第28話 剣の天に至りて 終
唾を飲む、汗を流す、身じろぎする、瞬きする、そういった、人間のごくごく自然な振る舞いを許さない空気が、空間に漂っていた。
別物だ。
取り巻く貴族たちの中には、
だが、そういうパフォーマンスと今、この場で起きているものはまるで別物だ。
信じ難いことに、ただの冒険者(
そう信じるだけの圧が、ルーファス・アクィナスから放たれていた。
俗に
一流の――いや、一流を超えた神域の剣士が持つ気迫、覇気、それがガラに襲いかかっている。
ほんの少しでも気を緩めれば、自分の体が
自身の間合い、膂力、技量は把握している。
奇跡が起きない限り、踏み込むことも覚束ない。
奇跡とは例えば、例えばであるが。
一昨日、この戦いがここで行われるだろうと予測して、互いの位置を大まかに理解した上で、仕掛けを施すことができたのならば。
それは、奇跡といえるだろう。
広間のシャンデリアは導入されたばかりの新品だ。だが、シャンデリアは新しくとも吊したワイヤーは、本来なら交換するはずなのにかつてのものをそのまま流用していた。
だが、屋上に上っていない技術監督は気付いていない。
ワイヤーの設置を確認しろと命令されたとある冒険者が、確かに新しいワイヤーで吊してありますと請け負ったのだから。それを聞いた彼は、チェックリストにマークしただけだ。
ワイヤーの傍には短剣、その柄には極めて単純な魔導具が仕込まれている。付与された術式は単純な【
ガラは奥歯にあった発動用の、小粒のような魔石を噛み砕いた。
錆びて脆くなっていたワイヤーに向けて、短剣が押し込まれる。
刃がワイヤーを切断し、するりと――シャンデリアが落下していく。
気付いた周囲がどよめきを上げる。シャンデリアが、ルーファスの頭上へと向けて落下していった。
ルーファスはガラの期待通り、前へ出る。
だが、それは覚悟の上の行動ではない。頭上が突然危険になったための、緊急避難行為だ。
一瞬、刹那、そういうごく僅かな時間の最中、ルーファスの思考が
なるほど自分は今、突発的な出来事で動かされた。
まさか、頭上から何か――恐らくシャンデリアだ――が降り注ぐなど、予想できるものではない。
知覚できたこと自体が、異常である。
仮にも
それでも直撃は回避したい。
人間としての本能が、そうさせた。第一、万が一シャンデリアで体が動けなくなったところに、あの
だから跳躍は正しかった。
これしか選択する道はなかった。
だが、ルーファスのそれは希望的観測と呼ぶものだ。
ガラもまた、シャンデリアが落ちることは予想外である。
だから、動きに躊躇いが生じる。意外性のある落下物を確認するために、一歩、否、数歩出遅れる。
それなら、間合いを詰めたところで未だルーファスの先手。
後はその間合いに応じた技を繰り出すだけ。
そこから先は詰め将棋だ。ガラが右に動けば、右に動いた敵への技を繰り出す。左に動けば左の技を。どれでもなければどれでもない技を。
本来、それは有り得ない。人間は種族により精神構造、肉体構造が異なり、思想が異なり、修めた技も異なる。
一万人の敵を相手にするならば、必要な技は一〇万を超えるだろう。
が、ルーファスはかつてあらゆる流派のあらゆる技を学び修め練り上げ、更なる高みへと登った男。
ルーファスは、人間相手に詰め将棋ができるのだ。
――もう一度繰り返す。以上述べたことは全てある一つの、希望的観測に基づいている。
つまりシャンデリアが偶発的な出来事だというもの。
ならばルーファスが予想から外していた事態……そもそも、シャンデリアが作為的なものだった場合、どうなるか?
