残酷な世界でも、一人ひとりが想いを胸に生きて、戦う

魔女と天使が空で戦うという、終末的で、美しく儚い世界の描かれ方がとても好きでした。
勢力関係や登場人物、戦闘描写のすべてが緻密で、戦記ものとして完成度がとても高いと思います。

戦闘シーンは細部まで丁寧に描かれており、迫力と緊張感に引き込まれました。
そして何より、ミサキちゃんの視点から語られる物語がとても魅力的です。
メインは戦記だと思うのですが、妹ソロネへの愛情、敵との因縁、かつての仲間達への想い、仲間たちとの日常。移り変わる関係。ミサキちゃんの成長。その一つひとつが心に残りました。
登場人物たちがそれぞれの想いを抱きながら生きていることが、端々から伝わってきます。

世界観は重厚ですが、ミサキちゃんの丁寧な世界の見方で綴られる文と回想のおかげで、とても読みやすかったです。
一度読み始めたら止まらなくなる魅力があります。
完結、本当におめでとうございます。
終わってしまった寂しさはありますが、読んでよかったと心から思える作品でした。