最終話 夏の旅行は終わり

わたしたちはゆっくり肉を焼き、今回の旅行の事を話しながら食事を終えると

時間は20時30分近くになり、オーダーストップにもなったのでそろそろ出発する事にする。


「ふう、おいしかったです。ごちそうさまでした」

「ごちそうさまでした」

「空お姉ちゃん~ごちそうさまでした~」

「いえいえ。それじゃ、そろそろ帰ろうか~」

「ですね」

「今かだと23時をすぎるから、おうちの人に連絡しておいてね~」

「そうですね」


今からだと速くても3時間はかかるので、家に遅くなると電話をしておいた。

そして、空さんは伝票を持って会計をして廊下を歩く。


「お腹いっぱいになったし、眠くなってきたかな」

「あたしも急に眠くなってきたけど.....空さんはまだ運転があるから寝るのは悪いわ」

「もう、温海ちゃん気にしなくていいよ~」


空さんはそう言って、温海に抱きついたけど温海は相変わらずのむっつり顔になる。


「わ、わかりましましたので、離れてください」

「もう、照れない照れない、それともやっぱり夕ちゃんがいい?」

「そ、そんなことは......」

「でも、抱きついたら歩きにくいか、だったら腕組みをしようか~」


空さんはそう言って、温海と手を組むけど......なんだろう、まるで親子に見える。

でも、わたしはあえてそう言わず、2人の姿を見てニヤニヤする。

だって、この方は堪能できるからね。


でも、夕は


「もう~わたしも腕を組むよ~」


と言って、空さんの反対側の腕を優に組むけど、いいですなこの展開。

おなかいっぱいだけど、百合のイチャイチャは別腹ですよ。

そして、温海はさらにむっちり顔になるが、3人はそのままエントランスへと向かって行った。


「もう、恥ずかしいからやめてよね」


エントランスへ着くと、温海は腕をほどくけど顔はとても満足そうではあった。


「温海もそう言いながら嬉しそうだよね」

「嬉しいそうていうかなんていうか......そ、その通りよ」


珍しく温海は素直に認めたけど、夕と空さんと腕を組んだらわたしも同じだけどね。


「ちょっと~お手洗いに行ってくるね~」


夕はそう言ってトイレへと言ったけど、わたしもトイレを済ませておこう。

そして、トイレへから戻ってきたら、温海と空さんはお土産コーナーを覗いていたので

わたしと夕もお土産を見る事にした。


「売ってる物は街中とさほどかわらないか」

「そうね。とくに買う物はないわね」

「土産は買ったけど、自分用に湯の花なんていいかな~」


空さんはそういって、湯の花を買うけど要は入浴剤だよね。


「湯の花は要は入浴剤ですよね」

「そうだけど、温泉の成分そのもだからね~」

「そうなんですか」

「そうだよ。温泉の成分が凝固したものだから、温泉そのままじゃないけど普通の入浴剤よりはいいよ~」


なるほど、温泉成分そのものか。

だったら、わたしも買おう。


「それじゃ、わたしも買っていきますか」

「これで家でも温泉気分だね~」

「ですね」

「あたしは特にかうものはないわね」

「わたしもだね~」

「それじゃ、会計をしてくるね」


わたしと空さんは湯の花を買うと、時間も遅くなるので温泉施設を出て車に乗ると帰路についた。


 温泉施設からすぐのところにある有料トンネル通ると、その先の道は家も店もしばらくない山道で

交通量もかなり少ないけど、その分かなり順調に進んでいた。

そして、山から平地におり市街地を通るけど、日曜の夜だけあって交通量は少ないため。

そして、高速のインターにも予定より早く着き、あとは高速道路を順調に進む。


 わたしたちは温泉に入って食事をしたのもあるけど、高速道路に乗ったあたりから

寝てしまったけど、空さんは途中休憩でSAに立ち寄ったけどそこで目が覚めた。


「ん~寝ちゃったか~」

「そうね......」

「みんな気持ちよさそにねてたよね~」

「空さんは運転してるのにすみません」

「別にいよ、高速ならハンドル操作だけでいいしから楽だよ~」

「そうなんですか」


空さんが言うには、高速道路ならば自動的に前の車について行くので