§
ガラは瞼をつむっても、己の
ルーファスといつか対決することを考えて、幾度も幾度も練習を重ねた。
幾つかの状況を想定し、そうなるように道を仕向けることを考えて、集中した。
ルーファスが頭上の落下物に気を取られたまま跳躍し、こちらに間合いを詰める。
その状況に至るために、選択した。
選択と集中。
それが外れれば無様に死ぬ。
奇跡のような道筋を、ギリギリの判断力によって掴み取る。
想定通り。
ガラ・ラ・レッドフォートは刹那の
繰り出す技の候補は三つ。
右から左に向けての擦り上げる斬撃、
その逆である
最短最速の
無論、迷っている訳ではない。
ルーファスの位置と状況で、どれを選ぶべきかを決めている。
ルーファスの跳躍が擦り上げる斬撃である二つを上回る速度であったため、その二つは選択肢から消失。
ガラは
凶暴で、人すら喰らう彼らはとっておきの技として
その初速は音を上回る、とか。
剣士は吼えることはない。
ただ静かに見据えて、いつもやるべきことをやる。
爆発するような勢いの踏み込み。
同時に弓を引き絞るが如く溜めた両腕を前方へと突き出す。
撃ち出された針、と呼ぶにはあまりに分厚く、凶悪な
狙うは■■。
技に失敗はない。
ガラの策に過ちもない。
だから、次の瞬間ルーファスが起こした奇跡は、ただただルーファス・アクィナスという人間が怪物であったから、という理由であり、偶然の産物ではない。
跳躍に使った足とは違う足を使い、後方へと跳び直す。
前方へ向けて跳躍した直後に後方への跳躍。
前方へ向けていた跳躍力を、無理矢理後方へと転換する、まともな人体には不可能な大荒技。
下手をすれば筋肉が断裂しかねない負荷を、ルーファス・アクィナスはあっさりと乗り越えた。
ルーファスの肩口に鋭い痛み――刀の切先が掠めた。
だが、鋭い痛みはすぐに治まる。溢れる血も大した量ではなく。
つまり、以降の戦闘行動にまったく支障はない。
§
鋭い痛みは、既知のものだった。
この程度のものに見苦しくなるほど、
とはいえ、負傷したこと自体が新鮮な驚きであると同時、納得もした。
――あー、なるほど。ガラ君はここを舞台に選び、ここに罠を仕掛けた訳か。そうだなぁ、考えてみればこの屋敷は急ピッチで改修されたはずだ。
となると必然、手の空いた冒険者も依頼として駆り出されるだろう。何しろ、当主のお屋敷となる訳だし。
そうなるとガラ君が天井に仕掛けを施すのもまた、容易だったという訳か。
……いや、容易ではないか。考えに考えて、それでも低い確率から逃れることはできず、ただ祈るしかなかったはずだ。
ここが戦いの舞台となり、自分がシャンデリアの落ちる傍に上手く動きますように、という奇跡への祈りが。
――だが、私はすり抜けた。すり抜けたぞ、ガラ君。さあ、次は何をするのかな?
貴族たちのくぐもった悲鳴、エレニアムの微かなガッツポーズ、冒険者たちの瞠目。
「さあ、次は何をしてくれる? ガラ・ラ・レッドフォート」
ルーファス・アクィナスの軽やかな声。
興奮が抑えきれていない。一方のガラは苦笑を抑えながら答えた。
「生憎と。これで品切れですよ」
余裕たっぷりの言葉。なのに、それを聞いたルーファスはひどくつまらなそうに頷いた。
「……ああ、本当のことを言っているね君は」
落胆している。
多少なりとも疑心暗鬼になるかと思えばそうでもなく。
それはつまり、
「――嘘を見抜けるようになった?」
「ああ。君の父親に嘘をつかれたからね。あれは、私の人生で猛省すべき出来事の一つだった」
嘘をつかれて、結果的に村を滅ぼす手伝いをしてしまった。
だから、嘘を見破れるようになった。
「……って、そう簡単に身についたら苦労はしないんですが」
「嘘を見抜く魔導具は存在するだろう? ああいや、今はそんなもの身に付けてはいないよ、もちろん。でもね……一度使用すれば、嘘を見抜いた瞬間の感覚は記憶できるじゃないか」
――なるほど、滅茶苦茶を言っている!
