第24話

24話



マルコの額に触れ生命反応が消えた事を確認する


「自爆シークエンスを実行しないと……」


私は操作パネルの方へと行く



「よし……これで良いかな?」


パネルを少し弄ると自爆シークエンスの承認に関する画面が出てくる


「これをこうすれば〜」


「自爆シークエンスが承認されました666秒後自爆します、船内に残っている方々は退避してください」


そんなアナウンスの後ブリッジの照明が赤く染まる


終わった


そんな達成感を感じながらブリッジを歩いていると後ろから轟音と共に聞き馴染みのある声が響く 


「セレナ‼」


ユキである


「セレナァァ」


私を見たユキは目に涙を浮かべなから私の胸に飛び込んでくる


「ユ、ユキ〜皆が見てるよ」


「わ、わたしがどれだけ心配したと思ってー」


「私を押したのもユキじゃない……」


「い、いやぁ、それはそうなんだけどさ、いざ離れると心配になっちゃって……」


「私ってそんなに信用ないの!?」


「そういう訳じゃないけどさ……」


「イチャイチャしてる頃悪いが聞かせてくれ、セレナ……お前のその姿はなんだ?」


「私も気になってたの〜それどうなってるの〜?」


そう言えば


再びしっかり自分を見てみる


胸に金色のメダルがはめ込まれ

それを中心に体中にヒビは入っており

青白い光が漏れ出している



「あ……」


「ちょっと〜」


「まぁセレナさんらしいですね」


「ちょ、メアリーまでー」


すると妙な電子音が響く


「なぁセレナ、その後ろのやつ……」


ナギサが指を指す方向には

50歳前後だろうか

緑の軍服を着た男がホログラムで映し出されていた


「マルコは死に自爆シークエンスが作動している……あぁお前たちの仕業か」


「だ、誰?」


「前哨基地での失敗、妙な報告、全て目を通していたつもりだった、今回もまた裏切り者仕業とだが違った様だ」


「私の腕の中で逃げ回る事は出来ていても、追い掛ける為のハンターは着々と、知らぬ間に癌のように追い詰めている……」


男はそう言った後

消えた


「一体何だったんだ……」


「ね、ねぇ……後ろの奴……」


ユキの視線の先を見ると

殺した筈のマルコから……


赤い樹の様な物が生え

ブリッジの正面部分を枝が覆っていた


「これは……」


「さっさと逃げた方が良いんじゃないの〜?」


「逃げるぞ‼」


私達は走った


警報音と共に降りてくる扉を破壊しながら輸送機へ走る



「こっちです!」


メアリーの道案内によって何とか私達は無事迷う事なく輸送機内へ戻ることが出来た


「良く戻ってきてくれた、それじゃあ脱出するぞ!」


ローランが私達を出迎えてくれ操縦室へと入って行く


私達はそれぞれ椅子に座る


「それじゃあ出発するぞ!」


ローランの声と共に輸送機が大きく揺れ外の景色が見え始める

船から離れるにつれて私達がさっきまで居た場所がどうなっているのか分かってくる


既に半分が赤い樹に覆われており自爆シークエンス起動前から既に傾いている


そして巡洋艦は無事自爆シークエンスが作動し爆発した


あれ程大きな巡洋艦ば赤い光を放ちながら装甲等が吹き飛び

爆風は私達の乗せている輸送機を大きく揺らす程であった



「やったのか……」


炎を出しながら墜落する巡洋艦を見ながらナギサが呟く


「そうだね〜これで……この戦いは私達有利に傾くよ〜」


「やりましたね!」


私達は喜んだ

まだ終わりではないのは分かっているけれど

今は敵の本拠地とも言える場所を破壊したのと言う達成感の余韻に浸っても良いだろう



————12分後


私達はなんとか基地へと帰還できた


輸送機の扉が開きニコルを先頭に外へと出たその時

私は強烈な眠気に襲われユキに持たれかかってそのまま意識を失ってしまうのだった





「ん〜」


どれ程眠って居ただろうか

私が目を開けると見慣れない天井が目に入る


野戦病院だろうか?


下に目を向けると躰からヒビは消えているが私の胸には金色のメダルがはめ込まており

下からは微弱な青白い光が漏れ出ている


「すぅ……」


横を見るとユキが私の体に顔を埋めて寝ている

恐らく私が倒れてからユキがずっと付いていたのだろう


時計に目をやると既に午前6時を回っていた


起こすべきだろうか……


私がそう悩んでいると「ん〜」と声をあげながらユキが顔を起こす


「おはよう」


私が声をかけるとユキも私が起きている事に気付いたようで安心したような、溜息を付き私に抱きつく


「一体、いくら心配したと」


「ごめんって……」


「私が倒れてからどうなったの?」


「セレナが倒れてからわたしとニコルで野戦病院に運んで手術して貰ったのよ……」


「手術!?」


「結構危ない状況だったって聞いたわ、だってレントゲンした時には肺と心臓が無かった訳だし」


「そんなに……」


「と言う事は胸の奴は……」


「そのアーティファクトは貴方の心臓と肺よ」


マキから貰っていたアーティファクトがこんな使い方になるとは思っても居なかった


「……」


「マルコとの戦闘で吹き飛ばされたんでしょうね、肺と心臓の役割がそれを担っているって聞いたわ」


「そう」


「体と融合しちゃってるし、何より肺と心臓の代わりだから外せば死ぬ可能性があったからそのままにして貰ったわ、本当に心配したんだから」


「心配かけてごめんね」


「生きててくれて良かったよ、本当に」


「そう言えば皆は?」


「皆?さぁ、部屋に居ると思うけど」


「私も戻らないと……いたた」


体を起こそうとすると激痛が走る


「少し安静にしてなさい、先生を呼んでくるわ」


「ありがと」


「これくらいなんて事ないわ」


————5分後



「診察しますね〜」


虹色の髪をした白衣の男性が仕切りのカーテンを開けて姿を表す

どうやら医者のようだ


「お、おはようございます?」


「私の事は先生とでも呼んでください」


「あ、はい」


先生は素早く私の状態を確かめ1言……


「退院しても問題ないですね〜と言っても今日一日は戦闘出来ませんが、痛み止め出しますよ〜」


「え、はぇ?」


「胸の奴は力入れて触らないで下さいね〜原子炉なので何が起きるのか分かりませんから」


「原子炉!?」


「あ、じゃあこのお薬飲んだらもう立って退出してもらって結構ですよ」


先生はそう言うと薬と水を近くの棚に置いて出て行ってしまった……


先生も忙しいのだろう、痛み止めだけで何とかなる私に構えるほど暇ではないのは確かだ


「す、すごい先生だったね……」


私が痛み止めを飲み込むと困惑の表情を浮かべたユキが入ってくる


「まぁね、でも診察も早かったし良い人だとは思うよ、髪の毛も面白いからね」


私はクスリと笑う


痛み止めを飲んだ私はゆっくりと体をお越しベットを降りる


「うぉ」


その衝撃で少し態勢が崩れるも


「しっかりしてよね」


ユキが私の肩を持ってくれコケることは無かった


「ごめんね」


「良いのよ」


私はユキの肩を借りながらニコル達の待つ部屋へと帰るのだった











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