打ち上げ
数日後…
カラオケボックスの一室。
色とりどりの照明に照らされ、みんなの笑い声が絶えない。ジュースのグラスが軽やかにぶつかり、テーブルにはポテトとピザの残骸が散らばっている。
「いやー、君たち大成功だったな!」
マイクを握った師がそう叫ぶと、部屋の中に大きな拍手が広がった。
私はその輪の少し外側で、ストローをくるくる回しながら、みんなの笑顔を眺めていた。あの忙しい日々を思い返すと準備は大変だったけれど、この光景を見れば全部報われる気がする。
「お疲れさま!」
隣に座った彼女――遥が、笑顔でジュースを差し出してきた。
「はい、彼方、乾杯しよ。私達二人に。乾杯」
カチン、と小さな音。彼女と私だけの乾杯。
思わず笑ってしまう。打ち上げの喧騒の中なのに、ここだけ静かな時間が流れているようだった。
そのあと、遥が歌う番になった。マイクを握りしめて、照れながらも真剣に歌う姿。スポットライトのような照明に照らされる彼女を見て、私は胸の奥でそっと思った。
――ああ、この瞬間を、ずっと覚えていたいな。と。
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