ガラはもちろんのこと、聞き耳を立てていた一部の貴族、冒険者、そしてエレニアムも唖然とした。
つまりこのルーファスという男は、一度嘘を見抜く魔導具を身に付けて、その時の感覚を全身に覚えさせた。
だがそれは――喩えるならば。一度聞いただけの歌を、音程も秒数も寸分違わず完全に再現するような神業だ。
神業だが、ルーファスはやったのだろう。やってのけたのだろう。
その溢れるような自信が、何気ない口調が、全て真実を述べているとガラに囁いている。
――これだ!
それは喩えるなら、氷壁の僅かな窪みのようなもの。
掴めば天国、手を滑らせれば地獄。
だが、氷壁に留まれば死ぬのを待つだけのガラにとっては、一筋の光明だ。
もっとも、そのためには。
「いくぞ!」
「吼えたところで、結果は同じだよ」
血塗れになる覚悟が必要だった。
§
上段からの振り上げ、間髪入れずの下段擦り上げ、流れるようなガラの斬撃を、ルーファスは顔色一つ変えずに見切り、カウンターのように斬撃を放つ。
冒険者の中でも、剣術に秀でている者が、ルーファスの呼吸とガラの呼吸が完全に合致していることに気付く。
ガラが息を吐き出せば、ルーファスは息を吸う。
ガラが息を吸えば、ルーファスは息を吐き出す。
ガラが攻撃を行えば、ルーファスは
ガラが防御に回れば、ルーファスは遮二無二攻撃を仕掛ける。
言葉にすればたったこれだけであるが、ルーファス・アクィナスほどの剣士が、それを行った場合、自身の斬撃は全てカウンターとして機能し、ガラは攻撃をしながらも防御を意識せざるを得ない。
「……っ」
エレニアムが目を逸らすほどには、あるいは貴族たちが「もういい」と叫びたくなるほどには、その光景は凄惨だった。
血に塗れたガラ・ラ・レッドフォート。呼吸も荒く、膝を突いていないだけで称賛したくなるほど。
ルーファスは、肩の傷を除けばほぼ無傷。
斬撃を回避し続けた成果である。
勝敗は決まった。
ガラ・ラ・レッドフォートは敢闘した。もう降参を認めても問題はない。
これほどの実力があれば、凄腕の剣士として、あるいは冒険者として引っ張りだこだろう。
誰もがそう思い、だから止まって欲しいと願う。
もういい、もう充分だ、と。
だが。
「降参する気はないのかな?」
「……」
ガラは無言。肯定も否定もしない。
ああ、と周囲が嘆息する。
死ぬのか、なんて惜しい。
だけど、これはこれで幸福なのだろう、と幾人かの冒険者は思う。
あの
その名誉と共に冥土へと旅立てるのなら、それは幸福な生き様であろう。
エレニアムは考える。
(……さっきの言動から、多分ルーファスは嘘を見抜けるのだろう。でも、ガラさんは沈黙した。意味がないのに)
(だってガラさんは降参しないだろう。ルーファスの問い掛けはただのからかいで、無意味だ。なのに黙っていたというなら考えられる理由は二つ)
(一つはからかいに気分を害した。もう一つは―――)
(いや、いやいや。そんなまさか)
§
ここからが至難だな、とガラは思う。血塗れになっているが、大量出血で死ぬかどうかは感覚で理解できる――まだかろうじて問題ない。
人生を捧げても足りることはない。
生命を捧げても釣り合うことはない。
だが、それは。一つの条件に縛られているからだ。
即ち、己の命と相手の命を等価に考える。
殺そうとするから命を懸けても遙かに遠く、致命傷を狙うから踏み込みが深くなる。そしてそれでは、ルーファスには絶対に届かない。
さらに言うなら、仮に山盛りの奇跡を得てルーファスを殺せたところでそれは勝利ではない。
最初から、ずっとガラ・ラ・レッドフォートは決めていた。
ただ、それをルーファスには伝えなかっただけで。
一歩深い踏み込み。ルーファスの剣域、即ち死地へと向かう。
爆発させるような呼吸の吐息――同時に、灼熱する肌。
両手で握っていた
だが、ルーファスに動揺はない。彼の斬撃は自分に致命傷を与える間合いではないから。そして、ガラの斬撃よりも自分の斬撃が首を刎ねる方が速いと理解しているからだ。
退屈な時間になってしまった。
無駄な復讐をさせてしまった。
ガラに対する怒りと蔑み、己に対する怒り、結局のところ原因である
そんなものが心に去来して、消えていく。
そこから先は何もかもが一瞬なのに、ひどく遅く見えた。
自身の愛刀、『
ガラが首を傾け、自身の首に迫る刃を見る。
ガラが大きく口を開く。
驚いたからではない。そんな衝撃を受けたようには見えない。
口を開いた理由は、あまりにも
彼は、刃に噛みついた。
それはルーファスの思考を一瞬、空白にするほどの驚きだった。
噛みついて何とかなる?
