第7話

7話




私達は一旦

襲撃して来た少女を座らせて状況を整理し

詳しい事情を聞く事にした




「それで……」


「えぇ……分かってる……分かってるわ」


「何故うちらを殺し屋だと思ったんだ?」


「えぇ、ちゃんと説明するわ……その前に本当にこの都市がどう言う状況か知らないわけ?」



少女を座らせてから

私達は現在の状況等を話した

結果少女は呆れたと言うような表情を浮かべている



「さっき自己紹介して貰ったし、私もしないとね、私はシャーロットよ」


「それでこの都市の状況って?」


「そうね……、先ずこの都市は鉱山や渓谷の中にある要塞として有名なのは分かるわよね?」


「それは分かっているさ、うんうん」


リリーちゃんが何故か誇らしげに頷く


「先代の市長が死んでからこの都市はあらゆるマフィアに実質的な支配圏が渡ったわ」


「今の市長は?」


「空席よ、今は一応行政官が代理をしているけれどもね」


「へぇ……」


「まぁ言ってしまえばとあるファミリーの傀儡よ、そのファミリーが私の父が運営している場所なのだけれど……」


「ファミリー……」


「そう、」


「もしかしてお前が狙われてるのってそのファミリーの


「娘だからよ、他のファミリーから狙われているの、」


「……」



彼女は怯えていたのは

こう言う事なのだろう……

自分が組織抗争に巻き込まれ

そして重要な標的である事を自覚している


「そう言えばわたし達がなぜ殺し屋に見えたの?」


「そんな武器持ってる連中殺し屋とかその類しか居ないわよ」


「あ……」


私達は理解する


「ホテルの料金が安かったのって」


「そんな武器持ってたら安くするしかないでしょ、マフィアが大量に居るような都市よ、武器を持った人間を怒らせれば恐ろしい事になることは分かっていたんでしょ、だからわざと安い料金にした、怒らせないようにね」


