第43話 決定
「私がお答えします。ユリウス・フルフィウス教授」
『あなたは?』
「カイ・タイシャクテン。『人工物派』代表です」
キルトが通信機をスピーカーモードに切り替える。
ユリウスの音声の向こうで、激化する
『ではタイシャクテン月下。たった今、「
「はい」
正確には真球ではないだろうが、跳ね返った物体は全て中心の
『どうして、「太陽」の影響が無いのでしょう』
「!」
少なくとも。
ユリウスが設置し、キルトが調節し、ルピルが固定した星間車の『レーダー』は。
この世界ではトップクラスに精度が高い。
「そう言い切れますか」
『はい。というより、簡単ですよ。
太陽にも重力があるのなら。
『ここからは仮説です。スフィアと同じように、「崩壊」のスイッチが
「!」
『太陽の重力と星鉄磁力を回復させて、
「凄い……!」
エリーチェが。驚嘆の声を漏らした。それが可能だと、彼女の知識も告げたからだ。
「太陽になんて、行けるのか? だって
逆に、キルトは懐疑的だった。太陽の研究は暗黙に禁じられている。そこへ向かうなど。
「キルト。王族貴族は
「無理だな」
「!」
エリーチェの回答に、ミミがそう告げた。
「太陽は秒速1キロメートルという速さで動いているんだぞ。
『いや、いける』
「なに?」
ユリウスは。頭の中で既にシュミレートしていた。
『いくら速くても、同じ速度で同じ軌道を描いている。なら、太陽の通り道にぶつかるように
「な……!」
『用意できる一番速い
「待て! 今から軌道計算をするのか!?」
『できます』
「!? 誰だ!」
ミミの叫びには、アルテが答えた。既にユリウスは通信機から離れているようだ。
『確かに教授は戦う力は無いしウサギの能力もありません。その上変人で鈍感ですが、それ以外の分野は最強ですので』
「…………!?」
自信満々に語るアルテ。ユリウスへの信頼とこの件の本気度が通信機越しに伝わってくる。
「……高速虚空船なら革命軍のものより王族専用機を使え。手配しておいてやろう」
「……!」
「それに、お前。革命軍は同じく秒速1キロメートルで移動する
「あれは、
「構わん」
「う……!」
そして。通信を聞いていたネザーランドがそう言った。
ミミは。
大きく溜息を吐いた。
「…………だ、そうだ。話を戻すぞ。ルピル」
「うん」
ここまでの会話と通信の間に。
ルピルの表情は、随分と落ち着きを取り戻していた。
未だ、エリーチェの腕の中に収まっているが。
全員の視線が、ルピルへ集まる。全ての決定権を持つ『
「……
「ルピル」
巻き付くエリーチェの腕を優しく掴む。
「僕らも、夢を見てた。あの工場の外に。第5層の外に。ラムダ-4の外に。スフィアの外に。革命軍も同じ。ミミさんは星空を夢見てた。
暖かい。ルピルはこんなにも心配してくれる仲間をありがたく思った。
「人は皆、何かの檻の中で生きている。それは
星鉄と
さらに大きな、天井まで続く塔の遺跡。恐らくはネザーランドとタイシャクテンが、ルピルを連れてこようとしていた目的地。
「やるよ。僕。皆で破ろう。その檻。僕が『
凛々しい表情で全員と目を合わせ、そう決めた。
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