そんなバカなことはない。愚かにも程がある技だ。有り得ない。そのまま唇の上から分断されるのが妥当な結末だろう。
ガラ・ラ・レッドフォートの肌は憤怒で赤く染まっている。
レッドフォート。元は休火山だった場所に集落を築いた
ルーファスはそれを見て、体感したことがある。
あらゆる生物を上回るような、圧倒的な
それだけだと思っていた。
何しろ
ガラ・ラ・レッドフォートの肌は憤怒で赤く染まっている。
彼らの始祖は、蜥蜴ではなく
その剛力は腕力だけではない。
噛む力、即ち
睡眠時の歯ぎしりなどはその限界を凌駕して67貫前後(250kg)。
そして。今のガラ・ラ・レッドフォートの咬合力。
800貫(3000kg)。
ルーファスの刃は、ガラの鋼のような歯と
今度こそ、今度という今度こそルーファスは驚愕した。
驚愕の直後、彼が精神を立ち直らせるより一瞬早く。
ガラの斬撃が、ルーファスを斬り裂いて――――――
§
肘から先、左前腕が転がっている。
貴族たちはもう、悲鳴を上げることすら忘れて見入っていた。
冒険者もだ。
そのあまりにも異常な光景に脳の処理が追いついていない。
転がった腕はルーファス・アクィナスのもの。
跪いているのはルーファス・アクィナス。
倒れ込んでいたが素早く立ち上がったのはガラ・ラ・レッドフォート。
全身が血塗れで――一瞬、肌が赤かったような気がしたが気のせいだろう――とても生きているとは思えないほどだが、呼吸をしている証拠に、胸が膨らんでいる。
つまり。
腕を切られた
「……まだだよ、ガラ君」
だが、ルーファスは凄絶な笑みを浮かべた。
左腕に興味は持たない。治療する術はあるが戦っている今、そんな暇はない。
ルーファスの言葉は道理だ。
左腕が失われた程度で、学んだ技の全てが潰える訳ではない。片腕で戦う術など、それこそ――星の数ほどある。
楽しくなってきた。
いや、楽しい。今が一番楽しい。
ルーファスはつくづくそう思う。
だが、だがしかし。
ガラは告げた。
「ここまで。私は降参します」
その言葉を理解するのが一番早かったのはルーファスではなく、エレニアムだった。
「ああ……そうだったんだ」
ガラは勝つ気概はあっても、殺すつもりはなかった。
元より、ここでルーファスを殺せば死ぬまで追われる身となろう。
さらに、ルーファスという英雄を殺した、背景のない冒険者として。
だから殺さないことは前提で。けれど戦うことも前提としてあった。
戦わなければ、己の人生は立ち行かぬと思っていたから。冒険者として正しく在るために、戦いに決着をつけねばならなかったから。
「な、ぜ……。なぜ、なぜ、なぜだ! 何故何故何故!」
ルーファスが魂を振り絞るように叫ぶ。
こんなに、こんなに楽しいのに。今からもっと楽しくなることだったのに。
「……元々、殺していない貴方に死を背負わせる気はない。それから、もう一つ重要なことがある」
「――まさか、」
ガラは笑った。血塗れの顔で、凄絶に。
「今からとても楽しめそうなのに、楽しめないだろう? これが私の復讐だ、ルーファス・アクィナス」
「く、そ……!」
ルーファスは歯噛みする。ガラの言う通り、復讐は果たされた。死に勝る悔しさがある。これから、楽しめそうだったのに。命の削り合いができそうだったのに。
なのに、彼は降参した!