「まぁあの時の服とかの感じからしてお金も殆ど持ってなかったでしょうからね、相当安かったんじゃないかしら?」


「あ、あぁ……とっても安かった」


「話を戻すけど……この都市は幾つものマフィアが管理、統治している様な場所な訳、」


シャーロットは私達を見て考えるような表情をし

閃いたように口を開ける


「あ、そうだ!私の護衛をしてくれない?お金も無いんでしょ?なら私の護衛をしてくれたら報酬として出すわよ?」



正直願ってもない話である

そして放ってはおけない自分も居る

彼女は私達を勘違いで襲撃したものの

事情を聞き……仕方ないと思ってしまった

過去の自分を重ねているのだろう……



「それは……」


「勿論受けるわ」


「カムラッド!?」


私はリリーちゃんに耳打ちをする


「お金がないのは事実だし、こんなチャンスないでしょ」


「わたしはセレナが良いなら……」


「うちもセレナに従うで」


「それじゃあ決定ね!明日からあんた達は私のボディーガード♫」



確かに出会いは最悪だった……

リリーちゃん達の言い分も分かる

でも彼女は私達にとって何か重要な物になる

私はそう感じていた



「それじゃあまた明日‼ホテルの受付前でね!」


「はーい」


シャーロットが部屋から出る


「私達も寝ようか」


私はそう言いベットに潜り込む


「分かったよ、」


電気が消され

皆ベットに入り込む音が聞こえる


私はゆっくりと目を閉じ明日を待った







————




翌日

私達は無事に起床し選択された綺麗な服に着替えてホテルのホールへと降りる



「遅いわよ!まぁ時間を指定してなかった私も悪いけど!」



シャーロットが顔を膨らませながら待っていた

リリーちゃん達はあまり良い顔をしていないが……


「ごめんごめん!ちょっと容易に手間取っちゃってさ」


私は1歩前に出てシャーロットと会話する


「まぁ良いわ!あんた達この都市の事知らないんでしょ?私が案内してあげるわ!」


「おぉ!それはありがたい……でも良いの?狙われているのに」


「そうだぞ!狙われいてるなら部屋で安静しといた方が良いだろ!」


「ね、ねぇセレナ?そのタブレット喋るの?」


「タブレットって言うじゃねぇ‼うちにはソレイユって立派な名前があるんだよ!」


「タブレットに説教されるって変な気分……でもそうねごめんなさい!ソレイユ!よろしくね!」


「おう!」


ソレイユはなぁぜかシャーロットともう馴染んだらしい


後ろの面々が心配だなぁ


「そう言えば交通手段どうしよう……ソレイユ……」


「無理だ、思った以上に損耗が激しい、これ以上使ったらエンジンが爆発しちまう」


「そうよねぇ……」


「安心しない?ここは私があんた達の為に車を出すわ!」


「良いのか?わっちらは雇われているとは言えど組織の娘が乗る車って相当高い気が……」


「気にしないで頂戴!お金ならあるから……」


その瞬間シャーロットは少し暗い表情になる


「まぁ早速行きましょう!私の愛車へ」


ステップしながら歩き出すシャーロットの後を私達は一応警戒しながら追い掛ける



「これが……」



シャーロットは自信満々にハイテクな駐車場に格納された愛車を見せてくれる


車体は黒光りしており

あらゆる場所が職人によって工夫され

最高級の素材が使われているのがわかる


「こんな車乗ったことない……」


これ程高級な物に全振りした車に乗るのは初めである……

装甲車や戦車など

色んな意味で高価な物には乗ったことはあるけど

この類の物は本当に初めてである



「全員乗ったわね!じゃあ行くわよ!」


私達が車に乗り込むと

シャーロットはハンドルを握りエンジンを起動させる


そして


「うわぁっ!」


車は猛スピードで走り出し

ホテル前の道路を一気に駆け抜ける


「いきなり走り出さないでくれよ……一瞬飛びそうだったぞ」


「ごめんごめん!いつも乗せてもらう側で乗せるのは初めてだから興奮しちゃって」


「そ、そうか……」



そこからは無言だった

都市は広く

スピードを出しても景色はあまりわからない為

話す事も無くただ黙っているだけである……


しかしその時


乾いた破裂音がしたかと思えば私達の乗っている車に何かが衝突する


「敵襲か!?」


私達は一斉に後ろを見る

そして


武装したドロイド古臭いを乗せた車が3台見えてくる

ドロイドの姿は鈴っぽく

そして鎧のような風貌をしている


「まぁあいつらなの……」


「またって?」


「いつも私を襲撃してくる奴らなのよ……」


「わかった、迎撃しよう」


リリーちゃんは早速持って来ていた軽機関銃で車を攻撃する


しかし敵の車は結界を貼り

リリーちゃんの攻撃を無力化する


私は杖を取り構えるが

シャーロットが足を掴み止める


「こんな所で魔法なんてぶっ放したら逮捕されるわよ……流石に大事になるわ」


「はい……」


私は今回出番はないらしい


「シャーロット、キョウコソキサマを殺す」


ドロイドらはスピードを上げ

私達の車を挟み込み

飛び乗ってくる


私は飛び乗ってきたドロイドの顔を何度も殴り

殴り殴り殴り殴り殴り

怯んだ所で立ち上がり

ヤツのボディへ懇親の蹴りをお見舞いしてやる


私の攻撃に耐えきれなかったドロイドは転落し

引きずられ

火花を上げている


私は杖を持ち敵をぶん殴る

鈍器を得た私にドロイドらはなす術無く

破壊され

チャカによる攻撃も私やユキが迎撃し

リリーちゃんが絶え間ない弾幕でドロイドらを押し返す


そして彼らは勝てない事を悟ったのか


「クソ!昨日はこの辺でシツレイシテヤル」


「ソレを言うならバキョウだぞ」


「オボエテイロヨ!」


そんな捨て台詞を吐き

彼らの車は減速を始め

徐々に見えなくなっていくのだった









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