16歳以上が対象のゲームである。



うちは豪邸になっているので僕の部屋はここだけじゃない。ゲーム専用部屋というものが存在している。でも今は自分の部屋で足りてるのでここでゲームをすることにした。



うちの親父はゲーム会社を経営しており、成功した一人である。今は年収8億円程である。



この家はプールが外にあって野菜畑もある。

例えるなら東京ドーム4個分の敷地だ。



僕もこの家の仕組みはよくわからず、夜は一人でトイレに行けなかったりする。




全部の電気が消えてるわけではないが、少し暗めの設定になっているため、廊下の向こうの方はめっちゃ暗いというわけだ。



最近は電気代も高騰しているので仕方のない。





食事を摂り、部屋に戻ってきた。部屋にはパソコン以外に50インチのテレビがある。もちろんテレビゲームもしたりするがアニメを見ることのほうが多いかもしれない。そんなわけで

今日はあるアニメを見ることにした。



それは『五○分の花嫁』だ。



このアニメは自分のラブコメランキングの中でトップクラスに入ってくるほど好きだ。




このアニメは飽きることなく、何回でも見ることができる。それは僕だけかもしれない。




ベッドに寝っ転がって、ポテチを片手に見始める僕だった。



時刻は午後21時。アニメもいいところまでいったので、次はゲームをすることにした。



今はプロスピのスピチャン予選会の時期でもあるため、4つ目のリボン獲得に向け動いている。

ごとぱずもプロスピもイベントだらけで忙しい毎日を送っている。


ブルアカに関しては大決戦が行われているだけで、忙しくはない。

毎日デイリーログインを繰り返している。



そんなこんなでいつの間にか日が変わっていた。



急いでベッドに飛び込み、眠りについた。






次の日、寝坊した。



寝過ぎた。いやお姉ちゃん2人が起こさなかったのが悪い。そう思いたいと脳を回し続けた。しかし、それもうまくいかず、飯を食わずに家を出た。



なんとか遅刻は免れたが、結構ギリギリで色んな人の視線を感じることとなってしまい、最悪な一日のスタートとなってしまった。



「今日はなんだかご機嫌斜めって感じだな。なんかあったのか?」


伊吹に「寝坊した」なんて言えねぇよな。



「うんにゃ、なんでも。」僕はなんでもないと言った。



正直言って寝坊したことなどどうでもいい。だが、問題がある。それはプロスピのイベントランキングが1位から4位に落ちていることだ。これが問題である。このようなランキングを走るにはオールが必須なのである。遅刻をしなければいいのだ。



今は12月。年末の豪華OBセレが開催されており、落合博満狙いでイベントを周回している。


なんとか、3時間やって2位まで上がってくることができた。今までに使った金は大体30万くらいだろうか。正直分からんくらい使ったかも。



こんなゲーマーでアニヲタな僕でも学校では結構顔の知られた人物だ。



その理由は生徒会の会長を務めているからだ。



生徒会のメンバーは改めて紹介するとして、なかなかハードな仕事が舞い込んでくるのが生徒会である。


僕のようなゲーム、漫画、アニメに囚われているような奴が生徒会長を務めていると知られたら一体どんな目を向けられるだろうか。


ここでなぜ僕が生徒会長という役職になったのかを教えたいと思う。


それはこの学校を変えたかったからだ。


今は髪の毛を染めたり、化粧をしたりするのが許可されているが、1年前まではそれが許可されていなかった。


それだけ校則のきつい学園だったのである。

僕はこんなにもきつい校則に縛られていたら楽しい学園生活なんざ送れないと思った。


どうにかして校則を変えられないか考えたところ、生徒会長になるという手っ取り早い案が上がってきた。


当時は既に生徒会に入っており、生徒会役員として働いていた。特に入りたい部活がなかったからだ。


やりがいもあったし、副会長になろうかとも思っていたぐらいだ。ただそのきつい校則が頭の中をちらついていた。


2年生に上がり、第95代生徒会長に任命され、夢が叶った。そこから僕は月に一度行われる演説会で髪の毛を染めることや化粧の許可を得られるようにと生徒、教師に訴えていった。


今年の10月。校則が改定が行われ、髪の毛の染色、化粧などが許可された。これにより、雪森生徒会長は素晴らしい功績を残し、名字で呼ばれることはなくなり、藍会長と呼ばれることが多くなった。何でかは知らん。


この前は古くなった倉庫の改修などを検討した。前の第94代会長の皆川原楓歌先輩も数多くの支持を得ており、引退してもなお原生徒会に助言をしている。


『2年7組、雪森君 生徒会江川のところまでいらしてください。』


昼飯を食おうと食堂に向かっていたところ江川寧々先生に呼ばれた。一緒に食堂に向かっていた瑠衣と伊吹には申し訳ないが先に行っててもらおうと思ったが、『俺らも付いてくよ』と言ってくれた。用はすぐ済んだため、食堂へ向かった。


新作のチーズインハンバーグ定食が出たと聞いてすぐさま食堂に飛んで行きたかったのにまさかの寧々ちゃんが呼んでくるとは思いもしなかった。












































 








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