たとえ背後から襲いかかって八つ裂きにしたところで、この気持ちが晴れることはない!
悔しい、悔しい、悔しい……!
だが……見事だ! 見事な復讐だ! お前は確かに、このルーファス・アクィナスを相手に復讐を果たしたのだ!
殺さないことが、今の私にとって最高の復讐……!
――そしてルーファスに、邪悪な閃きが生じた。
「分かった。だが、一つだけ訂正させてもらおう。降伏したのは君ではない、私だ」
「――な、に?」
その言葉に、ガラが瞠目した。
「左腕を切り落とされたルーファス・アクィナスは、憐れにも降参を求めた。そしてガラ・ラ・レッドフォートはそれに応じた。その器、まさに
ルーファスは懐から取り出したコインに接吻してから放り投げた。
受け取ったガラはそれを見て驚愕する。
魔力を帯びている。コインはどの国の貨幣でもなく、五本の刀が刻まれた
「それは、ガラ・ラ・レッドフォートが天下五剣であるという証明だ」
今度という今度こそ、貴族や冒険者が悲鳴を上げた。
唖然呆然とした様子で、立ったりあるいは座ったり。
それは、歴史に埋もれるはずの集落の、一介の
突然、あらゆる剣士の頂天に立った証明だった。
「ルーファス・アクィナス……!」
「……怒るなよ、ガラ君。どの道、左腕を切られた時点で天下五剣とはとても言えないだろう? ああ、もちろん治療はしない。そんな勿体ないことはしない」
確かにレベルの高い
だが、ルーファスはそれを拒んだ。
この左腕の喪失こそが、喜び。そして、始まりの一歩だから。
「君と同じく。二年経って、天下五剣に相応しい隻腕の剣士として帰ってくる。だから、それまで死ぬな。君を殺すのは私だ」
「……」
「誓えるかな?」
様々な想いが去来する。復讐、安堵、幸福、恐怖……そういうモノを全て捨て去ってなお、心に残っているものはあるか?
命の削り合いに、快感を抱くか?
……抱く、抱くとも。人でなしの悦楽と笑えば笑え。
冒険者として命を削るのも、剣士として命を懸けるのも、ガラにとっては同一だ。
ならば。
「――誓おう。二年後、貴方を世界のどこかで待っている」
ルーファスはそれを聞いて、子供のように無邪気に笑う。
「ありがとう。これで、生きる楽しみができた。人生が充実する。何しろこの数年、私の心は空っぽだったからね」
ルーファスは貴族たちに優雅な一礼をすると、彼らを別つように背を向けて歩き出した。
ガラはそれを見送ると、何もかも終わったとばかりに苗刀を鞘に納める。
歩き出す。
どこにでもいる銅級冒険者、ガラ・ラ・レッドフォート。種族
これより、彼には
その荷の重さに耐えかねて、圧し潰されるのか。
あるいは、誰も見たことのない存在に上り詰めるのか。
それはまだ、誰にも分からないことであるが。
一つだけ、確実なことがある。
「ガラさん、ご一緒しますよー。冒険者ギルドですよね?」
「ん。……騒ぎになるかな、エレニアム」
「はい、多分、とても!」
今日の冒険者ギルドは、常にない大騒ぎとなるだろう――
―――――――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございます。本エピソードをもって、「竜斬りの蜥蜴人」は一旦お休みを戴きます。スケジュール……スケジュールが……。
本作の続きを書く予定はありますので、完結済みとはせずにひとまず連載中と
させていただきます(何か問題がありませんように)。
これ以外にも書いてみたい異世界召喚作品などありますので、引き続き
よろしくお願いします。
竜斬りの蜥蜴人(リザードマン) 東出祐一郎 @Higashide_Yu
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