儂、説明を受ける
目が覚める。
白く規則的に模様が並んでいる綺麗な天井であった。
よく見ると初めて見る形式の治癒の魔方陣や結界魔法の陣が張られていた。
「これは、中々に凄く興味をそそるのう。儂の知らない魔法があったとは・・・」
「あ、御目覚めになられましたのですね。良かったです。私、ダンジョン連合岡山支部支部長の石嶋 令呪と申します。
色々と混乱しているでしょうが、今説明の方をさせていただきますが大丈夫でしょうか?」
物腰は柔らいが苦労者というのが滲み出る50代前半の男が隣にいた。
だが、その身からは魔力とも聖力とも違う異質なエネルギーと死線を潜り抜けてきた歴戦の猛者の香りも感じた。
「確かに儂も色々と混乱しておる。ここが異世界だということ儂が女の子になっていること色々とな、説明の方をしてくれるのならばありがたい限りじゃ。こちらから頼む」
「もちろんです。と言いたいところですが、先に二つ程質問をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「うむ。いいのじゃ」
「ありがとうございます。
では、貴方様のお名前の方を教えていただけますでしょうか?」
「名前か、儂の名はローズ王国・・・いや、違うな。儂はマグニ。ただのマグニじゃ」
弟子に裏切られ逃げ出し、今や世界に存在しない国の名前を名乗ろうとするなんて・・・我ながら女々しいのう。
「マグニ殿ですね」
「ああ、そう呼んで貰って構わないのじゃ」
「では、次の質問です。マグニ殿は元々男性であったということでしょうか?」
「うむ。そうじゃ。儂は元々男、それに年齢も82歳じゃったのじゃ。この異世界?とやらに来てから肉体が変質し見ての通りの幼い女の子になってしもうたという訳じゃ。何とか元の身体に戻りたいが肉体に膨大なエネルギーが巡っていて変質させることが出来ないの次第じゃ」
「なるほど。そうでしたか・・・それは心中お察しいたします。では、今度は私の方からこの世界の説明をさせていただきます」
かくして幾つか儂の方からも聞き返しながらこの世界について、儂という存在についての説明を聞いた。
簡単にまとめればこうじゃ。
①この世界は儂のいた世界とは異なる異世界であり、錬金術の類であった化学技術とやらが大幅に発展し豊かな文明を築き上げていた。
②元々魔法や魔物やダンジョンが存在しない世界であったが50年前の大改革以降出現するようになった。
③それと同時に儂のような異世界からの来訪者と呼ばれる、異世界から来た存在が迷い込んだり、召喚されたりするケースが増えた。
④儂の様な異世界からの来訪者は異世界の技術と知識を持っている為にダンジョン連合という大改革以降作られた組織によって手厚く保護されるようになった。
⑤という訳で儂は今から保護をされる形となる。 人道的観点から自由も与えられるし相応の報酬を与えられる。待遇は良いものではあるらしい。
しかし、話を聞けば聞くほど不思議な世界であった。
50年前まで魔法がない世界、代わりに化学技術とやら発展している。
何百メートルもある建物が存在し、飛行機というドラゴンの様な鉄の塊が空を飛び人や物を運び、馬車よりも圧倒的に早い鉄の塊を成人した民のほとんどが持ち操縦することが出来る。
国民のほぼ全員が儂のもといた世界の統治者以上の知識と計算能力と語学能力を持つだけの教育がされている。
そして、何よりネット?とやらで世界のどんな場所でも情報を共有し収集することが出来ている。
更に驚いたのはこの国は1億8000万という民を持った上で100年以上他国と戦争をせずに内乱や革命も起こされることなく国を維持しているらしい。
これがどれ程、異常で偉業であるか。
嗚呼、儂が求めた国はここだったのか。
全てを失って、国王じゃなくなり異世界に飛ばされて気が付くとは・・・。
「ハハハハハ、カカ、カカカ」
「大丈夫ですか?マグニ殿?」
「ああ、何、ちょっと自分の愚かさに酔いしれてしまっただけじゃ。さて、儂の世界の魔法技術を知りたいと言っていたな?
いいじゃろう。これだけ優れた国が生まれる様な世界に役立つかは知らないが、儂の知識が平和の一助になるのならば喜んで捧げようぞ」
「ありがとうございます。ただ今は色々とお疲れだと思います。住居の方を用意しましたので、今日はそちらで休んでください」
「うむ。悪いのう。じゃが確かに今日は色々とあり過ぎて疲れておる、ありがたく受け取るのじゃ」
「では、案内は別の者にさせますので、何か必要な物がありましたら彼女にお申し付けください」
部屋にスラリとした若い女性が入ってくる。
身長は170センチ、男性が公の場で着る礼服の様な黒色の服に身を包んだ、綺麗な人であった(黒色のスーツに身を包んだ超絶優秀な仕事できる女性)。
何処となく儂の部下であったメイド長を思い出させた。
「この度マグニ様の身辺のお世話の方をさせていただく安藤可憐と申します。よろしくお願いします」
「うむ。よろしくなのじゃ」
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