魔界少女

M1エイブラムス

第一章プロローグ

1章第1話 プロローグ


プロローグ

現世から隔離された無限に広がる世界、「魔界」。現世から破棄された欲や邪悪な物が集まり、グループを形成する。それらはいつしか自我を形成し、魔界人として魔界にて暮らしを始めた。

そんな魔界を生成した魔界神は、その状況を見て歓喜した。魔界人に多くの科学力と知識、そして魔法を与えた。

これは、そんな奇妙な世界で起きたとある出来事を描いた物語……


「おいおい……マジか今日も野宿かぁ」


とある森の中に少女三人組が迷い込み、話し出す。


「意外に要塞都市と言うのは遠いのね」


「まぁなぁ……でもわっちが来た時はほんの2日程度で行けたんだけどなぁ……あっカムラッド!その干し肉はわっちのだぞ!」


「分かってるよ〜。んじゃ、私とユキは焚き火の為の枝を集めてくるよ」


「おけ!待ってるよ」


「それじゃ行こうかセレナ」


「そうだね」


セレナとユキと呼ばれた少女たちは焚き火をする為、森の中へ入り、燃えそうな物を集める。


「にしてもここ何処なんだろうなぁ」


「さぁ……私にも分からないけど、セレナの端末には何か映ってないの?」


「う〜ん、電源が入らないんだよね〜」


「別に壊れてる訳でもないんでしょ?不思議ね」


一人の少女が銀色に光る薄い四角の物体に手を翳しながら吐息を零す。


「まぁ今は取り敢えず枝を集めて戻ろう、リリーも待ってるし」


「そだね」


二人は両手に抱えきれない程の枝や葉っぱを集め、リリーと呼ばれた金髪の幼女の所へと戻る。


「おぉ!カムラッド!ユキ!帰ってきたのか!こっちも食材の準備を終えたから、後は焼いてテントを貼るだけだぞ!」


そんな雑談をしながら三人は焚き火をして話し出す。


「本当にここは何処なんだろうか……」


「カムラッドよ、ここが何処か知ることはそんなに重要なの?」


「まぁねぇ……私らにも戻るべき場所はあるから……」


「う〜ん、嫌な予感がするんだよなぁ……」


「嫌な予感って?」


「いやぁなんと言うかほんと、分からないんだけどちょっと言葉では言い表せないなぁ……」


そう濁しながら金髪の少女は保存食を噛む。さっきまで黙々と干し肉を食べていたユキと呼ばれた黒髪の少女が、口を開く。


「その要塞都市とやらは本当にあるのよね?リリー」


「当たり前だろう?この先にある渓谷の中に作られてんだよ。」


「そう……」


「本当なんだからな!カムラッドは信じてくれるよな‼」


「まぁ今はそれくらいしか信じられる情報も無いからねぇ〜」


「ユキもいい加減信じろよ〜」


「分かってるわよ……信じてるよ、ただこれ程遠いとは思ってなかったのよ」


「わっちもだ。でも多分きっと恐らく希望的観測だけど、もうすぐ着く筈だ」


「どんどん自信なくなるのはやめて、こっちも不安になる」


「まぁ大丈夫でしょ、こんな所で騙す意味もないだろうし」


「そうだよ、あたりまえだよなぁ?」


「まぁ良いや、明日に備えて今日はもう寝よう」



三人は食事を終えテントを張り寝袋に入り眠る。

しかしその中の1人セレナは考えていた。

どうしてこんな事になったのか、

そしてこれからどうなるのか。


「それにしてもまさか……こんな事になるとは想像もしてなかったなぁ」



彼女はここに来る以前の事を考え、思い出に浸りながらこれからの事を考えていた。

彼女らは、今後訪れるであろう狂気の到来、終末の来訪を、その身で感じる事となるだろう。

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