特段何もしなくていいから楽だそうだけど、今の車はそうなんだ。

さらに言うと、ハンドル操作もそこまでしなくてもいいらしいからすごいな。


「ここからだと、あと1時間30分で着くかな~」

「ここまで1時間30分かかってないですよね、思ったより早いですかね」

「そうだね、すごく順調だったよ~」


道は空いていて、すごく順調みたい。


「そうそう、文乃ちゃんも家まで送るって行くよ~」

「え、いいんですか?」

「着く頃は電車もないと思うし、こんな時間に女の子1人は危ないからね~」

「そうですね、ありがとございます」

「別にいよ~」

「ところで、空さんはどうするのですか?」

「わたしは夕ちゃんの所に泊まるから大丈夫だよ~」

「そうですか」


空さんがどのあたりに住んでいるかは聞いてないけど、出発前にも夕の家に泊まったから夕の所に泊まるよね。


「あたしも夕の所に泊まって、明日帰るわ」

「温海もか。あたしも泊まりたいけど、荷物があるから仕方がないか」


温海も夕の家に泊まるなら私も泊まりたいけど、お土産や洗濯物があるし

空さんが送ってくれるので、わたしは素直に帰る。


「そうよ、素直に帰った方がいいわ」

「そうだね。夕の所はには何時でも行けるし、夏休みはまだあるしね」

「そうだけど、次に夕の所に泊まる時は勉強をしてもらうわよ」

「ま、それはそれ、これはこれで」

「今から勉強しないと、冬の旅行はないかもしれないわね」

「うっ……」


たしかに、今から勉強しておいた補がいい事はわかるけど、まだまだ夏をエンジョイしたいよ。


「まぁまぁ、温海ちゃんもそれぐらいにして、旅行の余韻を楽しもうよ~」

「そうだよ、温海、家に帰るまでが旅行だよ」

「そうね、勉強の話は帰ってからでいつでもできるわね」

「う、やっぱり勉強なのか......」


正直、まだまだ夏を楽しみたいけど、宿題もあるし今から勉強をしないとダメかな。

あと、温海も夕もわたしに勉強を教えてくれるから、とてもありがたい。

だから、次に夕の家に行く時は夏休みの宿題を教えてもらおう。


「休憩もしたし行こうか~」

「ですね」

「空お姉ちゃんは~大丈夫?」

「大丈夫だよ。それに、普段は今頃の時間が一番元気だからね~」


空さんはこう言うけど、やっぱり夜に漫画を描くんだな。


 わたしたちは車に乗るとSAを後にする。

その後も道は空いていて順調に進み、家の最寄りのインターを降り

しばらく走ったら、わたしの家に到着しいた。


「空さん、ありがとうございます」

「別にいよ~遅い時間だからね~」

「荷物は全部おろしたの?」

「ちゃんとおろしたけど、忘れ物があっても空さんは夕の所に泊まるから問題ないかな」

「だとしても、ちゃんと確かめなさいよ」

「そうだね」


わたしは荷物を全部確かめたけど、スマホも財布もちゃんとあった。


「大丈夫かな。温海、今回の旅行はありがとね」

「べ、別にいいわよ。ふ、冬も旅行に行くんだからね!」

「そうだね」

「わたしも、また文乃ちゃんと旅行に行きたいから勉強を頑張ってね~」

「わたしも空さんと旅行に行きたいので、がんばりますよ」

「それじゃ~文乃ちゃんまたね~」

「また夕の所に行くよ、またね」

「それじゃ、おやすみなさい~」

「空さんもおきをつけて、おやすみなさい」


空さんは車を発進させて帰って行ったけど、夜も遅いから家族には会わないでいったけど

家の明かりは一応ついてるけど、わたしが帰ってくるから居間の明かりだけ点けておいて、家族はみんな寝てるかな。

娘が心配じゃない訳じゃないけど、うちの親はそこまで心配するタイプじゃないんだよね

だから、わたしも自由にさせてもらっているし。


そして、わたしは旅行の荷物とお土産を手にすると


「ただいま」


と言って静かに玄関を開けたのだった。

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夏休みにただで旅行に行くのは許されますか? しいず @shiizuu

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